フリーランスのイラストレーターさんの営業メールについて書きました。制作会社等に向けて、うちのイラストを使いませんかと送るメールのことです。
筆者は依頼側としての経験もあります。どんなメールなら「この人に仕事頼んでみようかな」って思えるのか、なんとなくわかったことがあるので、それをお伝えします。
とにかく作品見てください!ではなく、特徴を言葉で伝えよう。
制作現場ではいい作品を作る人が欲しいのはもちろんですが、それ以上に、一緒になって仕事をしてうまくいくのか、ということが知りたいのです。
営業メールで必要な情報を簡潔に伝えてくる人は、仕事上のコミュニケーションもきっと上手だろうな、と思えます。
「いいからとにかく作品見てください!」というニュアンスでは、その人のイラストサイトのURLが載っていても、たぶん見ません。
「なんでも描きます!」もいただけません。それなら他にもっと特徴的で優れた人がいるからです。
だからイラストの特徴は必ず絞り込んでおいて、言葉で伝えられるようになりましょう。もしそれができているならば、営業メールの書き方で悩んで検索する必要なんてなくなりますよ。
「どんなイラストが得意?」って聞かれたら、言葉で答えられますか?キーワードを考えるための3つのヒント – いしつく!ブログ
特徴と強みを端的に伝えよう
では、イラストレーターさんの営業メールに必要な情報ってどんなことなのか。基本軸は、イラストの特徴と、あなたの強みです。人柄も伝わるようならなおよろしい。
イラストの特徴を伝える
特徴といっても、どんな画材使ってます、どんな機材使ってますなんて描き手寄りの話はファーストコンタクトでは不要です。
ではなくて、あなたのイラストがどういう種類の企画に使えるか、今までどんな企画で使ってもらってきたか、を軸に伝えてください。何を描いていて、何のために使えるイラストなのか。
それがマッチすれば、自然と「使えそう」→「作品を見てみよう」いうアクションにつながります。
あなたの強みを伝える
強みというのは、他のイラストレーターに比べてこんな点が優れているよ、という部分のこと。
別に他のイラストレーターを貶める必要はなくって、あなたが採用されたら相手にどんなメリットがあるか、という視点で考えてください。
絵そのもののことでなくても、仕事の上でこんなことを大事にしているよ、ということでもいい。強みとか特徴とかを考えていくとき、どうして自分はそう思ったのか?もついでに考えてみるといいかもしれないですね。
人柄を伝える(わざとでなく)
人柄を伝えると言ったって、私はこんな性格で趣味はこんなで……ってあえて長々と書く必要はないよ。
伝わる文章を書こうとすると、自ずとにじみ出てくるものがあるってもんです。あとで触れるけど誤字や脱字がないことなんかもそうですね。丁寧な文章を書く人は、仕事も丁寧なんだろうな、とかね。
抽象的な話でスマナイけれど、営業メールってある意味ラブレターですしね。とにかくなんでもいいから仕事ちょうだいよ、ってな雰囲気が出すぎるとフラれたり。ただの電子の文字列だけど、そこに人の気持ちは現れるってことです。
誤字・誤用をなくそう
同じ内容のメールでも、誤字や誤用が多いってだけで印象がガクッと下がっちゃいます。言葉遣いの間違いなんてどうでもいいでしょ?結局は作品の良し悪しでしょ?って思っているうちは多分仕事来ないと思います。
誤用が多い人というのは、ビジネス文章を書くのに慣れていないんだろうな、それだけ社会経験が浅いんだろうな、と判断できます。
営業メールが誤字だらけでは、仕事上のコミュニケーションもテキトーなんだろな、って思えます。
誤字を防ぐためには、書いた文章は送信前に必ず読み返しましょう。
誤用を防ぐためには、普段からたくさん活字を読むこと。モニタや端末に映る文字だけじゃなくって、本と新聞を読みましょう。
誤用、変な表現の例
- よく使われる表現で、私が一番嫌いなのが「になります」。
「こちらが私のウェブサイトのURLになります」とか。
(正しくは「こちらが私のウェブサイトのURLです」。) - 何にでも「◯◯させていただきます」。「メールを送らさせていただきました」とか。許可しないとダメなの?
(正しくは「メールをお送りいたします」。) - 「大阪市に在中しております」とか。なんだって?封筒の中にでも住んでるの?!
(正しくは「在住しております」。) - 一回も会ったことないのに「お世話になっております」とか。
(意味のよくわからない言葉はつけなくていいよ。)
ダメな営業メール、3つの例
イラストレーターさんを募集していたときにもらったメールの中で、これじゃ困るなぁ、この人に手伝ってもらうのは無理かなぁ、と思った例を少し紹介します。
内容が薄すぎ
- 初めまして。よろしくお願いします。イラスト見てください。[URL]
- 展覧会等で◯十年間活動。現在は仕事の傍らイラストサークルを主宰。制作例はpixivにて。[URL]
本当にこれだけの文面の人がいるのよ。うん、ナメられてるんやろな。
それよりマシとはいえ、文面は丁寧でも結局中身がないってパターンもあります。
自分語り、世界観語り
私の作ったキャラクターは◯◯で◯◯で◯◯って設定で、すごい可愛いから売り出していきたい、とか言われても困る。それがウチにどういうメリットをもたらすのかな?
そもそも、募集内容に合ってない
例えを挙げると、イラレによる図版イラストを描ける方お待ちしてます、って募集に対して「パステル画得意です、よろしくお願いします」とか。ダメ元で送ってみてるんだろうけど、検討対象にならなくて困る。募集条件はちゃんと読もう。
営業メールの文組み立て例
イラストレーターさんの営業メールについてお伝えしました。まとめると、文章組み立て例はこちら。
- 挨拶文(ごく簡潔に)
- イラストの特徴……何を描いていて、どんな企画に使えるのか
- あなたの強み……私を採用していただけたら、御社にこんなメリットがありますよ。
- ウェブサイトのURL
- 希望するアクション……依頼したいときはこのように連絡をください。
会ってお話ししたい、などの希望があるのならその用件も手短に書こう。
例文は自分で考えてね!心配な方はカウンセリング承りますよ。
結局、ウェブサイト必須
ウェブサイトに情報をきちんとまとめてあれば、営業メールを受け取ったあともじっくり検討できるし、ブックマークをたどるだけで作品をもう一度見られる。大元のお客様に紹介するときもURLを送るだけで済む。
ポートフォリオサイトがちゃんと作ってあると、営業メールもより効いてくる、ってことです。ただし「ちゃんと」作るっていうのがむずかしい。だからいしつく!がいろんな情報をお届けしてるわけです。
いしつく!の教科書
「ポートフォリオサイトで仕事依頼が来るって、ほんとにそんなこと可能なの?」
そんなイラストレーターに読んでほしい全5章のnoteマガジンです。専門用語はできるだけ使わずに書きました。
目次 & 概要
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まえがき 9割のイラストサイトは仕事の役に立っていない
そもそもウェブサイトを仕事に役立てること自体が無理なのでは?そう思っているかたに、私の体験をお話しします。まえがきを読む » -
第1章 イラストサイトに仕事の問い合わせが来ないのは、こんな勘違いをしているから
「作品ギャラリー」を作ろうとしたり、ウェブサイトなんか活用できないものと思い込んでいたり。よくある勘違いを挙げました。1章を読む » -
第2章 仕事の取れるイラストサイトを作るための、正しい作戦
どう作り、どう利用していくべきか、という全体の作戦をお伝えします。いちばん大切なのは、信頼を得ること。バズや過剰なアクセス稼ぎは要りません。2章を読む » -
第3章 仕事の取れるイラストサイトを作るためには、こんな材料をそろえよう
ドメインやサーバー、コンテンツの用意のしかたを解説します。プロフィール文の改善例や、イラスト画像の準備のポイントなど。3章を読む » -
第4章 仕事の取れるイラストサイト、レイアウトの正解例
実際に運営されているウェブサイトのレイアウトとページ構成を解説します。なぜそのようになっているのか、デザインには理由があります。4章を読む » -
第5章 作ったあとどうする?上手な活用とは
ウェブサイトは作って終わりではありません。SEOについて、ブログのやりかた、営業メールの送りかた、現実の営業に活かしていく方法など。5章を読む »