イラストレーターのポートフォリオ (作品集) の作り方–仕事依頼がほしいなら作品を並べるだけではダメ

イラストレーターのポートフォリオの作り方を説明します。

ポートフォリオのことを「作品集」って呼んでいる人が多いんだけど、それがいろんな間違いのもとになってると思う。イラストレーターはみんな「画集」を作りがちだけど、それじゃなかなか仕事依頼にはつながらないよ。

いしつく! では、イラストレーターとは、企業等から依頼をうけて制作・納品する職業のことを言ってます。アーティストの話ではありません

この記事では、イラストレーターのポートフォリオの作り方について、仕事の依頼が来るにはどうしたらいい? って話をします。

この記事は「ポートフォリオ」の話をしてます。「ポートフォリオサイト」「ウェブサイト (ホームページ)」の作り方が知りたい人は、こちらの記事を読んでください

「ポートフォリオ」とは何か

ポートフォリオサイトの意味、ポートフォリオとポートフォリオサイトの違い

ポートフォリオは、今までの仕事の履歴をまとめた書類のことです。

ポートフォリオはPDFファイルとして使ったり、あるいは、印刷して紙メディアとして使うことも多いです。見込客や就職先に渡して、仕事の依頼を検討してもらうために使います。

クリエイター職でない人だったら「職務経歴書」って呼んでるやつ、に近いものとお考えいただければ。

ちなみに「ポートフォリオ」と「ポートフォリオサイト」は別のものです。ポートフォリオは書類、ポートフォリオサイトはウェブサイトです。混同しないように。

よくある間違い = 「画集」「作品集」を作ってしまうこと

イラストレーターのポートフォリオ 残念な例

ポートフォリオは、作品集ではない。

ポートフォリオを作るとき、多くのイラストレーターが間違えるのが、「作品集」や「画集」を作ってしまうこと。

とにかく絵だけ並べてあるもの。えらいかわゆい、またはクールすぎるデザインで、とても高価な装丁に包まれていたり。掲載するイラストも、渾身の力を込めた手間のかかる大作ばかり。

このように「私のイラストを楽しんでほしい」という想いに基づいて作った「作品集」「画集」では、仕事を呼ぶことはできません。

凝りすぎポートフォリオはなぜやめた方がいいのか

なぜ「作品集」はダメなのか?

なぜなら、それをみた人は絵を鑑賞して楽しむだけで、検討ができないから。

ポートフォリオを渡す相手を考えてください。例えばクリエイターEXPOのような商談会だったり、なんかの交流会とかで、どこかの制作会社の編集担当の人に渡しますよね。

そんなとき、相手は「絵を楽しむご本」をもらっても正直困るんですよ。外注先として信頼してもいいものかどうかを判断したいのに、絵しか載ってないと検討にならない

ポートフォリオは、営業資料・事業案内として作れ

相手は絵の鑑賞がしたいんじゃなく、情報を知りたいのです。

ゆえに、どちらかというと、このような言葉でイメージできるものを作ってほしい:

  • 営業資料
  • 製品カタログ
  • 制作事例集
  • 事業案内

「このような仕事をこのような条件で承っています、ぜひ検討してみてくださいね」ってロジカルに伝えるのがスジですね。

イラストレーターが仕事の取れるポートフォリオ

こういう話をしていると「いやいや! すごく美しい作品集を作れば、相手がそれで感動して仕事をくれるかもしれないじゃないですか!」みたいなことを反論のつもりで言ってくる人がいます。

それはね、個人相手の商売だったら少しは有効です。でも、企業クライアントはそういう感情だけでは依頼してきません。

だから絵のクオリティにばっかこだわって、情報をおろそかにしていると、なかなか仕事が発展していかない。ちゃんと理屈があるんですよ。

ポートフォリオに載せるべきこと

では、どうしたらいいのか?
ということで、ポートフォリオにどのような情報を載せたらいいのかを説明します。

イラスト制作の依頼が来るとき、相手のお客様は何を知りたがっているでしょう? 実際に仕事の時に尋ねられたことなどを振り返ってみれば、人それぞれ答えは見つかるはず。

その答えがちゃんと書類にまとまっていると「このイラストレーターは信頼できそう」って思ってもらえるわけですね。

ここでは一般的な項目を挙げてみます。

  • プロフィール (経歴)
  • 文章と情報
  • 参考価格
  • 依頼をもらってから納品までの流れ (フロー / タイムライン)

プロフィール (経歴)

最低限の連絡先 (メールアドレス、電話番号、ウェブサイトのURLなど) は当然必要ですね。

プロフィール文を書いてない人はあんまりいないですが、書き方に注意が必要です。多くのイラストレーターが個人的なこと (性格とか趣味とか) ばかり書きたがるけど、そこじゃなくて経歴や職歴を書いてください。

文章と情報

全てのイラストについてそれぞれ説明文を入れます。その仕事はどんな媒体のどんな企画での依頼で、どういう要求があり、どういう工夫をしました、ということを文章および表で書きます。

文章っていうと「その絵に込めた想い」みたいなポエム書き出す人いますけどそういう意味じゃないですよ?

自主制作のイラストであってもそれが仕事として発生したものだったらどうか、という目線で同じように書きます。

参考価格 (イラスト制作の料金)

料金をポートフォリオに載せるかどうか。これは考え方次第ですが、私は掲載するとしても参考価格としておくのがいいと思います。というのも、依頼によって手間のかかり方は違うので、一律の固定の値段を作ってしまったら損するケースが多いはずだから。

タッチごとに「こういうものは大体この範囲」みたいな料金表にしておき「詳細は見積します」としておくのが妥当ではないでしょうか。

依頼をもらってから納品までの流れ (フロー / タイムライン)

このイラストレーターに仕事頼もうと思ったらどういう流れで納品まで進んでいくの? がわかるように。仕事ってイラスト描くだけじゃなくいろんなやりとりを挟みつつ進んでいくから、それがどんな感じなのか説明しとく、ってことですね。

私が実際に掲載してみて好評だったのは、想定タイムライン。仮にご依頼いただいたらこんなやり取りでこんだけの日数かかりますよ、というスケジュールのシミュレーションです。Excelで作った工程管理表 (WBSとか) みたいなものをイメージしていただければ。


そのほか、ポートフォリオに載せることや作り方のヒントはQ&A記事も読んでみてください。

ポートフォリオを作るアプリは何がいいか

ポートフォリオは、元データはデジタルで作るのがふつうです。

アプリは資料作り用のものなんでもいいのですが (パワポ、Googleスライド、Keynoteなど)、印刷した際のクオリティを保ちたいのだったら、インデザ (InDesign) がベストですね。

イラストレーターなら大体 Adobe 入ってるでしょう。イラレでもいいですが、ページ一枚一枚やるのしんどいですしね。

InDesignってとっつきにくいイメージありますけど、慣れてしまえばどうということはない。しかもイラストレーターの取引先って出版や編集関係多いじゃないですか。仕事の幅が広がる可能性も出てくるから、一回使ってみてほしいな〜と思います。

ポートフォリオの体裁、大きさ、形

ポートフォリオは印刷して使うことも多いので、あらかじめ体裁を決めておかなくてはなりません。

サイズ: A4 縦位置がオススメ

ポートフォリオのサイズはA4が定番です。タテかヨコ、どちらかに決まっているわけではないですが、イラストレーターはほとんどの人がタテにします。たぶん雑誌や印刷物に体裁が似ていて利用場面がイメージしやすいから (あくまで、たぶん)。

体裁: クリアブック

1ページずつ印刷してクリアブック (ファイル) に収納して作るものが定番です。

数枚紙を挟める「クリアファイル」じゃないよ! 混同注意

これのメリットは、必要なところだけ取り出して持っていける、部分的にアップデートできる、急いで作ることができる (コンビニプリント+百均クリアブックなら外出先でも作れる)、など。学生さんなど1部だけ作りたい人もこの方法で。

大量に作って撒く用途だと、折とじの冊子を作っているイラストレーターも多いです。

ページ数: 20ページ前後

ポートフォリオのページ数はあまり多くても見る側の負担になるので、最大で20ページくらいがおすすめです。

凝りすぎた体裁・高価すぎる印刷はNG

変に凝った体裁のポートフォリオはやめよう。私が今まで見たことあるのだと、イラストを印刷した数十枚のカードがケースに入ったもの、非常に分厚い絵本、手作りアルバムみたいなもの、など。

そういうのはどうしても「作品集・画集」化するので仕事に結びつかないし、もらった人も会社で収納しづらい。だいいち、1冊にかけるコストもすごいことになりますから、それで仕事を取れないってなると営業資料としては失格です。

体裁で個性を出しても意味はないので、それよりも中身を考えるのに時間を使いましょう

持ち歩きやすいミニポートフォリオのアイデア

イラストレーター ミニポートフォリオ 蛇腹フォリオ

交流会や名刺交換の場面で気軽に渡せるミニポートフォリオを用意するのもいい考えです。名刺にURLを載せておいて「ここでみてください」とするだけよりも、何か印刷物を渡せるほうが印象に残りやすい。ここで紹介しているものは印刷費も激安で嵩張らないので気軽に渡せます。

ポートフォリオを印刷するには

ポートフォリオ、作品集を印刷するには

ポートフォリオの印刷によく使われる方法は、主に次の4つ:

  • コンビニプリント……どこにでもある、即日印刷できる。が、印刷品質はイマイチ
  • キンコーズ……いつでも印刷できる、品質もいい。が、お店が近所にあるとは限らない
  • 自宅プリンター……いつでも印刷できる、品質もそこそこいい。が、コストがかさみがちで、時間は早くない
  • 印刷会社……印刷品質は当然いい。が、コストがかかる場合もあるし、日数はかかる

印刷方法の詳細はこちらの記事で:

クリアブック式と折とじ冊子ではどっちが安い? を比較したのがこちらの記事:

ポートフォリオ (PDF) だけではなく、ウェブサイトが必要

ポートフォリオの作り方がわかったところで、次に知りたいのは、それをどう活かすか。ポートフォリオは持っているだけでは効果を発揮しません。

PDFポートフォリオダウンロードの正しい作り方

ポートフォリオは印刷して使うほかに、PDFファイルとしてウェブサイトでも活かしましょう。

資料ダウンロードのコーナーを作り、興味を持ってくれた人がPDFをダウンロードしてくれるようにします。注意点としては、必ずメールアドレスの入力を求めること。PDFファイルにリンクを貼るだけではダメです。

このしくみが動きはじめると、営業リストが育つようになり、安定して仕事が来る体制作りにも一役買います。ただ、このしくみはウェブサイトでなければ作れません

SNSでフォローじゃなく、仕事の連絡先を教えてもらうことが大事。だからSNSだけやるのではなく、ウェブサイトが必要です。

イラストレーターやクリエイターは仕事依頼が欲しければSNSだけでなくウェブサイトを作るべき

SNSでイラストを流すだけでは仕事の依頼につながりません。それには明確な理由があって、あなたという外注先がプロとして信頼に値するか、投稿だけでは判断できないからです。

仕事を伸ばしていくには、ポートフォリオだけでなく、ウェブサイト (ポートフォリオサイト) を作ることが必須

イラストレーターが仕事を伸ばしたいならポートフォリオだけでなくウェブサイトが必要

ポートフォリオを仕事依頼に結びつけるには「ポートフォリオをもらっておきたい」と思ってもらう必要があります。だからウェブサイトに情報をまとめて、ここでもあなたの信頼性を伝えるようにします。

まとめ: ポートフォリオは、作品集ではなく検討用資料として作れ

最後にもう一度。仕事の取れるポートフォリオの作り方は、短くまとめると次のとおりです。

  • ただ絵を並べて鑑賞するだけの「作品集」を作っては意味がない
  • 情報を載せることで仕事を引き寄せられる
  • ビジネスを意識して、検討できる資料集として作る

さて、ポートフォリオの作り方がわかったところで、次に知っておきたいのは、ウェブサイト (ポートフォリオサイト) の作り方

注意点はポートフォリオにとても似ています。なんとなく作ると「絵を鑑賞するだけのギャラリーサイト」になってしまい、せっかく労力をかけたのに仕事の依頼が来ない…という結果に。これだとあまりにも時間がもったいないし、精神的にもつらいです。

でも、仕事の依頼を増やすウェブサイトの作り方、というものはあるので、ぜひ知ってください。次の記事も読んでみてくださいね。

イラストレーターのための
仕事の取れるウェブサイトの作り方

「ウェブサイトで仕事依頼が来るっていうけど、どう作ったらそうなれるの?」

そんなふうに思ったこと、ありませんか?

ウェブサイト (ポートフォリオサイト) を作るとき、同業者の見よう見まねだけでは、せっかく時間をかけても一向に仕事依頼につながらないことも。
そうなったら悲しいですよね。

そこで開発されたのが「いしつく! の教科書 [改訂版]」、全6レッスンの記事集です。仕事の取れるウェブサイトの作り方・考え方はあります。ぜひ知ってください。

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