仕事の依頼が来るような個人イラストレーターサイトを作りたい、営業しなくても仕事が入ってくるようになりたい、ってお考えのイラストレーターへ。
仕事の依頼や問い合わせが来るウェブサイトを作りたかったら、同業者友達の真似をしてオシャレ可愛いデザインのサイトを作ってもダメです。絵を鑑賞して楽しんでもらうようなギャラリーサイトでは仕事に結びつきません。
ここまではなんとなくわかった。
では、どう作ればいいのか?というと、逆説的だけど、デザインとかWordPressとかサーバとかドメインとか技術の話を一回忘れて、作戦/戦略を知ってください。
この記事では作戦の話をします。
この記事はnote「いしつく!の教科書 2章『仕事の取れるイラストサイトを作るための、正しい作戦』」を短くまとめてアレンジしたアナザーバージョンです。
仕事の依頼が来るウェブサイトがほしいなら、作り方よりも作戦を知りなさい
イラストレーターに限らず、一般の人がウェブサイトの作り方について知りたがるのは、技術とデザインのことばかりです。
でも、それでは家を建てようとするときにノコギリやカンナの話ばかりしてるようなもので、本当はもっと大切なことがあるはずです。それは、どんな家に住みたいか。ひいては、その家でどんな暮らしがしたいか。
それと同じで、ウェブサイト作りで真に肝心なのは、どんなものを作り、それをどう活かすか、です。
仕事の依頼が来るようなウェブサイトがほしかったら、頭から尻尾(「作る」から「活かす」)まで一貫した考えのもとに作っていく必要があります。それを作戦とか戦略とかいいます。
技術とデザインの話は、ググれば山ほど出てきます。イラストレーターが書いたのもあります。独自ドメインは必要か、WixとJimdoどっちがすごいか、WordPressのテーマはどれがおすすめか、イラストの並べ方はどうするべきか、などなど。
ですが、作戦/戦略について書いた記事はほとんどありません。みんな技術とデザインにしか興味がないから当然ですね。ウェブのプロを名乗るデザイナーやエンジニアですらそうなので、イラストレーターにその知識を求めるのは無理ってもの。この記事はイラストレーターが書いたウェブ戦略についての話なので、自分で言うのもなんですが、貴重な存在だと思います(いしつく!はイラストレーターかつウェブコンサルタントという特殊な立場にいます)。
作戦には「テンプレ」または「王道パターン」がある
作戦には王道があります。ダイエットの王道といえば食事制限と運動ですが、それに似て、イラストレーターが仕事の問い合わせをゲットするためのウェブサイトを作るには◯◯と◯◯、というわけです。
クリエイターは「自由に、自分の思うように表現すればいい」という話が大好きなので、テンプレや王道と言われると「クソが」って思うでしょう。ですが、ウェブサイトという媒体の特徴をみると、そこには人間の心理が大きく関わってきます。人は画面を眺めるだけでなくマウスや指で触り、さらになんらかの反応まで示すという双方向性があるからです。
ヒトという種族が共通の心理を持つ限り、ウェブサイトの戦略もある程度一定の傾向を示します。だから王道の作戦というものが存在します。なので、いしつく!の教科書で書いたようなことは安心して真似していただいて大丈夫です。
余談ですが、その傾向を知識として集めて、なんとか商売がうまくいくように役立てようとするのが、ウェブ戦略とかウェブマーケティングと呼ばれるものです。
マーケティングって聞くと憎しみをおぼえるイラストレーター及びクリエイターが多いですが、本来はあなたを助けてくれるものです。
「ポチ」を誘ってもイラストレーターの仕事依頼は増えない
ネットで買い物をする様子を表した「ポチる」という言葉があります。
「ポチ」には特徴があって、この現象は一般消費者向けの商品にだけ起こる、という点です。ビジネス現場ではむしろ、「ポチ」と真逆のことが起こります。
例えば、ある制作会社で書籍の編集を担当している人がイラストレーターに仕事を頼むというシチュエーションを考えてみましょう。知り合いに適当な依頼先がなく、イラストレーターのウェブサイトを見て探しています。
このとき、依頼者は慎重に検討をします。なぜなら、いい加減なイラストレーターに頼んで途中でバックれられたりでもしたら、自分が責任を負わされて、ひどい場合は会社をクビになってしまうかもしれないからです。
なので、「私、この絵見て一瞬で好きになったよ!このイラストレーターさんに頼もう!よし、ポチッ!」なんてことは起こり得ない。イラストレーターが仕事依頼を増やすためには、「ポチ」を誘う作戦ではダメだということです。だからアクセス爆上げやバズ狙いは効果がない。
イラストレーターが何を検討されるか?信頼に値するかどうか >>>> イラストクオリティ
仕事依頼を得るために効果的なのは、「私はこんなに絵が上手です」と伝えることよりも、むしろ「私は社会人としてちゃんとした人間で、実績もありますよ」と伝えることです。
ウェブサイトを作るときは、この「信頼を得る」という考えに基づいて、言葉もデザインも決めていきます。
依頼者は多くの場合、顔を合わせたことすらないイラストレーターに発注するのです。全力でもって「私はちゃんとした人間なので、どうぞ信頼してください」と伝えなければなりません。
なので、オタク感覚全開の内輪ノリを披露したり、ふざけたペンネームとか名乗っている場合ではないのです。恥ずかしいから顔写真は出せないとか、個人情報ガーで住処と本名は死んでも明かさない!なんて人を一体どこの企業が信用するでしょうか?
イラストの特徴は必ず言葉で表そう
「なんでもいいのでお仕事ください」と言っている人には仕事は来ません。なぜなら、誰にも刺さらないからです。「とにかくイラスト見てください」とばかり言っている人も仕事は増えません。なぜなら、誰に向けて言っているかわからないからです。
ということで、イラストの特徴や用途は、常に言葉で表せるようにします。言葉で伝えることはとても重要です。言葉の作用とは、関係のある人と接点を持つことと、検索エンジンで見つけてもらうこと。
- 「こんな媒体の仕事をしています」
- 「こんなお客様から依頼を頂戴しています」
- 「こんな企画に使ってもらったイラストです」
など、そのイラストが仕事として成り立つときの要素を言葉にします。
言葉を考えておかないと、検索エンジン対策を進めていくことができません。仕事の依頼先を探している人がどんな言葉で検索するだろうか、とたくさん想像しましょう。
ただし画材や手法を言葉にするのはあまり有益ではありません。肩書きの付け方にも関係していきます。具体的なことは「いしつく!の教科書」にて。
【2】仕事の取れるイラストサイトを作るための、正しい作戦|いしつく! / イラストサイトのつくりかた|note
ブログの書き方は「お客様に向けて」
ブログをなんのためにやるのかというと、ひとつは検索対策、ふたつめは信頼を得やすくする効果のためです。特に大切なのは、ふたつめの効果です。
ブログは同業者向けに書くな、といつも言っています。「イラストの描き方」「イラストレーターになるには」みたいな記事を書きたがるイラストレーターがいまだに多いですが、同業者が見にきたところで仕事の依頼が増えるわけはないんです。
じゃあ何を書くかというと、イラストを依頼しようとする人に向けてのノウハウ集にしましょう。それって具体的に何書いたらいいの?という方にはこのnoteがオススメです。
イラストレーターさんのための、仕事につながるブログの書き方|いしつく! / イラストサイトのつくりかた|note顧客リストを活用する
ウェブサイトにある機能をつけることで、ただ見るだけのカタログから「顧客リスト育成装置」に進化させることができます。
もしウェブサイトをビジネス向けにしっかり作り込み、あなたの人間性と信頼性を十分に伝え切ることができたとしても、そのタイミングで必ず仕事の発注があるとは限りません。これは受注制作の仕事の特性で、ある程度致し方ないことです。
これをカバーするために、顧客リストを作って、時々メールを送るようにしましょう。ただし実際に送る際には色々と注意が必要です(メールの送りかたを詳しく知りたい方はいしつく!の教科書 5章を読んでみてください)。
この作戦は「接触回数が多く思い出しやすい相手には連絡を取りやすい」という人間の心理を利用したものです。
バズを狙うな
イラストレーターはSNSでファンをいっぱい作ってバズらせるべき!というアドバイスは、仕事依頼を増やすという観点からみるとはっきり言って的外れです。
なぜなら、イラストレーターの仕事の増やし方は、ファンを獲得したりバズったりするのとは原理が違うからです。
バズるための要件は、一般に広くウケる内容をフォロワーの多いアカウントで流すことです。
一方、イラストレーターが仕事を依頼されるために必要な要件は、「社会人として信頼でき、仕事の実績もある」ことを顧客が理解してくれること、です。
バズることが「社会人として信頼でき、仕事の実績もある」ことを示せるのかというと、そうではないどころか、むしろ全く関係ありません。実際にTwitterでバズったイラストレーターが豊富な実績を持っているのかというと、失礼ながらそうではないことの方が多いです。
バズって多くの人の目に触れればなんとかワンチャンあるかも、という考え方は、「ポチ」を誘う一般消費者向けのサービスならまだしも、イラスト制作事業にはそぐわないのです。
「たまたまバズっちゃった」場合はありがたく恩恵を享受させてもらえばいいですが、わざわざ狙うのは労力の無駄です。それなら、ちゃんとウェブサイトを完成させて、ブログの執筆を継続して頑張ってください。そっちの方が確実に仕事を増やせます。
イラストレーターという商売は、興味本位の「薄い」客は少なく、逆に「濃い」客は多くなる特徴があります。ウェブサイトを正しく作ってあれば、かなり少ないアクセス数でも依頼は入ってきますよ。
以上、具体的なことは端折ってお伝えしました。より詳しく知りたい方はnote「いしつく!の教科書 2章『»仕事の取れるイラストサイトを作るための、正しい作戦』」を読んでください。
いしつく!の教科書
「仕事の依頼が来るポートフォリオサイトって、どうやって作ったらいいの?」
そんなイラストレーターに読んでほしい全5章のnoteマガジンです。専門用語はできるだけ使わずに書きました。
目次 & 概要
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まえがき 9割のイラストサイトは仕事の役に立っていない
そもそもウェブサイトを仕事に役立てること自体が無理なのでは?そう思っているかたに、私の体験をお話しします。まえがきを読む » -
第1章 イラストサイトに仕事の問い合わせが来ないのは、こんな勘違いをしているから
「作品ギャラリー」を作ろうとしたり、ウェブサイトなんか活用できないものと思い込んでいたり。よくある勘違いを挙げました。1章を読む » -
第2章 仕事の取れるイラストサイトを作るための、正しい作戦
どう作り、どう利用していくべきか、という全体の作戦をお伝えします。いちばん大切なのは、信頼を得ること。バズや過剰なアクセス稼ぎは要りません。2章を読む » -
第3章 仕事の取れるイラストサイトを作るためには、こんな材料をそろえよう
ドメインやサーバー、コンテンツの用意のしかたを解説します。プロフィール文の改善例や、イラスト画像の準備のポイントなど。3章を読む » -
第4章 仕事の取れるイラストサイト、レイアウトの正解例
実際に運営されているウェブサイトのレイアウトとページ構成を解説します。なぜそのようになっているのか、デザインには理由があります。4章を読む » -
第5章 作ったあとどうする?上手な活用とは
ウェブサイトは作って終わりではありません。SEOについて、ブログのやりかた、営業メールの送りかた、現実の営業に活かしていく方法など。5章を読む »