個人サイトの作り方やサンプルを探しているイラストレーターや絵師へ。イラスト個人サイトを作るなら、その目的をはっきりしよう。
友達のと馴れ合いがしたくて個人サイトを作ろうと思っているのなら、仕事の窓口となるウェブサイトはそれとは分けて作ること。
イラスト個人サイトの作り方
まずは、個人サイトを作ろうとするイラストレーターがかならず知りたがることから紹介しましょう。どんなツールで作ればいい?という話。
サーバー契約でWordPress?JimdoとかWixなどの無料制作ツール?どちらでもOK!
ぶっちゃけ、ツールはなんでもいい。「何のツールで作るか」よりも「どんな内容のサイトを作るか」のほうがずーーっと大切だから。詳しくは記事後半で。
もちろんベストは、ウェブサーバーを契約して自前の技術で構築、です。WordPress使う人が多いかな。HTMLで作るのも動作が軽くなるから意外とオススメですよ。
レンタルサーバーのおすすめは?【イラストサイト・ポートフォリオサイト向け】 – いしつく!ブログ
でもそういうのハードルが高い人は、制作ツールでもいいですよ。
ジンドゥーとかWixとかありますよね。お好きなのでいいです。無理なく扱えて更新を続けていけることが大事。「絶対に勉強してWordPressかHTMLにすべき!」とか思わなくていいですよ。サーバー契約でも、制作ツールでも、使いやすい方がいいです。
でも独自ドメインはつけて当たり前って思ってください。余談だけどメールアドレスもgmailのままとかにしないでドメインのついたのを用意すること。
ただしジンドゥーとかでも無料プランではドメインをつけられないので、無料プランは使わないこと。「無料ツール」って呼び方が浸透してるけど無料ではダメよ。
余談だけどイラスト画像は必ず「すかし」入れましょうね。右クリック禁止は意味ありません。
制作ツール=絵心ない人のための自動イラスト作成アプリ、みたいな感じ
でも、完全に自分の理想のウェブサイトを作りたいなら、ウェブサーバーを借りて自前の技術で作る、それ以外の選択肢はないので、それだけ覚えといてください。
なぜなら制作ツールとはウェブ素人でも使えるように、できることを絞って単純化したものだから。
イラストで例えると「パーツを選んで組み合わせるとお好みの絵ができあがるよ!描けなくても大丈夫!」みたいなサービスがあったとしたら、それが制作ツールだと思ってください。いやいや画材があれば一から描けるんやが……という人がサーバーで自前制作に相当する、という感じかな。
最初は制作ツールで作ってみて、物足りなければ後から技術を勉強して、レンタルサーバー+自前に作り変えてもいいんじゃない?でもそのとき、元のサイトが無料プランだったら、そのURLはもう捨てるしかない。
そこで最初から独自ドメインをつけとけば、新しく引っ越した場合でも検索エンジン上の存在感を多少は引き継げます。制作ツールでも無料プランはダメ、独自ドメイン必須というのはこれが理由。
独自ドメインは変に凝ったのとかにしないでわかりやすいのにしてくださいね。
あえておすすめするなら、Adobe Portfolio
制作ツール、どれがいい?って迷っているイラストレーターには「Adobe Portfolio(アドビ ポートフォリオ)」をおすすめしときます。
なぜAdobe Portfolioがいいのか?独自ドメインの割当が、Creative Cloudを契約していれば無料でできるからです。イラストレーターの大半はCC契約しているはず。あとはBehanceにアップロードしたプロジェクトをそのまま読み込めたりするので実績の更新もラク。これらは他のサービスにはない特徴です。
なのでクリエイターにおすすめ。詳しいことは別の記事に書いたので興味ある人は読んでみて。
でも実はツールの話よりも、もっと大切な話があるんですよね。
それは、「ウェブサイトを作って何がしたいか」。
個人的趣味サイトを作るな、とは言わない
ところで、ここを読んでいるイラストレーターに問いたい。
どんなサイトが作りたいの?
何が目的でウェブサイトをつくろうと思ってるの?
個人的に描いたイラストを展示したり、同業友達のいただきものイラストを展示したり、個人的な日記を書いたり、掲示板的なもので友達と交流したりする、オタクの人がよく作ってるやつですか?
それとも、オシャレにこだわって小さい英文字のナビゲーションメニューをつけたり、エンターページをつけたり、プロフィール文にやたらと個人的なことばかり書き連ねたりするやつですか?
イラストレーターの個人サイトっていえば、だいたいそんな感じですね。ほんとうに「個人」サイト、趣味の楽しみのために作ったっぽく見えるイラストサイト。
SNS全盛のこのごろ、趣味全開の「個人サイト」を復活させよう!という思いの人も増えているらしいですね。純粋に見る人を楽しませたい、と考えるのもそれはそれで素敵なことだと思います。
ただ、そういう感じのウェブサイトを作っても、そこから仕事の依頼が来るようにはならないから、そのつもりでね。
なぜ?どうするべきなのか?そのあたりの話をここから進めていきます。
イラストレーターの個人サイトは、なぜかいつも素人臭い
イラストレーターがウェブの素人なのはしゃあない。だけど、イラストレーターの個人サイトを依頼主の立場で見ると、「この人はただ趣味で描いている人?それともプロなの?」と、どうも判然としないことが多い。
絵の好きな素人が周りに見て見てしたくて作ったウェブサイトっぽい。だのに、いちおう「お仕事募集中」みたいなことは書いてあって、メールアドレスが添えてあるんだけど。
でも問い合わせフォームはない。実績リストとかもない。挙句、本名も、どこに住んでいるのかすらも一切書いてない。それでは仕事の依頼なんかこなくて当たり前なんだけどね。
あのですね、一生懸命作ったんだからそんなにDisらなくてもいいじゃん!みたいなことを言い出すイラストレーターが必ず現れるんですけど、訪問者からしてみればそんなの関係ない。
素人風ウェブサイトであっても、もしそれが、純粋に自己満足のためだけに作ったものならば、べつにそれでいい。でも仕事の依頼がほしいという。思いとイラストサイトの内容が矛盾している。
事実、大半のイラストレーターが「ウェブサイトを頑張って自作したけど仕事の依頼はほとんど来てないです」と言っています。
なぜそうなってしまうのか?
「あわよくば仕事も」ではなく、目的を絞れ
個人的な内容ばかりを載せつつ「あわよくば仕事の依頼が来ればいいのに」って感じでお仕事募集中って書いてある。
この「あわよくば」がダメなんです。
なんとなくイラストを描いて、なんとなく発表していたら、そのうち誰かから声がかかってお仕事ゲット!みたいなの信じている人いると思いますけど、そんなのは幻想です。
イラストサイトを作って、それが仕事依頼の問い合わせの窓口になってほしかったら、まずは「私はビジネスとしてイラスト制作を承っております」という態度を明確にすることがまずその第一歩です。
ちなみにウェブサイトだけじゃなくてSNSでの行動にも同じことが言えます。
イラストレーターはTwitterをどう活用すればいいの?仕事依頼を取りたい人向け – いしつく!ブログ
でも、イラストレーターや絵師の多くは、そこから逃げたいというか、直視したくないのですね。ビジネスとなると責任が発生して怖いし、そこまで覚悟できてるわけじゃないし、同業仲間同士の馴れ合いの方が居心地いいし。
なので、そういう態度のまま作ると、他人から見れば「いちおうお仕事募集中とか書いてはあるけどプロか素人かよくわからないイラストサイト」に出来上がってしまうわけです。何のことはない、イラストレーターや絵師自身のスタンスがわかりやすく出ちゃってるんですね。
そんなウェブサイトをみて仕事を問い合わせしようという奇特な人はごく少ない。だってもっと責任感ありそうな態度を表明しているイラストレーターのビジネスサイトが他にいくらでもあるからね。
結果、ちゃんとした仕事はそういう「ちゃんとした」イラストレーターのほうに行く。そしてあなたはいつまでも仕事=成長の機会が得られない。
これが「せっかくウェブサイトを作ったのに仕事の依頼がぜんぜん来ない」の仕組みです。
だから、そうなりたくなければ「あわよくば」は捨てなさい。態度をはっきりしろ。そゆことです。
馴れ合いサイトに来る訪問者は、客にならない
イラストの贈り合いとか、趣味全開のプロフィールとか。同業者との馴れ合いを純粋に趣味として楽しみたいんなら、それはそれでいいんです。
でももしウェブサイトを仕事の窓口として役立たせたいのだったら、同業者を呼び込んでも全く無駄です。同業者は仕事を依頼してこないからです。
馴れ合い系コンテンツとか、「イラストレーターになるには」とか「イラストの上達の方法」みたいな記事をどれだけ一生懸命書いても、仕事を増やすという意味では何の効果もありません。そもそもそっから間違っているイラストレーターが多い。
じゃあ誰に見てもらうと仕事が増えるのか、って考えると当然、それはお客様になりそうな人たちです。お客様になりそうな人たちはビジネスマンです。そんな人たちが馴れ合いコンテンツや「イラストレーターになるには」を見て、仕事の依頼をしようと思うわけがない。
来てほしい・見てほしい対象が変わると、伝えるべき内容も変わる。「誰が」依頼をしてくるのか?を考えると、何を伝えたらいいかも自ずとわかってきます。
仕事を得るには信頼を得よ。「絵を楽しませる」を忘れろ。
繰り返しになりますけど、個人の楽しみのためだけにウェブサイトを作るんなら、別にこんなことどうだっていいんですよ。好きに、自由に表現すればいい。
でも、仕事の依頼が来る窓口になれるイラストサイトにしたい場合は、違います。
素敵なイラストがいっぱい飾ってあるサイト ≠ 仕事が来るサイト
正しくは、こうです。
責任や信頼を表現したイラストサイト = 仕事の取れるイラストサイト
イラストレーターや絵師はとにかく自分の作品を見てもらおう、楽しんでもらおうとばかりする。それでは仕事の依頼は発生しません。
訪問者はイラストを鑑賞したいんじゃないんです。信頼できる依頼先を見つけたいんです。
依頼主にとって、イラスト自体は目的にマッチしていればそれでいい。依頼主がはるかに気にしているのは、そのイラストレーターが取引先としてちゃんとしていて責任持って仕事を遂行できるか、のほう。しかも相手が本や広告の制作現場にいる会社員ならばなおのことこの傾向は強まります。
だからウェブサイトでは信頼を得ることが大事です。ここを怠ると個人からのいい加減な依頼とかしか来ないようになってしまう。
個人趣味サイトと仕事用サイトは分けよ
ここまでちゃんと読んでくれた人なら、理解できたと思います。仕事の窓口になれるウェブサイトは、個人的趣味サイトとはかなり違うものだと。
馴れ合いや同業者向けのウェブサイトをやりたいのなら、それは仕事を得るためのウェブサイトとは別に作ってください。両方を混ぜるから「あわよくば」に見られるのです。
両者はそれぞれ、独自ドメインも分けてください。一人で複数のドメインを買うことくらい、どうってことありません。
そこまでしたくない?ウェブサイト作りにそこまで時間をかけられない?
だったら、イラストというテーマにおいて、自分が本当にやりたいほうを選んで、どちらかだけ作ってください。
ところで私が今まで面会したイラストレーターの中で、「完全に趣味だけでやりたいけどウェブサイトを作りたい」という人はひとりもいませんでした。たぶん、ほとんどのイラストレーターが、ウェブサイトを作るならばできれば仕事の問い合わせが来るようなものにしたいと願っているはずです。
というか、そうでなかったら、わざわざこの記事をここまで読んでいるはずがないと思う。
だったら、その思いに沿って作るのが正解じゃないですかねぇ?
仕事の取れるイラストサイトの作り方とは?
個人的すぎるコンテンツや同業者向けに何か書いても、仕事の役に立つイラストサイトは作れない、ということはわかった。
じゃあ、仕事の問い合わせが来るウェブサイトにするには、どう作ったらいいの?
その方法はすでにあります。その第一歩が、何度か出てきたように「私はイラスト制作をビジネスとしてやっております」という態度を明確にすること。素人に見られるようなコンテンツは極力排除すること。
他にも、この部分はこうした方がいい、ってアドバイスはじつは山ほどあって、ブログ記事一個ではとてもじゃないけど書ききれないので、noteで「いしつく!の教科書」っていうマガジンを作りました。
仕事の取れるウェブサイトを作って育てていくのはまあまあ大変で手間のかかることなんだけど、本気で取り組めば確実に仕事はレベルアップするよ。
いしつく!の教科書|いしつく! / イラストサイトのつくりかた|note
いしつく!の教科書
「ポートフォリオサイト、自作してみたけど、仕事依頼なんて一回も来たことない」
そんなイラストレーターに読んでほしい全5章のnoteマガジンです。専門用語はできるだけ使わずに書きました。
目次 & 概要
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まえがき 9割のイラストサイトは仕事の役に立っていない
そもそもウェブサイトを仕事に役立てること自体が無理なのでは?そう思っているかたに、私の体験をお話しします。まえがきを読む » -
第1章 イラストサイトに仕事の問い合わせが来ないのは、こんな勘違いをしているから
「作品ギャラリー」を作ろうとしたり、ウェブサイトなんか活用できないものと思い込んでいたり。よくある勘違いを挙げました。1章を読む » -
第2章 仕事の取れるイラストサイトを作るための、正しい作戦
どう作り、どう利用していくべきか、という全体の作戦をお伝えします。いちばん大切なのは、信頼を得ること。バズや過剰なアクセス稼ぎは要りません。2章を読む » -
第3章 仕事の取れるイラストサイトを作るためには、こんな材料をそろえよう
ドメインやサーバー、コンテンツの用意のしかたを解説します。プロフィール文の改善例や、イラスト画像の準備のポイントなど。3章を読む » -
第4章 仕事の取れるイラストサイト、レイアウトの正解例
実際に運営されているウェブサイトのレイアウトとページ構成を解説します。なぜそのようになっているのか、デザインには理由があります。4章を読む » -
第5章 作ったあとどうする?上手な活用とは
ウェブサイトは作って終わりではありません。SEOについて、ブログのやりかた、営業メールの送りかた、現実の営業に活かしていく方法など。5章を読む »