フリーランスのイラストレーターは名刺に本名を書きましょう。住所と電話番号もメールアドレスもちゃんと書きましょう。
なぜなら仕事の依頼をゲットしていきたい、と思っているイラストレーターにとって、本名を名乗るのがいちばんイージーな選択だから。
セキュリティがどうので隠したがるイラストレーター多くて、本名代わりにTwitterアカウントを書いちゃう人もいます。それは本当に失礼だし社会人としてアウトだから、そんな名刺で仕事がゲットできるなんてくれぐれも思わないほうがいいよ。
まずは「どう名乗るか」を決めよう
名刺の記載をどうするかという前に、イラストレーターとして仕事をしていくにあたってどう名乗るか、を先に決めましょう。
特別な理由がなければ本名を名乗りましょう。理由は後述しますが、そのほうが得だからです。
なお、ペンネームを名乗っていても、企業と取引する場合は本名や住所を隠したままにはしておけません。報酬の支払いのために必須だからです。本名はもちろん住所とマイナンバーも知らせる必要があります。
ペンネームを名乗る人は本名の併記はしなくていい
「私はペンネームでいく」と心に決めている人は、名刺にはペンネームを表記してください。ペンネームと本名を併記する必要はありません。
屋号を名乗るなら併記する
屋号は無いよりもあったほうがいい。「屋号+本名」の表記が、個人事業の中ではいちばん信用が得やすいです。名刺のレイアウトも「会社名+名前」に近い見た目になるので、会社員と名刺交換しても負い目が少ないのです。
住所、電話番号ももちろん記載すること
名刺には住所は番地まで、電話番号も載せましょう。
自宅兼事務所なので名刺に載せたくない、と言う人多いですが、そもそも名刺がなんのためにあるのかを考えればなぜ必須なのかわかります。
電話番号をどうしても公開したくないのだったら、格安携帯とかララコールで仕事専用の電話番号作りましょう。
住所をどうしても公開したくないのだったら、事務所として安物件を借るか、またはバーチャルオフィスを使おう。
そもそも名刺を作るのは、信用してもらうため
なんでわざわざ名刺なんてものを交換するのかというと、初対面の相手に「私はこのあたりに居るこういう者でござる」と詳細を明かすことで信用してもらうためです。だから本名や住所を書いて当たり前なんです。
例えばある交流会で、イラストレーターが、制作会社にお勤めの会社員さんと名刺交換をするとしましょう。相手は当然、本名と会社の住所と電話番号がバッチリ入った名刺をくれます。しかしイラストレーターは、住所も電話番号もない、本名すらない、Twitterアカウントとメールアドレス(とあと、めっちゃ読みにくいURL)しか書いてない、なんて名刺を渡す。
これって、客観的に見れば相当失礼です。「お前は身分を明らかにしたが、私ははっきりとは名乗らないぞ(だってクリエイターだから許されるも〜ん)」って意味だからね。信用もへったくれもない。
まあ、一応にこやかに対応してもらえると思います。でもだからこそ気づけないわけです。このあと仕事のお声がかかることはないということに。
セキュリティや個人情報が気になる人へ
変な人に名刺を渡さないことです。
名刺に本名と住所を載せるかどうかよりも、むしろそっちを気にしてください。
交流会では、マルチの人とかイマイチ意味のわからない謎ビジネスをしている人とか謎の自称クリエイターを確実にスルーしましょう。そのために、はじめに少し会話をしたのち「申し遅れました」で名刺交換する習慣をつけてください。誰彼構わず目が合ったら即名刺交換、てな行動は下品なうえに効果もない。仕事につながりそうな人を見極めましょう。
さらにこんな小技もどうでしょう。住所や電話番号を抜いた名刺もあえて用意しておいて、名刺入れに何枚か入れておき、「この人ダメだわ」って思ったらさりげなくそっちを出す(だけどこの場合でも名前代わりにTwitterアカウントは流石にナシです。名前は入れましょう)。
商談会のときは、ブースに名刺を置いて勝手に持って行ってもらうことはしないでください。私それやって山ほど迷惑メール来ました。
イラストレーターが本名を名乗るとお得な理由
変なペンネームは、私は一切オススメしないという立場ですが、直接一般人向けに絵を発表していく人気商売的なやり方のイラストレーターなら許容されやすい傾向があります。
でもそうじゃなくて、企業と取引して仕事依頼をゲットしていきたいイラストレーター(そもそもこっちが本当の意味ですが)の場合、本名を名乗るほうが断然お得です。
人の自由っちゃそうなんですが、ぶっちゃけ本名の方がメリットが多くて色々はかどります。そのメリットとは主に次の3つです。
本名のほうが信用を得やすい
本名を名乗っていれば、それだけで「それなりに覚悟して仕事をやってる人なんだなあ」みたいな感じで見られるため信用されやすい。信用されやすいと、仕事を頼まれやすい。ひとつ実績ができれば、次の仕事もゲットしやすい。こうしてキャリアが積み上がっていきます。
一方、変なペンネームの人は「自分の世界を表現するこだわりのあるクリエイター」に見られます。悲しいけど、こういう人にはお金にならない話が集まりがちです。それでも仕事をゲットしようと思ったら、本名の人より余計にがんばって信用を稼ぐ必要があります。
どう名乗ろうがそのイラストレーターの腕は変わらないのに、周りの見る目は変わる。すると、結果も変わる。だったら得なほうを取ったらいいと思うんです。
世間にホンモノの私の名前が残る
書籍の挿絵の仕事をすると、奥付に名前が載ります。本は、半永久的に世の中に残ります。そこに本名を刻むのは覚悟もいるけど、家族や知り合いがパッと見て私とわかるぶん、誇りと自信にもつながりやすい。
気分の問題だけど意外と重要です。本名で仕事してきた自分の体験を振り返ってみると、その自信のおかげでキャリアを積んでこれたという面があります。
本名のほうが面倒が少ない
ペンネームを名乗るイラストレーターに電話かけたら本名を名乗られ、一瞬誰だっけというモヤモヤ。郵便物を送るとき、名刺を引っ張り出して本名を調べるその時間。まあどれも笑って済むような小さなことですが、そのちょっとの手間をビジネス相手に負担してもらわなきゃいけないのは事実。
変なペンネームから本名に名乗り変えるイラストレーターも最近増えています。人気商売系の真似をして変なペンネームをつけてみたけど、後悔したのでしょう。
ペンネームを名乗ることは何しかのコミュニケーションコストが付きまといます。そんな面倒を背負うくらいなら元から本名にしておいたほうが楽でしょう。周りにも負担をかけないから仕事のお声もかかりやすい、かもしれない。
私は本名がオススメだという立場に変わりはないですが、ペンネームを名乗るならばせめて「この名前で生きてく」って覚悟を持って決めた名前にしてください。ペンネームや屋号の付け方で迷っている人はこの記事がおすすめです。
名刺の作り方をもっと知りたい人はこの記事を読んでみてください。
いしつく!の教科書
「仕事の依頼が来るポートフォリオサイトって、どうやって作ったらいいの?」
そんなイラストレーターに読んでほしい全5章のnoteマガジンです。専門用語はできるだけ使わずに書きました。
目次 & 概要
-
まえがき 9割のイラストサイトは仕事の役に立っていない
そもそもウェブサイトを仕事に役立てること自体が無理なのでは?そう思っているかたに、私の体験をお話しします。まえがきを読む » -
第1章 イラストサイトに仕事の問い合わせが来ないのは、こんな勘違いをしているから
「作品ギャラリー」を作ろうとしたり、ウェブサイトなんか活用できないものと思い込んでいたり。よくある勘違いを挙げました。1章を読む » -
第2章 仕事の取れるイラストサイトを作るための、正しい作戦
どう作り、どう利用していくべきか、という全体の作戦をお伝えします。いちばん大切なのは、信頼を得ること。バズや過剰なアクセス稼ぎは要りません。2章を読む » -
第3章 仕事の取れるイラストサイトを作るためには、こんな材料をそろえよう
ドメインやサーバー、コンテンツの用意のしかたを解説します。プロフィール文の改善例や、イラスト画像の準備のポイントなど。3章を読む » -
第4章 仕事の取れるイラストサイト、レイアウトの正解例
実際に運営されているウェブサイトのレイアウトとページ構成を解説します。なぜそのようになっているのか、デザインには理由があります。4章を読む » -
第5章 作ったあとどうする?上手な活用とは
ウェブサイトは作って終わりではありません。SEOについて、ブログのやりかた、営業メールの送りかた、現実の営業に活かしていく方法など。5章を読む »