ツイッターでイラストレーターが仕事依頼をゲットするには?(難しい話)

Twitterを活用してイラストのお仕事をゲットしたい!ってイラストレーターへ。 #お仕事募集中 タグをつけてイラスト投稿しまくればそのうちお仕事が来るはず!って思っている人。あるいは、「ファンを作れ」「バズれ」とかありがちなアドバイスを真に受けてる人。

正直、そうかんたんではないです。厳しい話なので、言いたいことを先にまとめます。

この記事で言いたいこと

  • Twitterで「お仕事募集」して来る仕事は、ほとんど個人からの依頼(それって、本当にあなたのやりたいことですか?)
  • 企業との取引には、Twitter活用はめちゃくちゃ難しい
  • 「ファンを作る」「バズる」は企業からの依頼を得るのには効果低い
  • 純粋にTwitterだけで仕事依頼をゲットするのはほぼムリ

もっとひとことにまとめると

結局「ポートフォリオをちゃんと作る」「個人イラストサイトをちゃんと作る」ことが必要

みんなTwitterに夢持ちすぎ。この記事では、夢じゃなく正味の話をさしてもらいます。

Twitterで「お仕事募集」して来る仕事はほぼ個人からの依頼に限られる

「Twitterで #お仕事募集中 して仕事をゲットしました!」みたいな記事ないしはツイートを投稿しているイラストレーターはたまに見かけるんですが、仕事の内容に注目してみると、ほとんどが一般個人からの依頼です。

いちばんよく見るのが、プロフィール画像とかに使う「アイコン依頼」でしょうか。あと小説の挿絵を依頼されましたとか。あと名刺とか、カードとか。私は絵師・同人文化に興味ないので理解できないようなのもありますが、だいたいそんな感じでしょう。

Twitterで「アイコン依頼」-それって本当にあなたのやりたい仕事ですか?

勘違いしないでほしいんですが、個人からの依頼を好きでやっている人を貶めるつもりはありません。でもあえて問います。

「それは本当にあなたがやりたい仕事ですか?」

なんでそんなことを問うかって?
本心じゃないって人にけっこう会うからです。

じつは、私のセミナーやカウンセリングに来てくれたいろんなイラストレーターさんと話していて、かなり多くの人から聞いた話があります。

本当は企業から仕事を請けたいけど、どうしたら叶うのかわからない。そこで、せめてみんなの真似をしてTwitterに #お仕事募集中 って書いてみたら、一般個人から依頼がきたんだけど……と。

でも個人からの依頼は金額的にもどうしようもないし、と悩んでセミナーなどにこられるわけです。

また、こう信じているイラストレーターも多いです。「駆け出しは我慢して一般個人の依頼をこなさなければならない。経験値がたまってレベルがある一定まで上がると自然と企業から依頼が来るようになるので、それまでは」と(この認識は大間違いですが、詳しくはまた改めて書きます)。

つまりいずれにしても

  • 本心は企業からのイラスト依頼を望んでいる
  • でもやり方がわからないから個人依頼に逃げている(がまんしている)

そういうイラストレーターが多いんです。

対企業取引へのTwitter活用はめっちゃ難しい

というわけで、大半のイラストレーターが望んでいる、企業からの依頼をゲットするには、Twitterをどう使ってったらいいか?という観点でここからは書いていきます。

ところが、企業間取引ではTwitterの活用はめっちゃむずかしいというのがウェブのプロの間ではセオリーになってます。部品メーカーも、化粧品の原料作ってる会社も、コンサルティング会社も、企業間取引のとこはみんな「Twitterは難しい」って言ってます。

イラストレーターが企業と取引して書籍等の制作のお手伝いをするのも企業間取引(B to B)の範疇です。

なぜ難しいのか?ツイッターはあくまで個人の世界だからです。

よくツイッター活用のアドバイスとして「ファンを作れ」「バズれ」とか言われます。それらは一般個人を相手にモノやサービスを売る商売とはとっても相性がいいんです。

だけど、企業間取引(B to B)の製品やサービスは「バズ」じゃ売れません。イラストレーターも同じです。

イラストレーターのお仕事依頼は「バズ」じゃゲットできない

もう少し説明します。

考えてみてください。企業の中の人が発注先としてイラストレーターを選ぶ状況を。「このイラストレーターは今日Twitterでバズってるのでこの人に依頼しよっと」みたいな決め方をするだろうか?それは、どう考えてもあり得ない。

実際にはこんな感じです。

  1. ある企業人Aさんが、Twitterで、イラストレーターBさんを見つけたとしましょう。
  2. AさんはBさんがプロフィール欄に載せてるウェブサイトを見ます。
  3. 実績リストを見て、ああ社会人としてちゃんとした人っぽいわ、と思った。
  4. そこで大元発注企業や上司やプロジェクトの仲間に連絡。「この人に頼もうと思うんだけど、どうかな?」。
  5. 2日後、全員の承認が取れた。
  6. ここでやっと、AさんはBさんに連絡。

これくらいの手順は普通に踏みます。

依頼主は、仕事依頼を即日即決なんてしないんです。なぜなら信頼できるイラストレーターに依頼しなきゃいけないから。

そもそもTwitterというフィールドの特徴は、「なんか今バズってるから」「なんか今盛り上がってるから」で思わず拡散しちゃったりポチっちゃったりする人が続出し、おかげで商売もうまくいくという点のはずですが、企業人がイラストレーターに依頼をする場面においては、関係者は誰もぜんぜんそんな行動をとりません。

しかも、話はTwitterだけで完結しているのではない。前述のイラストレーターBさんはウェブサイトをちゃんとビジネス向けに作り込んであって実績をしっかり書いていたから、依頼に結びついたんです。

つまり、Twitterの特性はあんまり関係なかった。

バズじゃ仕事依頼をゲットできないってのはそういうことです。

でも、バズを狙いまくって認知度を上げれば仕事依頼につながるはずでは?

よくある反論ですが、ちょっと間違ってます。いくら認知度を上げたところで実績や信頼性が伝わらなければ依頼されないので、バズるだけで→お仕事依頼ゲット、とはなりません。

そもそも一般個人に認知されても、依頼につながる確率はミクロに低い。制作会社の中の人を対象に狙ってバズらせることができればいいのでしょうが、そんなの不可能です。

むしろ、バズを狙って痛いクライアントの愚痴とか、街中で見た痛い人の風刺漫画とかを流し続けた場合、企業がそれを知ることで品位を疑われ、イラストレーターとして再起不能になってしまうことも十分あり得るので、気をつけていただきたいものですね。

「フォロワー数ガン上げ=企業の依頼が来る!」は間違い

続いて「ファン」とかフォロワー数の難しさについても述べます。

単純に、フォロワー数が多いのは良いことです。例えば書籍を作る会社がフォロワー数の多いイラストレーターに依頼すれば、その本をフォロワーが買ってくれる可能性が高まるので、多少なりとも売上増加を見込めます。

あと心理学で「ハロー効果」っていうそうですけど、フォロワー数が多いのだからきっとすごいイラストレーターなのだろう、と他人から見た評価がオート上向き補正されるという特殊効果もあります。

しかしだからといって、フォロワー数をガン上げすれば企業の依頼が来るはず!と考えるのは間違いです。

その理由のひとつめは、バズのところで述べたのと同じ理屈で、一般人や同業者をフォロワーとしていっぱい集めたところで「依頼につながる確率はミクロに低い」し、見込客だけがフォローするようコントロールするのも難しいから。

ふたつめは、「フォロワー数が多い」=「実績が多くあるイラストレーター」ではないから。むしろ現実には逆のことが多いと思います。

ちょっと前、都会の某コワーキングで「フォロワー1万人いまーす」って言っているイラストレーター女子に出会いました。よくよく話を聞いてみたらイラストレーターを自称してるけど企業との取引経験は一回もなく、お金は知り合いのエンジニア君からデザインの仕事を回してもらって稼いでるらしいです。あとカフェで個展をやるらしいです。

もし、「フォロワー数を増やすほどお仕事依頼もたくさんゲットできる」が真であるならば、この女子と私は立場が逆でなければおかしい。私の本垢は恥ずかしくて人に言えないくらいフォロワー数が少ないですけど、私は国民の98%が知ってるであろう企業との取引経験がなんぼでもあるし、実は著書も複数出してます。

じつは依頼側の立場の人でも、ここに気づいている人は割といます。「Twitterって自称イラストレーター多すぎ。仕事頼めるようなちゃんとした人がほんといない」って、私の仲良しの取引先さんなんかはよく言ってますしね。

依頼主は、実績があって信頼できるイラストレーターに依頼したい。だけどバズやフォロワー数は実績と信頼性を証明するものではない。だから仕事依頼を増やしたいならフォロワー獲得にやっきになるのは筋違いってこと。

じゃあ、Twitterなんて無意味なの?っていうと、もちろんそんなことはない。役立て方はあります。けど、みんなが思ってるより難しいです。詳しくは別記事で。

結局「ポートフォリオをちゃんとする」「個人イラストサイトをちゃんと作る」が必要

以上長々説明したように、ツイートだけで仕事依頼を連れてくるのは難しい。

というわけで、イラストレーターがTwitterを使って仕事依頼をゲットするためのコツとは、「プロフィールに自分の個人イラストサイトのURLを載せておく」が正解です。元も子もないけどさ。

ただ、問題は、その個人イラストサイトの内容です。

仕事の依頼主はTwitterであなたを知ったとしても、結局のところ、その個人イラストサイトを見て判断します。あなたが仕事を任せるに値するプロかどうかを。

ということは、よくイラストレーターがやりがちな
なんとなく英単語を並べたオシャレなだけのイラストサイト
とか
本名や居所を一切明かさないプロフィール
とか
ただの『画集』でしかないポートフォリオ

なんかではダメだってことです。なぜならそんなんじゃ「このイラストレーターは信頼できるプロだな」って思えないからです。

いくらTwitterをうまく運用できていても、個人サイトやポートフォリオの作り方が間違ってたら、仕事の依頼は来ない、ってこと。

じゃあ依頼主が信頼してくれる、仕事の依頼が発生する個人イラストサイトってどうやって作るの?っていうと、実はすでにある程度の答えがあります。イラストレーターが自己流でやると高確率でダメサイトになりがち。だから違う視点の知識を仕入れてください。

【1】イラストサイトに仕事の問い合わせが来ないのは、こんな勘違いをしているから|いしつく! / イラストサイトのつくりかた|note

いしつく!の教科書

「仕事の依頼が来るポートフォリオサイトって、どうやって作ったらいいの?」

そんなイラストレーターに読んでほしい全5章のnoteマガジンです。専門用語はできるだけ使わずに書きました。

目次 & 概要

よかったら、こちらの記事も読んでみて。