この記事では、「ポートフォリオサイト」という言葉の意味について、また、ポートフォリオサイトを作るに当たって知っておくべきことを説明します。
ポートフォリオサイトを作りたいクリエイターに読んでいただければと思います。ポートフォリオサイトの作り方を知るにあたっては、言葉の意味を知った上で情報収集したほうがいいですから。
ポートフォリオサイトとは
イラストレーターやデザイナー、写真家などが作る「ポートフォリオ」とは、自分が手がけた制作物を客に向けて紹介するために作る冊子ないしは書類のことです。掲載する内容は、作品、プロフィール、経歴、その他依頼時に必要な情報などです。
ポートフォリオと同じように、「ポートフォリオサイト」とは、制作物を客に向けて紹介するために用意するウェブサイトのことです。作品を見せて楽しませるためではなく、プロフィール、経歴などを合わせて掲載し、仕事の依頼が入ってくることを前提に作るのが「ポートフォリオサイト」の基本です。
ポートフォリオサイトとポートフォリオは違う意味?
ふつう、「ポートフォリオサイト」と「ポートフォリオ」は違うものを指します。
「ポートフォリオ」という言葉は、紙媒体やPDFにまとめたものを指します。イラストレーターの場合は「作品集」って言っている人も多いです。
「ポートフォリオサイト」はウェブサイトを指します。「ポートフォリオ」という単体の単語では、ふつうはウェブサイトのことは意味しません。混同している人が多いので、気をつけましょう。
「オンラインポートフォリオ」という言葉もあります。これはあまり使わない言葉ですが、ウェブサイトのことを指しているのか、または、ポートフォリオを作ったり閲覧できるウェブサービスのことを指しているのか、場合によります。
「ポートフォリオサイト」に似た他の言葉
イラストレーターが自分の作品を公開するために作られたポートフォリオサイトは、なぜかかなりいろんな呼び方があります。
- イラストサイト
- 個人イラストサイト
- 個人サイト
- イラストレーターサイト
- イラスト展示サイト
- ギャラリーサイト
- 作品集サイト
どの言葉で呼ぶかは人それぞれです。ただ、その呼び方はウェブサイトを作った目的や思いやスタンスを表しています。
「イラストサイト」という言葉は、イラストを投稿して交流するウェブサービス(Pixivのような)全体を指すことも多いです。SNSのプロフィールではなく、あえて自前でウェブサイトを作ることを特に強調すると「個人イラストサイト」という呼び方になるのでしょう。
自分のサイトを「展示サイト」「ギャラリーサイト」のような呼び方をしている人は、仕事を得たいわけではなくて、ただイラストを楽しみのために周りの人に見せたいと思っているのだろうな、と思えます。
ちなみに「ホームページ」という言葉は日本では「ウェブサイト」と同じ意味で使われますが、誤用が固定された言葉なので私は使わないようにしています(本来はウェブサイトの最上位のページをホームページという)。
「ホームページ」は今後だんだん使われなくなっていく言葉ですので、この機会に「ウェブサイト」という言い方で覚えておくことをおすすめします。
「ポートフォリオ」の本来の意味
「ポートフォリオ」という言葉は、イラストレーターやデザイナーにとっては作品集のことですが、他の意味でも使われる言葉です。
ポートフォリオの元々の意味は「書類入れ」です。平べったくて大きい書類入れのことです。
イラストレーターやデザイナーや写真家なら、「ポートフォリオ」を使ったことがある人は多いでしょう。私は美術学部の受験勉強をしていた頃、デッサンをした画用紙を持ち帰るのにいつも「ポートフォリオ」を使っていました。イラストレーターになってからも、顧客から現物のイラストを見たいと言われて打ち合わせに持参したこともあったので、いつも家にひとつは「ポートフォリオ」があります。
投資の世界では、自分が持っている金融商品の組み合わせのことを「ポートフォリオ」といいます。
他にも、経営マネジメントの世界で、経営リソースの配分を示す資料や情報のことを「ポートフォリオ」と呼ぶ場合があります。
というわけで、ポートフォリオという言葉は、書類入れから転じていろんな要素をまとめるためのもの、またはそのまとまりを表しているようです。多くの作品をまとめた書類を「ポートフォリオ」と呼ぶのもそこからきていると思われます。
ポートフォリオサイトの作り方、考え方
ポートフォリオサイトを作るには、制作ツール(サービス)を用いる方法と、自分でウェブサーバーを契約して作る方法があります。どちらも一長一短ありますから、迷っている人は次の記事も読んでみてください。
レンタルサーバーで作ろうと思っている人はこの記事もおすすめです。
ポートフォリオサイトを作る前に知っておくべきこと
ところで、イラストレーターでもありウェブ制作者でもある私から、ポートフォリオサイトの作り方が知りたいクリエイターに忠告しておきます。
ポートフォリオサイトは「どんなツールで作るか」よりも「どんな内容のものを作るか」のほうがずっと大事です。
もっというと、ポートフォリオサイトを「なんのために作るか」、目的と用途を定めることがさらに大事です。
いまどき、自分の作品を周りに見せて承認欲求を満たしたいだけなら、SNSを使えば充分です。
なのにわざわざポートフォリオサイトの作り方を調べているあなた。何か理由があってのことでしょう?その理由、ほぼ全てのクリエイターが「仕事が欲しいから」です。
しかしながら、イラストレーターやデザイナーは、せっかくポートフォリオサイトを作ったけど、仕事の依頼が一向に来ないという人が多いのです。
なぜそうなってしまうのか?見た目がおしゃれなポートフォリオサイトを作ろうとするからです。
おしゃれなサイトを目指すから仕事が来ない
おしゃれなウェブサイトを作れば、周りの同業者に差をつけた感じが見た目でわかるので、自己満足度は高い。ただ、おしゃれなだけで内容が薄いウェブサイトでは、仕事の依頼など来なくて当たり前です。
同業者のウェブサイトを見て回っている人も多いでしょう。それも落とし穴の一つです。
デザインのことばっかり気にしてポートフォリオサイトを作ると、仕事の依頼は一向に来ません。じゃあどうすればいいの?というと、仕事の来る順序と理屈を知ることです。
ポートフォリオサイトは、こう作れば仕事の依頼がきやすい、ということはすでにかなりわかっています。ただ、それはデザインとはまた別の知識です。
ポートフォリオのことを「作品集」、ポートフォリオサイトのことを「作品集サイト」と呼ぶクリエイターは多いです。でも、ただの「作品集サイト」であっては、訪問者は作品を見て楽しんで帰るだけ。だから仕事にならない。
ポイントは、仕事の依頼をしてくれる人たちの要望に応えること、そのためにはどんなコンテンツを備えるべきか?と考えることです。WordPressがどうのSEOがどうのという前に、ここを考えておくべき。
考えるべきことを考えて作れば、仕事の依頼が来るポートフォリオサイトを作れます。誰しも無理な話ではありません。
この話は語り出すと本1冊以上の内容になってしまうので、noteでいしつく!の教科書っていうマガジン書きました。ご興味あるクリエイターさんはぜひ(イラストレーター向けに書いていますが他の業種でもある程度役に立つはず)。
いしつく!の教科書
「ポートフォリオサイトで仕事依頼が来るって、ほんとにそんなこと可能なの?」
そんなイラストレーターに読んでほしい全5章のnoteマガジンです。専門用語はできるだけ使わずに書きました。
目次 & 概要
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まえがき 9割のイラストサイトは仕事の役に立っていない
そもそもウェブサイトを仕事に役立てること自体が無理なのでは?そう思っているかたに、私の体験をお話しします。まえがきを読む » -
第1章 イラストサイトに仕事の問い合わせが来ないのは、こんな勘違いをしているから
「作品ギャラリー」を作ろうとしたり、ウェブサイトなんか活用できないものと思い込んでいたり。よくある勘違いを挙げました。1章を読む » -
第2章 仕事の取れるイラストサイトを作るための、正しい作戦
どう作り、どう利用していくべきか、という全体の作戦をお伝えします。いちばん大切なのは、信頼を得ること。バズや過剰なアクセス稼ぎは要りません。2章を読む » -
第3章 仕事の取れるイラストサイトを作るためには、こんな材料をそろえよう
ドメインやサーバー、コンテンツの用意のしかたを解説します。プロフィール文の改善例や、イラスト画像の準備のポイントなど。3章を読む » -
第4章 仕事の取れるイラストサイト、レイアウトの正解例
実際に運営されているウェブサイトのレイアウトとページ構成を解説します。なぜそのようになっているのか、デザインには理由があります。4章を読む » -
第5章 作ったあとどうする?上手な活用とは
ウェブサイトは作って終わりではありません。SEOについて、ブログのやりかた、営業メールの送りかた、現実の営業に活かしていく方法など。5章を読む »