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ポートフォリオ一冊作るのにいくらかかるかを比較した記事です。印刷所に発注した場合、安く印刷できる方法はどれか? を検証してみました。
印刷された紙媒体のポートフォリオが必要になる場面って、以前に比べればだいぶ減ったけど、商談会や直接顔を見て話す営業では印刷されたものの方がやっぱり便利なわけで、まだまだなくすことはできないねって思います。
ファイルに収納するタイプ or 中綴じ印刷
イラストレーターのポートフォリオでよくあるタイプとして、2種類を想定しました。
- プラスチックファイル(クリアブック)に印刷した薄めの紙を収納した、伝統的なタイプ。
- 中綴じ製本してパンフレットみたいな形にしたもの。
どっちの方が優れてるとかの話はここでは抜きにします。どちらも一長一短あります。
製本するものは印刷会社に依頼して数日待たねばならないので、明日すぐ必要! とかの場合はファイルタイプしかないですね。
オフセットとオンデマンドの違い
みなさんご存知の基本的な事項ですが、あらためて。印刷所ではざっくり2種類の印刷があります。
- オフセット = 版下を作りCMYK等のインクで印刷 (市販の本や雑誌と同じ)
- オンデマンド = レーザープリンターでの出力 (言ってみれば「コンビニプリントのめっちゃ高級なやつ」)
オフセットは同じものを大量に刷ると安いという特徴があります。「1000部と2000部では値段が200円しか違わない」みたいなことがよくあるのがオフセット印刷です。そのかわり1部や10部といった少量は注文できません。
オンデマンドは、少量の注文ができます。そのかわり、値段は大部数になるほどかさみます。制作時間ももともと短いので、「納期が延びる代わりに安い」という割引が設定されないこともあります。
中綴じ冊子 or ファイルに収納、どっちが安い?
では、ポートフォリオの場合はどっちが安いのか? いくつかのオンライン印刷で値段を調べてみました。
値段を調べるために、条件を揃えました。典型的な24ページのポートフォリオを想定してます。
条件 : コート紙90kg / A4 / 24ページ / フルカラー
ポートフォリオ1冊あたりの値段も、それぞれ計算していきます。
以下に表示する価格は記事執筆時点に調査した情報です。税込、税別も区別していません。あくまで参考情報としてお読みください。
中綴じ製本タイプ / 100部
100部作る値段を調べてみました。製本込みの値段です。
オンデマンド
- 印刷所A……37,500円 納期6営業日
- 印刷所B……48,000円 納期3営業日
オフセット
- 印刷所A……34,000円 納期9営業日
- 印刷所A……64,000円 納期6営業日
- 印刷所B……34,000円 納期9営業日
納期が待てるならオフセットのほうが安く、1冊あたり340円前後で作れるということがわかります。
中綴じ製本タイプ / 10部
オンデマンドで10部だけ作る場合を調べてみると、印刷所によって値段のバラツキが結構あるようです。
オンデマンド
- 印刷所A……4,060円 納期6営業日
- 印刷所B……13,800円 納期3営業日
- 印刷所C……5,180円 納期7営業日
この場合は1冊あたり400円〜1300円ということになります。
ファイルに収納するタイプ / 100部
こちらのタイプは1ページずつ違う内容を印刷するので、チラシ印刷を調べてみました。収納するファイルは1冊100円とします。
100部作る場合を計算してみます。
オンデマンド
- 印刷所A……2,410円 納期5営業日
- 印刷所B……1,260円 納期5営業日
- 印刷所C……4,774円 納期2営業日
中間の値段の印刷所Aで計算すると
印刷代( 2,410円 x 24ページ ) + ファイル代( 100円 x 100部 ) = 67,840円
1冊あたり680円ほど、という計算になりました。ただし、自分で収納する手間がここにプラスされます。
オフセット
- 印刷所A……2,150円 納期7営業日
- 印刷所B……720円 納期7営業日
100部のチラシ印刷はオフセットのほうが安いようです。安いほうの印刷所Bで計算すると
印刷代( 720円 x 24ページ ) + ファイル代( 100円 x 100部 ) = 24,400円
印刷所Aの場合は
印刷代( 2,150円 x 24ページ ) + ファイル代( 100円 x 100部 ) = 61,600円
一冊あたり240円〜610円程度という結果になりました。
ファイルに収納するタイプ / 10部
オフセット印刷で10部の注文はできないので、さきほどオンデマンドが安かった印刷会社で調べてみました。
オンデマンド
- 印刷所B……930円 5営業日
オンデマンドとはいえ、印刷部数が10分の1になったからといって値段も10分の1になるわけではないのですね。
この場合、
印刷代( 930円 x 24ページ ) + ファイル代( 100円 x 10部 ) = 23,320円
1冊あたり2,300円程度。とても割高です。
ポートフォリオを小数部作るならキンコーズでセルフ出力が安い
ファイル収納タイプのポートフォリオを10部作るんだったら、印刷所に発注するより、キンコーズで自分でプリントアウトしたほうが割安です。
「印刷データを持ってキンコーズに行き、店内のMacをレンタル利用、セルフプリントアウト」を想定して計算してみました。キンコーズのセルフプリントはカラーA4で一枚41円、PCレンタルは20分まで330円です。
( 41円 x 24ページ x 10部 ) + PCレンタル 330円 + ファイル代 ( 100円 x 10部 ) = 1,1170円
1冊あたり1,100円くらい。そして自ら出向いてやるので納期当日です。
店頭PCレンタル(Office・デザインソフトのご利用) | サービス・料金(価格) | オンデマンド印刷のキンコーズ・ジャパン
ちなみにコンビニプリントはカラー1枚50円で計算すると1冊あたり1,300円です。それでいて画質は印刷所やキンコーズに劣りますから、他に選択肢がないときの手段として考えるのがいいのかも。
まとめ[表]: ポートフォリオ1冊あたりの値段
ここまで調べた価格をまとめて表にすると、こうなります。
形状と印刷方法 | 100部作る場合 | 10部作る場合 |
---|---|---|
中綴じ (オフセット) | 340円 | – |
中綴じ (オンデマンド) | 370〜480円 | 400〜1,300円 |
ファイル収納 (オフセット) | 240円〜610円 | – |
ファイル収納 (オンデマンド) | 680円 | 2,300円 |
ファイル収納 (キンコーズ) | – | 1,100円 |
ファイル収納 (コンビニプリント) | – | 1,300円 |
当然ながら、100部まとめて作る方が総じて安いことがわかります。
ポートフォリオを作る部数について考える
ここで考えたいのは、「本当に100部も必要?」ということです。
実は、多少割高でも少しずつ作るほうが、仕事にとってはいい結果を生みやすいということが私の経験からわかっています。
商談会で本当に100部のポートフォリオを消費するのか?
クリエイターEXPOのような商談会の場で、商談相手にどんどん渡すつもりなら、100部くらいあっても良さそうな気がします。
ただ、期間中に100人と商談するのは実際にはかなり大変です。計算すると、3日間、9〜18時のあいだ一切途切れることなく1時間に3〜4人と商談してやっと100人です。現実的には、せいぜい5〜60人ではないでしょうか。
「じゃあ会場内を道ゆく人にも無差別にバラ撒いたら」と考えると、今度は内容が心配です。個人情報や実績など、クリティカルな内容を載せたポートフォリオを撒くわけにはいきません。
そうすると、バラまくものとポートフォリオとは、別々に考えねばなりません。私はバラマキ用にはチラシを作りました。1000部作っても3〜4,000円だったと思います (余りましたけど)。
ファイル収納タイプのポートフォリオは本当に割高なのか?
ファイルに収納するタイプのポートフォリオは、ひとつずつ作ると1冊1,000円以上してしまいます。
単純に単体の金額だけで考えれば、たしかに割高です。
でももし、1,000円の資料を渡して50万円の仕事をもらう結果になれば、特に気にするような金額でもないはずです。
ポートフォリオをのべつまくなしに渡しまくるのではなく、見込みのありそうなお客様にだけ渡す方針にするならば、血眼になって安い印刷方法を探す必要もそこまでない気がします。
多く作りすぎるとブラッシュアップしにくい
ポートフォリオは、できるだけマメにブラッシュアップしたほうが、仕事を引き寄せる力が増すものです。
「まとめて印刷すれば安いから」といってあまりに大量に印刷してしまったら、ブラッシュアップのタイミングを逃しがちです。
「これがなくなったら次を作ろう」と思っていたらなかなか減らない。時が経ち、内容が合わなくなってきて、もったいないけど捨てるしか、という経験が私にもあります。
マメに印刷する機会があるほうが、つまり自分でポートフォリオの印刷データをマメに見るわけなので、「ブラッシュアップしよう」と思うタイミングが多く訪れます。
そういうわけで、ポートフォリオは商談会などで急にたくさん必要な場合以外は、10部とか少しずつ作るほうがおすすめです。
少量の冊子印刷が安い印刷会社
今回、あらためて色々調べてみたなかで、「ポートフォリオ作成」「フルカラー」「少部数」の印刷、という条件でGoodだなーと思った印刷会社を挙げてみます。
ペンタローは同人誌の印刷に強いと謳っていて、色再現性で評価が高い印刷会社です。ならば、イラストを印刷するポートフォリオにも向いているはず。実際、オタク絵師系のイラストレーターですでに利用している人も多いんじゃないでしょうか。
冊子型ポートフォリオを作るには「1冊から激安CMYK中綴じ」という商品がおすすめ。
「印刷会社は基本的に最低注文部数が設定されている」と説明しましたけど、ペンタローは冊子1冊だけでも注文できます。この点もイラストレーター向けですね。
ウェブサイトに値段が出ているのでチェックしてみてください。10部以下は1冊ずつの値段が表示されてます。部数によっては記事中で挙げたより安い。
こちらはCMYK印刷なので、ポートフォリオのデータもイラレやインデザでCMYKモードで作っておけば、色化けのリスクも最小限です。
もちろんオンラインで決済できて入稿もウェブサイトからアップロードします。
余談だけど、ペンタローではグッズ印刷も色々やっています。私が特に面白いと思ったのが、トランプ。こういうのみてると「なんか作ってみようかなぁ」欲が出てきますよね。