ペンネームで活動すべきか、本名で活動すべきか迷っているイラストレーターへ。本気でイラストレーターという仕事・商売をやっていこうと思っているのならば、本名をおすすめします。なぜならそのほうが得だから。
この記事では、自分のイラストレーターとしての体験と、本名かペンネームかで迷っているイラストレーターのよくある質問への答えを記します。
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イラストレーターとして本名を名乗った理由
私はイラストレーターとして開業して以来ずっと本名で活動しています。
開業したのは、今からだいたい15年くらい前になりますかね。ペンネームをつけたいとは思わなかったです。コネも実績もマジでゼロだったので、信用してもらうには本名だろうな〜という発想で本名を名乗りました。
あとその頃ってSNSはまだほとんど普及してなかったので、「変なペンネームの自称絵師」や「本名NGブロガー」を目にする機会がなく、個人事業主 / フリーランサーが本名を名乗ることになんの不思議も感じなかったってのもあります。
本名で活動してメリットはあった?
- 信用されやすかった
- 本物の自分の名前が世間に残った
- 事務処理がラク
屋号+本名で名乗ることが多かったのもあって、本当は個人事業なのに、会社の代表(または担当の人?)に間違えられることもありました。ようは商談の初期段階で信用されることには成功できてたってことです。
他に重要なメリットはなんといっても、本や雑誌の仕事で本物の自分の名前が世の中に残ったってこと、ですね。他界した祖母もいつも私の名前を見つけてくれて「まー!すごいねー!」って褒めてくれたもんです。
本や雑誌に名前が記されることで、微力ながら世間に貢献してんねんなぁ、という実感というか誇りが得られるのが、私がイラストレーターという仕事をまだ続けていられる理由です。
ペンネーム = フェイクの名前だったら多分こういうふうには思えてない。
あと本名だと各種書類(請求、税務、マイナンバー提出等)との齟齬がない。ペンネームの人でも本名での書類を出さなきゃいけない場面があり、その時にいちいち説明しなきゃいけない。本名ではその面倒は一切なし。
本名で活動してデメリットはあった?
- 批判されたときのムカつきが倍満
- そのほかは…うーん特に
かつてやってたブログで炎上を出してしまったとき。わっざわざ私の本名を挙げて「このイラストレーター最低」みたいなコメントをぶっ込んできた奴がいたので、めっちゃムカつきました。これがペンネームだったら少し怒りはマイルドだったかもしれない。
まあ、匿名でしか批判できないクソ野郎は◯ねばいいだけなのでどうでもいいけどね
でも、他にデメリットらしいデメリットって、特に思い当たらないんですよね。
私は名前とともに顔写真もポートフォリオサイトのプロフィールページに公開していましたけど、街中で「あ、あの人」なんて顔が差したことも一度もありませんし。
どう名乗るか = どう表現するか
ペンネームか、本名かで悩んでいる人へ。イラストレーターにわかりやすそうな言い方をすると、どう名乗るかということは、すなわち、私というイラストレーターをどう表現するか、という問題です。
- ペンネーム = フェイクの自分を作って活動する
- 本名 = 正真正銘、本当の自分で活動する
「別にそこまで深く考えてない」って思ってても、それはそういう表現として周りから受け止められるもんであって、変えようがないんです。
なぜ本名で活動すると信頼が得やすいのか
本物の自分の名前を隠さず名乗るってことは、逃げも隠れもしませんよ、という表現なんです。だから仕事に責任を持ちます、って態度が伝わりやすい。だから客から信頼されやすい。
信頼されやすい = 仕事の依頼が来やすい。
だから仕事を本気でやっていくつもりのイラストレーターには本名での活動が圧倒的にオススメです。
まあなんでもそうでしょ、信頼されなければ如何しようもない職業の人って、みんな本名名乗るでしょ。士業、医師、アナウンサー、大企業のトップ。クリエイターもいっしょで、信頼されなければ仕事にならない。自称クリエイターが多い昨今だから余計、本名のほうがいいんです。
変なペンネームって恥ずかしくないの?
例えばですよ。「ぷーぷーぴろりん」という変なペンネームを名乗って活動してるイラストレーターがいたとして、取引先の制作会社とかに電話かけるとき「ぷーぷーぴろりんと申します、いつもお世話になっております〜」とかって名乗るのかな?
名刺交換するときも「初めまして〜ぷーぷーぴろりんと申します〜」って言うの?
……うーん、恥ずかしくない?相手も苦笑しちゃうよね?
実際にいたら謝ります。ぷーぷーぴろりんさん、申し訳ありません。
本人がそれでいいと思ってるなら他人がとやかくいうことではないけど、「ビジネスシーンでそんな名前を名乗るなんて、鋼のメンタルしてはりますなあ(京都風)」とは思います。
ペンネームで活動 = ハードモード
問題は、ぷーぷーぴろりんと名乗るイラストレーターが「信頼できそう」「責任持って仕事を遂行してくれそう」って果たして商談相手から思ってもらえるのか。
私だったら仕事頼むのは遠慮したいです(笑)
だって真剣に仕事してそうな感じがしないもん(笑)
ただし仮に、ぷーぷーぴろりんさんがすでに各種媒体での実績が豊富にあり、他のイラストレーターにはないすごい特徴があるのだったら、依頼する機会もあるでしょう。
したがって、これからイラストレーターになりたい人が変なペンネームを名乗る場合、最初からすごい特徴とかすごい技術を備えてなければ、仕事依頼をゲットしていくのは無理ゲーである、と言えます。
本名を名乗ってたって最初の実績を得るのは大変なのに、ペンネームを名乗るとさらにハードルが上がるわけ。
まー流石にぷーぷーぴろりんは極端すぎるけど、下の名前のみとかに置き換えて考えてみてください。
どう名乗るかは多様性の問題ではない
こういう話をしているとあさっての方向から指摘をしてくる人がいます。
「どう名乗るかなんて人それぞれ自由じゃないか!変なペンネームだっていいじゃない!多様性の時代なんだよ?!」
えっとですね。どう名乗るかは人それぞれでいいと思います。
「ふざけたペンネームを名乗って適当にゆるっと活動したい」という人が存在してもいいと思います。多様性を持ち出すまでもなく、そんなの人の自由です。
けど、そんな態度の人に簡単に仕事が集まってくるほど、フリーランスイラストレーターはいい加減な職業じゃないです。申し訳ないけど。名乗り方次第でどう見られるか決まってしまうのは事実です。
本名で活動すると個人情報などが危険なのでは?
これもイラストレーターからよく聞かれるけど
本名で活動すると、SNSで不特定多数に見られるため身バレや個人情報を特定され危険なのでは?
それはどっちかっていうとSNSの使い方の問題では。
学校近くの◯◯ってお店でランチなうとか、子供が何歳で保育園がどうのこうのとか、そういう何気なく自分から発信しちゃっている情報が「身バレ」「特定」のタネなので。しかもそういう発信って単なる自己満足にしかならんし。
仕事用のSNSの活用って本当はめちゃくちゃ難しいので、いっそのことSNSとは距離を置くのも手です。
怖いならウェブやSNSを使った営業活動を一切しなければいいよ。案外無理ではないはず。古株にはそういう人もいるしね。
そもそも、本名で活動してたら特定も何も……って感じなんですけどね。私の名前は今まで仕事で関わってきた書籍や雑誌に書かれまくってるんで、国会図書館に収蔵されたら未来永劫残っちゃう(笑)
まあでも、フリーランス/個人事業主ってのは、自分の事業を自分で責任持ってやるってこと。本名を名乗る程度のことが怖いって人には重荷でしかないだろうから、フリーランスあきらめて勤め人でいたほうがいいんじゃない?
イラストレーターはペンネームと本名を使い分けるのがいい?
必要ない。
ファンの年齢層によってペンネームと本名を使い分けるとか、「絵のジャンルごとにファン層が違っててそれぞれ別個のブランディング」とか、オタク世界ではそういうの好きな人多いみたいですね。
それぞれの名義でした仕事の実績が、それぞれ別の名前に紐付くわけですよねぇ。もったいないと思います。本名を名乗っていれば全てが自分の実績なのに、わざわざ損する方法を選ぶ理由がよくわからないです。
イラスト制作と別の事業で名前や屋号を分ける、ならまだ理解できる。
イラストレーターは本名で活動する人、ペンネームで活動する人でスタンスが分かれる?
きっちり統計とったわけじゃないので、正確ではないですけども。
私が知っているイラストレーターで(先輩、同僚、コンサルティングを受けてくださった方含む)、長いことがんばって活動していて、なおかつ豊富に実績を持っているイラストレーターを思い浮かべてみると、だいたいの人が本名か、本名をひらがな/カタカナ表記した名前を名乗っている。
逆に、アルファベット数文字とか、2〜3文字の漢字やひらがなとか、日本人の本名とは明らかに違うペンネームを名乗っているイラストレーターを思い浮かべてみると、個展をやったとは聞いたけど、仕事ってなるとどんな実績があるのかよく知らない…って人が多い。
本名で活動する人、ペンネームで活動する人でスタンスが分かれる傾向がある、てことなのでしょうね。
ただ、私は「イラストレーターとは受注制作をする職業の名前である」という立場なので、本名で活動している人たちのほうがイラストレーターらしい、と思う。
ポートフォリオサイトに本名を記載するべきか
本名で活動するなら、当たり前ですけど、ポートフォリオサイトにも本名を記載するべき。ペンネームで活動する!って心に決めた人はペンネームで。
仮にですよ。ある企業から依頼があって、その会社のウェブサイトを見にいったら、社長が「名前は非公表で〜す」って書いてた。もしそんなことがあったら、あなたはどう思いますか?「こんな会社と取引して大丈夫なん?ヤバない?」って思うはずでしょ。
ただしく名乗ることは信頼を得る第一歩。ポートフォリオサイトの目的は信頼を得て仕事依頼につなげることなので、当然、名乗ることは必要です。
名前と同じく、住所も公開すべき(名刺には番地まで、ポートフォリオサイトでは最低でも市町村レベルまで)。抵抗ある、って人は事務所を借りるか、バーチャルオフィスを使いましょう。
ポートフォリオサイトは、他のイラストレーターの真似をしてオシャレギャラリーサイトを作る人が多いけど、そういう作り方してると仕事の依頼は来ませんよ。
仕事の依頼が直接くるポートフォリオサイトの作り方は、ぜひいしつく!のnoteを読んでください。
いしつく!の教科書
「仕事の依頼が来るポートフォリオサイトって、どうやって作ったらいいの?」
そんなイラストレーターに読んでほしい全5章のnoteマガジンです。専門用語はできるだけ使わずに書きました。
目次 & 概要
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まえがき 9割のイラストサイトは仕事の役に立っていない
そもそもウェブサイトを仕事に役立てること自体が無理なのでは?そう思っているかたに、私の体験をお話しします。まえがきを読む » -
第1章 イラストサイトに仕事の問い合わせが来ないのは、こんな勘違いをしているから
「作品ギャラリー」を作ろうとしたり、ウェブサイトなんか活用できないものと思い込んでいたり。よくある勘違いを挙げました。1章を読む » -
第2章 仕事の取れるイラストサイトを作るための、正しい作戦
どう作り、どう利用していくべきか、という全体の作戦をお伝えします。いちばん大切なのは、信頼を得ること。バズや過剰なアクセス稼ぎは要りません。2章を読む » -
第3章 仕事の取れるイラストサイトを作るためには、こんな材料をそろえよう
ドメインやサーバー、コンテンツの用意のしかたを解説します。プロフィール文の改善例や、イラスト画像の準備のポイントなど。3章を読む » -
第4章 仕事の取れるイラストサイト、レイアウトの正解例
実際に運営されているウェブサイトのレイアウトとページ構成を解説します。なぜそのようになっているのか、デザインには理由があります。4章を読む » -
第5章 作ったあとどうする?上手な活用とは
ウェブサイトは作って終わりではありません。SEOについて、ブログのやりかた、営業メールの送りかた、現実の営業に活かしていく方法など。5章を読む »