「仕事がない。営業もしたことがない」絵師さんへの発注側&先輩からの正直なアドバイスがすごい

仕事が来ず焦っています。初めての仕事は半年前ほど。小説の表紙でした。その後ゲームのキャラデザインの仕事を2件ほど請けたが、それ以降全く何も絵に関わるお仕事がありません。
その間やっていた活動は、絵師募集のコンペに参加したこと、Pixivに投稿することなど。
このままで私は大丈夫なのでしょうか?

Q&Aサイトに、絵師(オタク系のイラストレーターのこと)からの相談が寄せられているのを見つけました。回答には活動中のイラストレーターさんだけでなく、仕事を依頼する側からの意見も寄せられていて、なかなかすばらしい。これは仕事がなくてお悩みのイラストレーターさんにはかなり役に立つはず!って思いましたので、いしつく!でもご紹介させてもらいます。

この記事は引用元ページの内容を元にいしつく!の意見を交えてお伝えするものです。引用元»(絵師)仕事が来ず焦っています。わたしは何をすべきでしょうか? – 去年の8月… – Yahoo!知恵袋

[mokuji]

大丈夫ではありません。営業をしてください。

質問の絵師さんは、仕事がないと言いつつも、どうやら営業活動を全くしたことがない様子。ネットに絵を投稿するだけの「活動」に、真正面からの回答がありました。

大丈夫ではありません。営業をしてください。コンペの応募など、営業ではありません。株を守って兎を待っていてもいたずらに歳をとるだけです。

ネットのコンペなど目先でやりやすいことばかりでなく、足で稼ぐ営業もすべきです。ネットで掛かる募集は切り捨てもされやすいと心得てください。
地方在住であっても、最低でも電話をかけてポートフォリオを送らせてもらうくらいのことはしてください。

コンペの応募は営業とは言いません。

これに対し質問者は「営業をするという発想がなかった」という旨のことを書いています。「活動」イコール「SNSに投稿」、そんなイラストレーターさんって今どき結構多いのかもしれませんが、仕事にしたいんだったらそれではマズい。発注側の意見からその理由がわかります。

頼む側も人間なので、頼みやすい人間に頼む。一回営業に来ただけであとはそれきりのイラストレーターと、何度も顔を合わせていて打ち解けたイラストレーターなら、後者に頼むのは当たり前。

実地の営業をしていてもこうなんだから、Pixivに「お仕事募集中」と書いているだけでは眼中にすら入れてもらえませんわな

営業用イラストサイトはやっぱり必要だ!

イラストレーターさん、絵師さんのなかには、Pixivのアカウントページを自分のイラストサイトとして名刺やプロフィールに載せている人もいますが、それでは仕事に結びつきにくい理由が、依頼する側からの回答コメントから見て取れます。

よくイラストサンプルをPixivに絵を載せている人がいますが、Pixivって会員登録しないと細かいところまで使えないので、依頼する側からするとすごく不便なんです。

そもそもPixivはイラストによって交流するSNSであったはずで、仕事を依頼をするプラットフォームとしてはあまり適切でないように思います

自分のウェブサイトを持っているイラストレーターさんだと、問い合わせフォームへのリンクを目立つ場所に設置してある方がほとんどなので、手っ取り早くコンタクトを取ることができます。それだけと言ってしまえばそれだけのことですが、SNSにプロフィールを持っているだけの人とは「依頼のしやすさ」が違うんです。

イラストレーターさんはとにかく「自分の絵を見て欲しい」ということだけを考えるので、イラストを掲載できる場所であれば、Pixiv/Twitterであろうと自分のウェブサイトであろうと、どこでもいいと考えてしまうのかもしれません。

が、依頼する側はそういう風には見ていない。PixivやTwitterに絵を載せているだけの人というのは、信頼していいのかどうか判断しづらいんです。プロフィールに「有償のお仕事募集中です」なんて書いてある人もいますが、このひとことだけで本当のプロかどうかなんて判断できないしね。

イラストが自分のイメージにぴったり合っていれば「どこかに連絡先載せてるかな」とプロフィールを見たりしますが……

ここで営業用サイトに誘導できないと、依頼には結びつかないというわけだ。

「お仕事募集中」で待っているだけ?

質問者は営業活動をしたことがなく、Pixivに絵を載せるだけ、コンペで選んでもらうのを期待しているなど待ちの姿勢が目立ちます。最近、Twitterなどのプロフィールに「お仕事募集中!」って書いている絵師さん、イラストレーターさんも多いですね。

こういったイラストレーターの「待ちの姿勢」には思い当たる節のある方もいらっしゃるかもしれませんが、発注側の立場の方からは厳しい回答コメントが寄せられていました。

「絵師」に仕事を頼みたいんじゃない。まともなイラストレーターに頼みたいんだ!
ネットで待ち受けているだけで、プロ根性のかけらも見せていないド素人なんかにまともな仕事を任せられるねえじゃねえか!

Pixivで「有償のお仕事のご依頼お待ちしております」等、大雑把な文章とメールアドレスしか載せていない方も依頼しにくいです。

また、いわゆる出会い系サイトの活動に例えた人もいました。

プロフィールをサイトに載せて彼女募集中ですって言ってるのと同じです。

その気のない女性に振り向いてもらうにはどうしますか?相手の趣味や好きなものをリサーチしてサービスしたり自分を知ってもらったりするんじゃないですか?
モテる人は同時に何人も口説いてるし、一回目のデートがうまくいかなかったくらいではあきらめません。それが営業ですよ。

待ってるだけの草食系男子が女子から嫌われるのと同じように、「お仕事募集中」って待ってるだけのイラストレーターさんは制作会社さんからは見向きもされない、という例えでした。

プロフィールに「お仕事募集中」と書くことについては賛否あるそうですが、いしつく!は「絶対にやめなさい」とアドバイスしています。だって、そもそもイラストレーターという職業を名乗っている時点で常にお仕事募集中なわけだよねぇ?なのになぜわざわざ書くの?ヒマだってことをそんなにアピールしたいの?というあたりが理由です。

素人の人がどんな仕事でもいいから!と一縷の望みをかけて書いてるだけならまだしょうがないかなぁとも思うけど、プロを名乗る者が素人と同じようなことしてちゃ、得られる信頼も得られまへんのやで。

でも、「待ち」じゃない姿勢って、どうしたらいいんだろう?きちんと食い扶持を稼いでいるというイラストレーターさんからは、こんなヒントが寄せられていました。

「お仕事ください」とひたすら待っているだけでは、人手が足りない時用の単なる作業員になってしまいます。例えば自分で企画をできるようになりましょう。編集プロダクションなどの方と会う時にそれを「お土産」として持ち込むのです。

イラストそのものより人間関係が大事だったりする

多くのイラストレーターさんは、絵を気に入ってさえもらえれば依頼がもらえるはず……と思っています。でも仕事って、そうじゃない。絵柄が良いだけで仕事を頼むのではない、それに加えて人柄が重要なのだ、と複数の回答者が記しています。

そもそも必要なのは、コミュニケーション能力とフットワークの軽さ。コミュニケーション能力の低い人に依頼をしても想像するような絵が返ってこないし、尻の重い人に仕事を頼んでも仕事の反応も遅いに違いないから。

いくら絵が上手でも、コミュニケーション能力がないと台無しに。

仕事を取るのは人間関係です。コネがなくても、「約束(納期)を必ず守る」「挨拶をきちんとする」など当たり前のことをきちんとするだけでも人間関係を築けます。

人間関係を築くのなら、ネットより現実世界の方が何千倍も効率がいい。実感されている方も多いと思います。百通のメッセージをやり取りするよりも、たとえ30分でも一回会うことの方がはるかに強力です。そう考えると、お客様に会いに行くのが楽しみになってきませんか?

イラストサイトで得意分野の仕事を引き寄せる

イラストレーターの方からは、ウェブサイトを仕事に役立てているという実践的なコメントもありました。自分のウェブサイトがあると、SEO的な工夫によって自分の得意な分野の仕事を狙って引き寄せることができます。

Pixivなどはあまり使いませんが、自分のウェブサイトにはSEO的な工夫を施してあるので、自分の得意分野の仕事の問い合わせをよくいただきます。

PixivやTwitterなど借り物だけで済ませているとこういう工夫はできないですよね。

私もイラストレーターとしては、教科書や学習参考書用のイラストを多く手がけています。プロモーションサイトにも制作例を載せていますが、新規のお客様はほとんどがネット検索で見つけてくださった方だったりします。

イラストサイトを利用することはSNSの「待ちの姿勢」と混同されやすいんですが、実はもっとアグレッシブです。いしつく!でも説明がなかなか難しいなぁと思うんですが、すでに確立したやり方はあるんですよ。得意分野でのキーワードで見込客を引き寄せ、そこからメールをとっかかりに関係を築いていきます。
そういうイラストサイトを提供しているのがいしつく!です。

発注側の本音はなかなか聞こえない

回答のなかでいちばん刺さったのは、ある回答者の親戚という、イラストを発注する立場にある人の発言でした。

「ピクシブなんかに投稿しているより、ポートフォリオを作って、営業に行きなさい!(怒)」と怒っていましたよ。

(このままで大丈夫なのか?というイラストレーターの問いに対して)
大丈夫か、大丈夫じゃねえかくらい自分で考えろよ!自分のことも決められない人間に、大事なクライアントから任された仕事は頼みたくない!

これが、発注する側の本音にいちばん近いのでしょう。ただ、私たちイラストレーターが営業活動において出会うお客様が、こういうストレートなアドバイスをしてくれることはまずありません。
だって発注する側が、外注先であるイラストレーターの商売の仕方に口を挟む必然性なんか、どこにもまったくないんだものね。

そう、発注側の本音を知るのはむずかしい。加えて、イラストレーターさんは自分の世界を表現するのが得意な人は多いけど、逆に周りからどう見られているかを知るのは苦手だったりする。
なので、いしつく!はコンサルタントとしてイラストレーターさんを一歩下がって外側から眺める存在であれたら嬉しいなぁと思っているんだ。

いしつく!の教科書

「ポートフォリオサイト、自作してみたけど、仕事依頼なんて一回も来たことない」

そんなイラストレーターに読んでほしい全5章のnoteマガジンです。専門用語はできるだけ使わずに書きました。

目次 & 概要

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