イラストレーターのポートフォリオサイトの作り方まとめ

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ポートフォリオサイトを作りたいイラストレーターへ。ウェブのプロでない人にとっては正直、何から始めたらいいのか、どの技術やツールを使ったらいいのか、いろいろ疑問だらけだと思います。

それらの疑問にお答えする記事です。ポートフォリオサイトづくりはたぶん短期間では済まないからこの記事をぜひオトモにしてほしい。そういう趣旨です。

めっちゃ長い記事なので、ピンポイントで知りたいことがある人は目次を見てね。

ポートフォリオサイトの参考を探している人へ

「ポートフォリオサイトを作りたいから、いろんな先輩イラストレーターさんたちのおしゃれなポートフォリオサイトを見よう!」って思っている人に、ちょっと忠告しておきます。

オシャレポートフォリオサイトを見て回っても、単にデザインのパクリのネタ元が得られるだけです。そもそも、オシャレなポートフォリオサイトを作っても、あなたが期待するようなことは起こりません。

そこに時間をかけるのはもったいないよ。そうじゃなくて、考え方を知ってほしいんです。

ポートフォリオサイトを作る目的は?

あなたは、なぜポートフォリオサイトを作りたいのですか?

イラストを誰かに見せたいという欲求を満たすだけなら、SNSがあれば十分な今日この頃です。「個展をやります」とかの告知も、SNSが便利です。なのにあなたはポートフォリオサイトの作り方を調べています。

ってことは、ポートフォリオサイトを作ることで、SNSでは得られない何かを期待している、ってことですよね?

その期待が、「ポートフォリオサイトを作る目的」です。

「そんなの聞くまでもないだろ」って思った人もいるかもしれませんね。おそらく99%のイラストレーターはこう答えます。

仕事の依頼をゲットしたいからポートフォリオサイトを作るんだ

目的が決まったら、じゃあ、その目的を達成するには、どうすればいい?どんなポートフォリオサイトを作っていけばいい?っていうふうに考えていきます。

目的がきっちり決まってないと、調べるほどいろんな情報に惑わされるだけなので。

ポートフォリオサイトで仕事の依頼が来る方法

ポートフォリオサイトで仕事の依頼が来るようになりたかったら、オシャレでクールなデザインのことは一旦忘れて、依頼主が何を求めているかを考えてください。

昨今、SNSでイラスト投稿をするだけの「自称イラストレーター」が多くて、ちゃんとしたイラストレーターが見つけづらくなってしまった。出版や制作の現場の皆さんからそういう嘆きを聞くことが増えました。

仕事の依頼が欲しかったら、どうやったら信頼してもらえるようになるかを考えてください。このあといろいろとアドバイスを書きますけど、すべてこの信頼を得るために必要なことです。

もしプロらしくありたいのだったら「ツイッターでバズれ」とか「インスタでハッシュタグつけまくればいい」とかのいい加減なアドバイスはもう忘れてください。

WordPress? or 無料ツール?

ポートフォリオサイトを作るっていうとみんな最初に気にするのが技術の話ですね。WordPressで作るべき?それとも、ジンドゥーやWixなどのウェブ制作ツールで作るべき?

丸めて言ってしまうと、どっちでもいいです

もちろん理想は自前サーバーにWordPressを置いて使うことで、これならいくらでも自分のやりたいようにウェブサイトを作れます。

でも、そこに到達するには結構な勉強が要ります。WordPressっていうのは「初心者でもカンタンに思い通りのウェブサイトが作れるツール」ではないんですよ。有名なので勘違いしている人多いですけど。「WordPressで挫折しちゃった〜」なんてイラストレーターの声をよく聞きます。

「初心者でもカンタンに思い通りのウェブサイトが作れる」ことを期待するなら、むしろジンドゥーやWixです。ただし、後述のように独自ドメインは必須です。みんな「無料ツール」って言ってるけど、無料では使えないって思ってください(無料プランは独自ドメインが割り当てられないことが多いから)。

ポートフォリオサイトには独自ドメイン必須

ポートフォリオサイトが仕事に結びつくことを期待するならば、独自ドメインは必須です。

なぜか?独自ドメインは本気を表すからです。

ロゴマークって、どんな企業もお店も作りますでしょ。あれは、「うちはこの旗印のもとで商売していきまっせ」「このロゴで、うちを覚えたってや!」という意欲の表れなんです。

独自ドメインもそれに似てます。インターネット世界における看板のようなもの、って言ってもいいかも。「私はプロのイラストレーターとしてこの世で活動していきますよ」という存在感を示すのに、ないに越したことがないのが独自ドメインなのです。それが証拠に、独自ドメインをつけてない企業サイトってみたことありませんよね。

あとはSEO的な面でも得をします。Googleさんも「このイラストレーターは独自ドメインのポートフォリオサイトを持ってるから、プロなんだろうなぁ」という判断を下す傾向にあります(※すごく抽象的な例えです)

独自ドメインを取得するには?

独自ドメインを取得するのはカンタンで、ドメイン会社のウェブサイトで欲しいドメイン名を申請して、お金を払ったら終わりです。日本ではこのあたりのドメイン会社が有名です。

値段は年間数千円、どこもそう変わらないので、馴染みのあるところでいいですよ。

そのあとで、ウェブサイトを作るときにサーバー上の設定で「このドメインが呼び出されたら、このサイトを表示させる」っていう結びつけをします。これは、自分で設定する必要があります。

独自ドメインはその名の通り世の中に一つでなければならないので、先に取られている名前は買えません。

独自ドメインの決め方は、この記事を参考にしてください。

ポートフォリオサイトに書くこと・内容は?

ポートフォリオサイトには、何を書いたらいいか?どんなコンテンツを用意したらいいか?という疑問に対して。

まずは考え方

ポートフォリオサイトを作って仕事の依頼が来るようになりたい!
↓↓↓
それには、どんなコンテンツを揃えたらいいか?

こんな感じで考えていきます。

単にイラストを並べまくるだけでは仕事の依頼は来ません。じゃあどうすればいい?と思ったなら、依頼する側の観点で考えてみましょう。

発注側の目線で見ると、こういうことが知りたい

  • このイラストレーターってどういう実績を持ってるの?
  • ほんとにプロなの?(最近はSNSで自称イラストレーターみたいな人多いから心配)
  • こういうものを発注したいけど、対応できるの?
  • 納期が決まってるけど、対応してもらえるかな?

こういうことに答えを示せるようなウェブサイトだと、仕事の依頼が来るでしょう。

実績一覧を書こう

これまで請けた仕事内容が一覧できるページを設けよう。「なんていう媒体のどんな内容のコンテンツに対してイラストを提供しました」という事実を書きます。実績があることを示せば「このイラストレーターはプロなんだな」ってことが伝わります。これで発注側はひとつ安心を得ます。

得意分野や特徴を書こう

「こういう媒体のこういうコンテンツにイラストを提供することが多いです」「こういう題材をこういう感じに描くことが得意です」ってことをお伝えする文章主体のページを設けよう。それにより発注者は「今頼もうとしてるイラストは、このイラストレーターで対応できるかな」ということが判断できます。

納期について書こう

もちろん依頼内容によってどのくらいかかるかなんてまちまちだけど、「こういうタッチの場合はこれに比べると日数が要ります」とか相対的なことは言えますよね。実際の制作スケジュールをサンプルにした日程表とか、「依頼から納品までの流れ」みたいなのもおすすめ。

イラストは画像だけ貼り付けない。情報を載せよう

イラストには「このイラストが発注された際、こんな内容でこんな要望で、それに対して私はこういう対応をして、全部で何日くらいかかりました」っていう情報を添えましょう。イラストを貼るだけだからただのイラスト観賞ページになっちゃう、だから一般人や同業ばっかりが見に来るんです。情報を添えることで「仕事依頼のサンプル」に進化します。すると仕事依頼を近づける。

受発注時に必ず確認すること、約束事を書こう

成果物の著作権の取り扱いとか、二次使用の取り決めとか、修正費についての取り決めとか、仕事を引き受けるにあたって必ず相談しなきゃいけないことについてこちらのスタンスを表明しておくページを設けよう。

プロフィールには顔写真を載せよう。似顔絵ではなく

なぜ写真?「たしかにその人は生きて活動している」ということが伝わるのは写真だけが持つ不思議な力だから。イラスト制作という商売に対する覚悟を示すためなのでプライバシーどうのこうのという文句は的外れ。

一度も顔を合わさず受発注することの多いこの時代、100ピクセルほどの小さい画像たった一枚で発注者に安心を与えられるので「信頼コスパ」がいいのです。

プロフィール文の書き方

個人的なプロフィールとビジネス用のプロフィールは全く別って思ってください。ビジネス用のプロフィールっていうのは、「職歴や経歴」「得意なこと」「私は客にどんな貢献ができる・どんな利益をもたらすことができる(ベネフィットっていいます)」、これらの項目をぎゅっとまとめたものです。難しければ「職歴・経歴」を中心にして事実のみで構成してもいいです。

反対に、趣味や推しのことばかり書いたり「私はこんな性格です」と主観を入れまくったのが「個人的なプロフィール」です。それは仕事を引き寄せる効果がないので、ポートフォリオサイトでは封印してください。

プロフィールの書き方はこちらのnoteでも書いたのでよろしければ。

【3】仕事の取れるイラストサイトを作るためには、こんな材料をそろえよう|いしつく! / イラストサイトのつくりかた|note

ポートフォリオサイトにはイラストの値段を書くべきなの?

諸説ありますが、いしつく!は値段を大っぴらに書くことは推奨しません

たしかに、値段があらかじめわかっていると発注者には嬉しいでしょう。値段表を用意しておくことは、良いことです。

ただ、値段を公開すると、値段だけで比較する発注者が現れます。イラストレーターそれぞれの実績や得意分野を無視して「とにかく安いイラストレーターに発注しよう」なんて依頼主がいたとしたら、それは相当ヤバい仕事であるはずです。中抜きされすぎて制作費が削られまくってるとか、とにかく引き受けてくれりゃ誰でもいいとか。ようは炎上案件ぽいやつを引き寄せるファクターになりうるってこと。

もし値段表を用意するなら、健全なお客さんにだけ値段を知らせるようにする工夫があったほうがいいですね。例えばPDFファイルの資料という形にして特定の人だけダウンロードできるようにする。

オシャレなデザインのポートフォリオサイトを作るな – なぜ?

イラストサイトのサンプルを知りたいなら企業サイトを見よう

オシャレデザインにこだわる人は、コンテンツを無視しがちだからです。

ポートフォリオサイトはオシャレデザインよりも中身(コンテンツ)を重視しましょう。デザインがイマイチでも内容がしっかりしてれば、その方が仕事依頼は来ます。

ふつう、ウェブサイトとかチラシとかなんでもいいんですけど、内容を伴う販促物は、こんな流れで作ります。

  1. それを作ることで叶えたい何かがある(売上向上/仕事ゲット、など)。
  2. そのためにはどんな内容(コンテンツ)が必要?用意しよう。
  3. その内容(コンテンツ)がより良く伝わるためには、こんなデザインが最適だろう。

デザインの登場はいちばん最後。デザインの心得がある人なら、それくらい知ってますよね?

なのに、なぜか自分のポートフォリオサイトってなるとこの流れ一切無視して、オシャレな画面構成のことしか考えられなくなる。そういうクリエイターが多いんです。

「参考になるオシャレなポートフォリオサイト○選!!」みたいな記事をしっかり読み込み、「こんなサイトを作りたい!!」とパクリ元を見つけ、それを再現する。そこに力を注ぎ始めた人は、中身のことを無視しはじめます。「こんなに文章が長いと見た目がアレだから画像だけにしちゃお〜」など。

こうして、役に立たないポートフォリオサイトができあがる。当初願ってた「仕事の依頼」も来ない。

こういう話してると「オシャレすぎて中身のないポートフォリオサイトだって、ブランディングのために必要なんだ!!」みたいな反論でカラんでくる人がたまにいるんですが、ブランディングってそういう意味じゃないからね?

「非常にオシャレなデザインで、なおかつ情報もしっかり伝わってくるポートフォリオサイト」なら素晴らしいです。でもそんなの一朝一夕で作れるものではないので、ウェブ知識の乏しい人が初めから目指すのはちょっと違うと思います。

ポートフォリオサイトはデザインよりも構成が大事

「オシャレすぎる見た目にしたい」とか、「クリエイターとしてこだわりを見せたい」って意味でのデザインは無用の長物ですが、読みやすくする・使いやすくするという意味でのデザインは大事です。この話は非常に専門的なので割愛しますが、ようするに「シンプルでいい」と覚えておいてください。

で、もうひとつ大事なのが、要素の構成です。配置、って言ってもいいです。

あなたのポートフォリオサイトを訪れた人が、サイト内のいろんなコンテンツを読んだ結果、あなたの仕事内容に納得して、問い合わせというアクションを起こします。このアクションにつながるようにするためには、効果的な配置ってものがあります。

その実例を知りたい方にはこのnote記事がおすすめです。

【4】仕事の取れるイラストサイト、レイアウトの正解例|いしつく! / イラストサイトのつくりかた|note

ポートフォリオサイトとブログの関係

イラストレーターのブログのNG例

イラストレーターからの質問で「ポートフォリオサイトとブログ、どっちを作るべきですか?」というのが多いんですが、これは考え方を変えてください。

正解からいうと、「ポートフォリオサイトとブログ、両方の要素を合わせたサイトを、ひとつのドメイン下で運営すべし」です。

ポートフォリオサイトとブログ、両方を補い合わせることで検索に強いウェブサイトを作れるからです。

よく「ポートフォリオサイトはジンドゥーで、ブログはAmebaで」みたいなことをしているイラストレーターを見かけますが、これは非常にもったいない。ぜひ、独自ドメインをつけてそこに統一してください。

ブログに何を書くかですが、日記は意味がないですよ。あと、同業者向けに「イラストレーターになるには」とか「ポートフォリオサイトの作り方」とかを書いているイラストレーターも多いですが、これもおすすめしません。じゃあ何がいいのかというと「見込客の役に立つ情報」です。

具体的なタイトルとかを知りたい方は、この記事が役立つと思います。

イラストレーターさんのための、仕事につながるブログの書き方|いしつく! / イラストサイトのつくりかた|note

ポートフォリオサイトに本名を載せるべき?

イラストレーターとしてどう名乗るかによります。基本は本名を載せます。「この名前で生きてく」って心に決めたペンネームを持っている人は、ペンネームでもいいです。本名で活動するけどポートフォリオサイトにはTwitterアカウントだけ載せます、ってのはさすがにふざけすぎです。

「本名を出さなくても仕事の依頼は来るってどこかのブログに書いてあったんだけど!!」って怒って絡んでくるイラストレーターがたまにいますが、それらの依頼内容を統計調査できるとしたら、どうなんですかね。本名を晒す覚悟のある人のほうが企業の信頼を得やすいんですから、「いい仕事」は本名の人のところにいくでしょう。

ちなみに住所もきっちり書くべきですが、ムリという人が多いと思うので、市町村レベルまでは書きましょう。または、バーチャルオフィスを契約しましょう。

この辺りの参考記事はこちら。

本名を晒すのにも顔写真を使うのにも覚悟が持てない、住んでいる街の名さえも怖くて明かせないっていうんなら、イラストレーターなんて諦めて就職しなよ、って思います。個人事業主/フリーランスってのは、自分の責任で商売を運営するってことなんで、その程度の覚悟すら持てないならこの先つらい思いするよ。

ポートフォリオサイトもスマホ対応は必須

イラストレーターサイトを作るのにはレンタルサーバ?作成ツール?

ポートフォリオサイトってパソコンで閲覧されることが多いからスマホ対応なんていらないよね?というのは完全に過去の話。検索順位にも関わる可能性さえある重要要素になったので、イラストレーターのポートフォリオサイトに限らずどんなウェブサイトでもスマホ対応は必須!って覚えておいてください。

この点、WordPressでできあいのテーマを使う人、ジンドゥーやWixやAdobe Portfolioを使う人はあまり意識しなくて大丈夫です。でも自分でイチからデザイン考えたい人は勉強が必要ですね。

問い合わせフォームの作り方は「問診票」

メールアドレスだけ載せて「ご依頼はこちら」じゃなく、問い合わせフォームをつけましょう。さらに、シンプルすぎるフォームよりも項目数の多いフォームの方がGoodです。詳しくはこちらの記事で。


他にも伝えたいこと・考えるべきことはまだまだありますが、ここらへんにしておきます!もっと知りたい人は「いしつく!の教科書」も読んでみてください。

ポートフォリオサイトを作るのは、けっしてラクじゃない。だけどここで挙げたようなことを踏まえて真剣に取り組めば、必ず仕事という実りを連れてきてくれるから、がんばって。応援してます。

いしつく!の教科書

「仕事の依頼が来るポートフォリオサイトって、どうやって作ったらいいの?」

そんなイラストレーターに読んでほしい全5章のnoteマガジンです。専門用語はできるだけ使わずに書きました。

目次 & 概要

よかったら、こちらの記事も読んでみて。