WordPressでイラストポートフォリオサイトを作ろうとしているイラストレーターへ。イラストレーターでもありつつWordPress公式プラグインを開発したりもしているいしつく!から、どんなテーマを選べばいいか教えます。
ぶっちゃけ言わせていただきます。「クリエイターのポートフォリオサイト向けに作られたクールでオシャレなテーマ」を使わないでください。それだと十中八九、仕事の依頼が来るウェブサイトは作れません。
あと、テーマだけで思い通りのウェブサイトを作れるわけじゃないので、その辺のこともこの記事ではお伝えします。
ポートフォリオ用よりもむしろビジネス用を選べ
イラストレーターが本当に知りたいことってたぶんこっちよね↓
「企業から仕事の依頼が来るようなウェブサイトをWordPressで作りたいが、どうしたらいいのか」
もしそう思っているならば、オシャレカワイイクールな「クリエイターのポートフォリオ用」テーマではなく、ビジネス用・企業サイト用に作られたテーマを選択してください。
なぜ?というのは記事後半でお伝えするとして、まずはウェブ素人にも使いやすいビジネス向けテーマを紹介します。
ここでは無料で使えるWordPress公式テーマからピックアップしました。
おすすめWordPressテーマ1 : Lightning

日本製のWordPressテーマ。国内の企業サイトの定番と言っていいほどダウンロード数も多く、ウェブ制作の現場でもみんな知ってるテーマです。日本で使っている人が多いということは、その情報も多いということなので、もしカスタマイズしたくなった場合も安心です。
Lightning – WordPress テーマ | WordPress.org 日本語
おすすめWordPressテーマ2 : Attitude

海外製のテーマですが、信頼性を感じる落ち着いたデザインで、カスタマイズ項目も備えています。レティーナディスプレイ対応なのでイラスト画像を綺麗に見せられます。
このテーマは士業や医院に人気なんですが、イラストレーターもこういった職業と同じく、仕事の依頼をゲットしたければ、オシャレよりも信頼性ですよ。信頼性を感じるデザインとか内容がいかに大事か、ってことをきっちり押さえたテーマです。
Attitude – WordPress テーマ | WordPress.org 日本語
おすすめWordPressテーマ3 : Rara Business

無料のわりに高機能なビジネス用WordPressテーマ。ビジネス向けの要素をきちんと備えつつ、作品集セクションも持たせられるので、作品画像を多く見せたい&仕事をゲットしたいというイラストレーターにマッチします。
Rara Business – WordPress テーマ | WordPress.org 日本語
以上、イラストレーターにも使いやすいビジネス向けWordPressテーマを挙げました。いずれも有料版がありますが、無料版で十分です。他にも探してみたい人は、WordPress公式サイトで「Business」と検索すれば色々出てきます。
WordPress テーマ | WordPress.org 日本語
テーマだけでは思い通りのサイトは作れない
WordPressって、インストールして、テーマを選んで、いろいろ投稿すれば、あら?たったの1日でウェブサイトができちゃった! ってことができるので、そこはホントにすごいんです。
ただ、それだけでは「思った通りのウェブサイト」を作ることはできません。なので、テーマ選びにパワーを使いすぎるのは間違ってます。
公式テーマは「完全なる着せ替えの服」
WordPress公式テーマは無料で使えるし、コードの中身もチェックされたものなので、安心して使っていい。
ただ、ひとつ注意しておくべきことがあります。
テーマがWordPress公式のお墨付きになるための条件のひとつに「いろいろ余分な機能を持たせないこと」というのがあります。
なので、公式テーマは安心ですが、それだけでできることは限られています。いろんな機能をつけたければプラグインが必要です。
思いどおりに作ろうとしたらいきなり壁に当たる
たとえばWordPressで「ブログと作例のページとお知らせを別コーナーに分けて、それぞれを違うデザインにしたいな」と思ったら、プラグインの設定に加えて、テーマの改造も必要です。
それには、HTMLやCSS, Sassの知識が必須です。それとWordPressのテーマはPHPというプログラミング言語で書かれているので、最低限でもいいのでその知識が必要です。
ウェブの素人にはなかなか高いハードルでしょうね。
WordPressってよく聞くので、誰にでも簡単に使えるのかな?って思っているイラストレーターが多いけど、それはある意味においては大間違いです。
あんまりカスタマイズせずに適当に作るだけなら誰にでもできるけど、ちょっと本気を出すとすぐ壁に当たる。WordPressってそういうところがあります。
そもそも何のためにウェブサイトを作るのか
ところで、いまこれを読んでるイラストレーターさんに問いたいんだけど。
ウェブサイトをわざわざ作りたいのってなぜですか?
ポートフォリオサイト、イラストサイト、個人サイト、呼び方はなんでもいいんだけど。
イラストを他人に見せたいだけなら、SNSで十分じゃないですか。なのにわざわざお金を使ってサーバーを借り、初めてのWordPressをインストールし、ウェブ制作のプロでもないのにわざわざウェブサイトを作ろうとしているのですか?
当てましょうか。
「仕事依頼をゲットしたいから」でしょう?
あんまそういうことを大っぴらに言いたくはないだろうけど、私が今までお会いしてきたイラストレーターさんも、全員がその答えでした。
外見よりも大切なのは、ウェブサイトの中身
あなたも「お仕事の依頼が欲しい」と思っているんなら、大事なのは、テーマとか外見よりも、ウェブサイトの中身です。「何で」作るかよりも、「何を」作るか。それはコンテンツや文章というだけでなくて、メニューや細かな要素の配置も含みます。
適当に体裁を作って絵を貼り付けただけのウェブサイトで仕事の依頼が来るわけないんですよ。じゃあどう作ればいいか、ってのが重要です。そのあたりはいしつく!ブログのあちこちでお伝えしているので、ぜひ他の記事も読んでみてください。
オシャレポートフォリオテーマは「仕事依頼ゲット」のために作られたものではない
ここであらためてお伝えしたいんですが、「クリエイターのポートフォリオサイトのために開発されたオシャレでクールなデザインのテーマ」を選んではいけません。もしも「ウェブサイトから仕事の問い合わせが来るようになってほしい」と考えているのならば。
なんでかというと、それらは「クリエイターさんが仕事を増やせますように」と考えて作られたものではないからです。
「クリエイターのポートフォリサイト用テーマ」は、オシャレで、スタイリッシュで、最先端ぽいデザインで、作品画像をたくさん見せることができて、……ってなことだけを考えて作られています。
オシャレデザインのギャラリーサイトは、よほどの知識と工夫でもって作らない限り、「オシャレだけど仕事の問い合わせは全く来ないクソサイト」になる可能性が非常に高いです。でも、オシャレポートフォリオ系テーマにおいては、そのことは一切無視されています。
なんでそうなってるのかというと、イラストレーターやクリエイターがみんなそういうやつが大好きだからです。オシャレで、スタイリッシュで、最先端ぽいデザインで、作品画像たくさんで文字少なめのウェブサイトを欲しがるからです。
だもんで、WordPressテーマの開発者も「あんたたちクリエイターはこんなのが好きなんでしょ?」というものを作ります。せっかく作るのだもの、多くの人に使ってほしいもんね。
まあ、言うたら、クリエイターと開発者、両者の思惑が一致するわけです。
オシャレ系ポートフォリオテーマってのは悲しきモンスターなんです。もっとも大切なはずの「ビジネスをうまく行かせるには」という概念を、開発者と利用するクリエイターがお互いに無視しあった結果生まれたもの、という。
だから、ビジネス用のテーマを選んでください。WordPressテーマを選ぶだけでは思い通りに作れない、というのは前述のとおりですが、せめてビジネス用テーマを選べば、仕事獲得への道は少しですが縮まります。
まとめ : WordPressで「仕事の依頼が来る」ポートフォリオサイトを作るには?
この記事でお伝えしたかったことは次のとおり。仕事の依頼や問い合わせが来るウェブサイトが作りたかったら、これを知っておいてください。
- クリエイター向けポートフォリオサイト用テーマを使うな。
- WordPressでテーマを選ぶときは、ビジネス用・会社サイト用として作られたものから選ぼう。
- ただし、テーマだけでは思い通りのウェブサイトは作れない。本気でやるならHTML、CSS/Sass、PHPの知識が必要。
- 大切なのは、外見でもツール選びでもなく、「どんなウェブサイトを作るか」。ここを間違えると、仕事の役に立つウェブサイトにはならない。
仕事の問い合わせが来るウェブサイトとは、どんなふうに作ったらいいのか?ということをお伝えしたくて、note「いしつく!の教科書」を公開しておよそ1年。
だけど、「お手本どおりにWordPressで作ろうとしたけど、どこをどう変えたら作れるのかわからないよ……!!」というお声も、読者のイラストレーターさんから寄せられるようになりました。
というわけで、いしつく!がいま開発中なのが仕事の取れるポートフォリオサイトそのものを、あなたのWordPressにインポートできるデータセットです。仮称「いしつく!データセット」。それがあれば、手順に従って操作するだけで理想系のウェブサイトの雛形ができて、あとはプロフィールや作品を投稿していけば自分オリジナルのポートフォリオサイトができる、というもの。
もう少しで公開できそうなので、ご興味のあるイラストレーターさんはTwitterでフォローの上お待ちください。