イラストレーターのペンネームと屋号の決め方 — 本名がベスト

イラストレーターを名乗り始めたばかりで、ペンネームの付け方に悩んでいる方へ。

いしつく!では、こうアドバイスしています。
特別な理由がなければ本名を名乗りましょう

「クリエイターは変なペンネームをつけるもの」って思っているとしたら、それは違うよ。なぜ本名がいいのか、ペンネームをつけるとしたらどうするのがいいのか、ポートフォリオや名刺はどうすればいいのか、などについて解説します。

イラストレーターは、本名を名乗るのが基本

前提として、いしつく! では、イラストレーターとは企業等からイラスト・挿絵の受注制作をし納品する職業、と定義しています。

イラストレーター = インフルエンサー/タレント、だと思っている人もいるらしく、そういう人たちにはまた違った系統の考え方があると思います。が、ここではその話は扱いません

で、イラストレーターの名前について、結論からいうと、次のとおり。

  • イラストレーターは、本名を名乗るのが基本
  • ペンネームをつける場合は、ふざけたペンネーム・単語ペンネームは避ける
  • ペンネームをつけるなら、一生その名前で生きていく覚悟でつける
  • ペンネームは「姓 + 名」の形を守る、または、本名の表記違いにする
  • 屋号もあったほうがいい (信用を得やすい)
  • ペンネームをつける場合は、ポートフォリオ・名刺・メール等もペンネームで通す

本名を名乗るほうがいい理由は、主に2つ。

  1. 信用を得やすいから
  2. イラストレーターは、長く名前が残るから

では、くわしく解説していきますね。

本名を名乗る理由 1 : 信用を得やすい

フリーランスイラストレーターさんのための名刺の作り方

イラストレーターは、企業から見れば「外注業者」です。

本名を名乗ることは「逃げも隠れもしませんので、それなりの覚悟と責任で仕事を引き受けますよ」って表現です。だからビジネスの現場では誰しも本名を名乗る。当たり前のことなんです。

一方、ハンドルネームみたいな記号的なペンネームやニックネームっていうのは「本来の自分は見せません」という意味です。

どちらの方がビジネス現場で信頼を得やすいか、説明するまでもないですね。

そういう意味では、本名は楽チンなんです。これから実績を積んでいきたい方ならなおのこと、仕事相手からの信頼が欲しいのではないですか?

本名を名乗る理由 2 : 長く名前が残るから

本の奥付に名前が載る

イラストレーターのメインの仕事のひとつは、書籍の挿絵の制作です。書籍の仕事をすると、必ず奥付に名前が載ります。本は半永久的に世の中に残ります。

どうせ名前を刻むのならば、現実世界の本物の自分の名前のほうがどう考えても誇らしい。ふざけたハンドルネームではなく本名を名乗っていてよかった。

私は、イラスト制作も執筆の仕事も経験した中で、心からそう思いました。

誰が見ても私だとわかる名前で、私が仕事をしたという証がちゃんと世間のどこかに残っている。これは誰しもが経験できることではなく、イラストレーターという職業には機会が与えられているものです。享受せねばもったいないと思います。

仕事の誇りなんてどうでもいいと思う人はこの話は忘れてください。個人的な考えです

ふざけたペンネームやハンドルネームを使わない

ふざけた単語やハンドルネームをペンネームとして名乗っているイラストレーターも多いですが、そういうペンネームはおすすめしない。

誰かを攻撃したいわけではないので、具体例は挙げません。お察しくださいませ

「人それぞれでしょ!」「クリエイターなんだからなんでも自由でしょ!」と文句を言いたい人もいるでしょう。自由は自由ですけど、世間からどう見られているのか知った上で決めても遅くはないですよ。

芸能人の芸名みたく、そういう名前の商品であるという意味を込めてペンネームをつけたい人もいるでしょう。自らの世界観を作り上げることの一環として、記号的で変わった名前が必要だ! という主張もあるでしょう。否定はしません。

ただ、そういった意味もなく、SNSでフォローしてるイラスト界隈の垢がみんなそうしてるんでなんとなく、という短絡的な決め方はしないほうがいいです。

それはわざわざ自分を低く見せる行為だし、それに、後から名前を変えるのは、なかなかに難しいことなので。

ふざけたペンネームの問題点

イラストレーターのペンネーム 変わった名前は避けよう

ふざけた単語系ペンネームやハンドルネームをおすすめしない理由は、信頼を得にくいからです。信頼性の点でいろんな損をします。

ビジネス目線では、ポジティブな印象がない

ペンネームを名乗る事情は人それぞれあるでしょう。が、発信側の思いとは反対に、取引先から見ればポジティブな印象がほとんどないのです。

一見して名前にも見えないようなふざけた系ペンネームは、取引先目線では「なぜそこまでして隠す必要があるのか?」と思えます。

恥ずかしいからなのか、トラブルを起こした時に名前を捨てて逃げるつもりなのか。それとも、本業が別にあるのでフルパワーで仕事をする気はないという表明なのか。

実務関連の取り回しが面倒

ペンネームを名乗って活動していても、企業との取引では、 支払や税金の処理のために本名を明かす必要があります。銀行口座も、個人事業主なら本名名義の人が多いでしょう。

変なペンネームだと、単純に事務作業上、面倒なことが多いです。「なんて読んだらいいかわからなくてソートできない」とか「毎回振込先を照合しないとわからない」など。あと「電話口で名乗られたけど聞き取れない」などの余分なコミュニケーションコスト。

しかもその負担は、自分ではなく取引先にかかることが多いのが痛いです。

仕事獲得のハードルを上げる (自分で)

ふざけたペンネームは「イラストレーター界隈」だと普通なのかもしれませんけど、それ以外の大多数の人には「子供っぽい」「SNSの内輪ノリ」と思われています。

ビジネスには、イメージや印象ってとても大事なものです。ファーストコンタクトの時点で「あーなんか内輪ノリ系かぁ」と思われるのは、損でしかありません。

変なペンネームを名乗っていると、常にマイナススタートです。ということは、その印象を巻き返すくらい実績や経歴が立派でないと、相手に響かない。自分で自分のハードルを上げてしまうのです。

本名を名乗っていれば、こんな損をする必要がありません。選ばれるイラストレーターになりたいなら、本名。ってことですね

ペンネームをつけるなら、一生その名前で生きていく覚悟でつける

ペンネームは一度つけたら基本は変えないもの、って思ってください。イラストレーターとしてその名前でずっと生きていく! と思える名前をつけてください。

ペンネームをつけるか否かはクリエイター自身がそれぞれ決めることですが、問題なのは、SNSだけ見て「変なペンネームこそ正義」と思い込んでいる人がどうやら多そうなこと。

ペンネームに後悔するイラストレーターもいます。実際、当初は謎単語系ハンドルネームを名乗っていたけど、数年経って、やっぱり本名で活動していくことにしました、というイラストレーターを何名か知っています。

ふざけた系ペンネームって、今はよくても、歳をとってから「恥ずかしい」「痛い」って思う可能性が高い

ペンネームは「姓 + 名」の形を守る、または、本名の表記違いにする

創作的な名前で、かつ、ビジネス上の信頼も損なわないペンネームの付け方として、いしつく! では次のようにアドバイスしています。

  • 姓 + 名」という名前のフォーマットを踏襲する
  • または、本名を表記違いにする

ペンネームは、ずっと長らく名乗っていく名前です。普通に考えると、日本で生まれ育った人ならば、日本人の名前のフォーマットに合わせるのがしっくりくるはずです。
これだと、ビジネス面でも「痛い」印象は与えにくいですよ。

また、本名をひらがなやカタカナ表記にするパターンもあります。姓か名前一方だけ表記を変える、というのもありますね。これなら字面はペンネームぽく見えるけど、口頭で名乗るときは自分の名前と同じだから違和感ありません。

屋号の決め方

屋号とは、会社でいうと会社名にあたるもの。イラストレーターの多くは個人事業主ですが、個人事業の事業名が「屋号」です。

ペンネームと屋号の違いは、これ。

  • ペンネーム = クリエイター個人としてどう名乗るか
  • 屋号 = 事業の名前

屋号がついていることで、ビジネスとしてやっていることが伝わりやすいので、つけたほうがいいです。ただ、これもペンネームと同じく、基本は一度つけたら変えないものですので、しっかり考えてください。

屋号の決め方のコツとしては、

  • ◯◯◯事務所
  • ◯◯◯工房
  • ◯◯◯イラスト制作所

のような、フツーで昭和っぽい屋号が結局何かと信頼されやすいのでおすすめです。

これらは検索キーワードとして素敵という点もメリットです。パッと見て制作をやっている人、というのが一瞬でわかります。そういう名前は検索に強いです。

仕事のためにウェブサイトを作る場合、屋号をサイト名にすることが多いと思いますけど、その時のことを考えると、オリジナリティのある単語よりも「◯◯◯イラスト制作所」的な屋号のほうが強いといえます。

屋号は、つけるかどうか自体も自由です。会社名は必ず法務局に登録しないといけないですけど、屋号はなくても大丈夫です。

が、つけたほうが信用を得やすいと思います、実感として。一番信用を得やすいのは、屋号 + 本名という構成です。

ポートフォリオサイト (ウェブサイト) には、名前も屋号もしっかり載せる

イラストレーターさんが自作したポートフォリオサイトへのダメ出し
どれが屋号で、どれが名前なのかよくわからないサイト

せっかく屋号やペンネームを決めてあるのに、ポートフォリオサイト (ウェブサイト) にきっちり載せていない、というケースがあります。これ気をつけましょう。

ウェブサイトを見た人から仕事の依頼が来るようになりたかったら、屋号や名前ははっきりわかるように掲載します。プロフィールページでも、なんとなくハンドルネームやニックネームなどでお茶を濁さないで、屋号と名前をきちんと掲載します。

名前すらよくわからない人に仕事を依頼する企業なんてまずありませんからね。

ポートフォリオ、名刺など、実務上の名前の表記はどうする?

本名の人は常に本名で、というのは当たり前なんですが、ペンネームを名乗る人も、仕事上は常にペンネームを名乗るようにしてください。

いろんな場面で名乗る・掲載する名前については次の表にまとめました。

表内の「活動名」とは、本名またはペンネームのこと。本名で活動する人は本名、ペンネームで活動する人はペンネームです

場面説明
名刺屋号 + 活動名
メール– 常に、活動名を名乗る
– 署名欄は 屋号 + 活動名
ポートフォリオ屋号 + 活動名
ウェブサイト (ポートフォリオサイト)– サイト名を屋号に
– プロフィールに屋号 + 活動名
SNSの表示名– 活動名
– 屋号でもOK
請求書– 屋号 + 活動名
– 取引先からマイナンバーと本名 (身分証明証) の提出が求められる
銀行口座の名義– 基本は本名のみ
– 屋号やペンネームでの口座開設ができる銀行は少ない
決済サービスの開設 (Stripe、PayPal)– 屋号での開設も可能 (審査あり)
– 本名・住所・身分証明証の提出は求められる

というわけで、ペンネームで活動していても、企業と取引する場合は本名と住所を隠したままではできません (請求書、銀行口座の欄を参照)。

FAQ (よくある質問)

本名を晒すのに抵抗があるのですが

このように考えてください。例えば会社の代表や役員になると本名は公式に晒されますし、SNSで実名で活動しているビジネスマンもいっぱいいます。過去活躍した芸術家はたいてい本名です。イラストレーターはその人たちと同じレイヤーに立つべきです。

本名で活動することでSNSで炎上して危ないのでは、みたいなのはわかるけど、それはどちらかというと、どうでもいいことで炎上を焚き付ける人たちのほうがおかしいのです。ふつうに本名で活動できる社会じゃないとおかしいでしょ。

素人時代からニックネームでやっていたSNS。本名に変えるべきですか?

はい、どこかのタイミングで変えるといいと思います。もしくは本名+ニックネームの表記にするとか。本名垢をまた別に作る、というのはおすすめしません。個人のSNSは分ければ分けるほどおかしくなっていく。

屋号とペンネームの違いがよくわかりません

屋号は、個人事業主の事業名のことで、会社だと会社名に相当する部分です。なくてもOKですが、あったほうが何かと信頼はされやすいです。ペンネームは、個人としてどう名乗るか、という名前です。

企業にメールや請求書を送るとき、本名を併記した方がいいですか?

いいえ、本名の併記はしないでください。ペンネームで活動するって決めたなら、仕事では常にペンネームを名乗ってください。ただ、税務の都合などで本名や身分証が必要な場合があるので、求められたら素直に提出してください。

おまけ: ペンネーム名乗る人は、メールの署名欄やFrom欄もペンネームを記載するように注意してください。クリエイターとのやり取りで、ペンネームを名乗っているはずの人なのに本名が表示されてて「誰???」ってなることが非常によくあります。とても困ります

まとめ: ペンネームと屋号の決め方

この記事ではイラストレーターのペンネームと屋号の決め方について、こんなことをお伝えしました。

  • 本名がベスト。理由は2つ、信頼を得やすく、世間に長く残る名前だから。
  • ふざけた単語やSNSのアカウントをそのまま名乗るようなペンネームは使わない
  • ペンネームは日本人の名前のフォーマット (姓名) に合わせるか、本名の表記違いがおすすめ
  • 屋号はあると信用を得やすい。検索キーワードも意識できるとなお良
  • ペンネームをつける場合は仕事では常にペンネームを名乗る。ただし取引先から本名や身分証を求められたら速やかに提出を

さて、イラストレーターとしての名乗り方が決まったら、他にも決めておくべきことがありますよ。ぜひチェックしてみてください。

イラストレーターのための
仕事の取れるウェブサイトの作り方

「ウェブサイトで仕事依頼が来るっていうけど、どう作ったらそうなれるの?」

そんなふうに思ったこと、ありませんか?

ウェブサイト (ポートフォリオサイト) を作るとき、同業者の見よう見まねだけでは、せっかく時間をかけても一向に仕事依頼につながらないことも。
そうなったら悲しいですよね。

そこで開発されたのが「いしつく! の教科書 [改訂版]」、全6レッスンの記事集です。仕事の取れるウェブサイトの作り方・考え方はあります。ぜひ知ってください。

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