SNSの名前やプロフィール欄に「お仕事募集中!」って書いているイラストレーターさんへ。それはあなた自身の価値を下げるだけだから、もうやめなよ。
文句を言いたい人もいると思うけど、まずは読んでみて。それでもやっぱり「お仕事募集中!」って書きたい!!って思ったらそうしたらいい。そんなの君の自由さ。
そのひとことがあなたの価値を下げる
「お仕事募集中」は、あなた自身を、とっても価値の低いイラストレーターに見せてしまう表現だ。だからどうかそんな余計なひとことは書かないでほしい。これが、この記事で伝えたいことです。
だってお仕事募集中って書いておけば、もしかしたら仕事を発注したい人の目にとまるかもしれないでしょ?周りの同業者さんたちもみんな書いてるし。それくらいの軽い気持ちで書いているイラストレーターさんが多いのではと思います。
でもその言葉が足元をみられる原因になる。足元を見られた結果、トラブル発生、SNSで愚痴拡散……という一連の流れがここから生まれるわけですね。自分で招いたようなもんなのに。
なぜ「お仕事募集中」が足元を見られる原因になるのか?理由は3つあります。
[理由1] 時間が空いているのをアピールするのは自分の首を絞める
「お仕事募集中!」という言葉でアピールせんとすることのひとつは、「時間が空いているから仕事ください」ってことだよね。
「今ヒマです」ってアピールすることで、空いているなら頼もうかと思ってもらえるかも?!と考えるのがまずそもそも間違ってると思うのです。
ガラガラに空いている店って入りづらいでしょ?どんな商売でも同じことが言えます。ヒマってことはなんか良くないところがあるんだろ……と人は無意識に考えてしまう。
行列のできる店がより繁盛するのと同じように、繁盛するのは忙しそうにしているフリーランスのほう。だからヒマをアピールするのは自分で自分の首を絞めるようなもんです。
もうひとつ、超重大な欠陥がある。「ヒマなんだろ?仕事がないよりマシだろ?じゃあ格安でもいいよね?」って流れに強制的に持っていかれることです。世の中の副業ナントカとかシェアリングエコノミーとかってのは全部この理屈で搾取しまくってますよね。
忙しそうに見せろ、ってのはべつに「寝てないアピール」をしろってことじゃないんですよ。まともな仕事を得たいなら「私は有名媒体での実績がたくさんありますので…」と地味に地道に伝えていくほうが効果的で、「仕事ください」って派手に言いふらし回ってると搾取されやすい、という仕組みを知ってほしい。
[理由2] プロは仕事を募集などしない
「お仕事募集中」を書きたい人のもう一つの言い分はこう。「お仕事募集中って書いておけば、仕事を発注したい人の目にとまるかもしれないでしょ?」
どこかに落ちてるワンチャンスを偶然拾いたい、って考えかたですね。
プロのイラストレーターは、ふつうそうは考えない。
プロは、どこの誰でもいいから仕事くれ!なんて思いません。自分にマッチした仕事がしたいって思います。
プロは、自分の強みを知ってます。自分のイラストがどういう企画にマッチするか知ってます。だいいち、自分の強みが効いた仕事を重ねていかないと先がないことも知っています。
しかもプロは、ウェブサイトをビジネス活用したり、出版社や制作会社に営業をしたり人脈をこしらえたりを、とっくにやっています。「もし私のマッチする企画が発生したら、手伝わせてくださいね」というメッセージを、しかるべきところへ発信済みなんです。
だから、仕事が来るときはお客様のほうから声がかかります。
逆にいうと。
「お仕事募集中」しているのは、プロのなすべきことを何もやってないという証です。「私は素人です!」と公言しているのとだいたい同じですね。だから足元を見られたり、ナメた依頼が来たりする。そしてSNSで愚痴拡散(以下略)。
[理由3] 安いイラストレーターを探すための検索ワードになっている
とにかく安く使えるクリエイターを探したければ、クラウドソーシングサイトをあたるか、TwitterかPixivで「お仕事募集中」を検索すればいい
とても残念な話だけど、あるところではそういう認識が広まっています。
SNSでお仕事募集しているイラストレーターなんてその程度、って思われてます。「お仕事募集中」ってフレーズは、その人たちからみると「私は格安クリエイターで〜す」ってメッセージになってしまっているんです。
駆け出しの人はこう思っているかもしれない。なんでもいいから実績が欲しい、激安でもいい。だから『お仕事募集中』って書くしかない、と。でも、安さだけを理由にきた依頼はステップアップの糧にはなりません。自分のスタンスを変えていかないと。
駆け出しならまだいい。そこそこキャリアのある人の「お仕事募集中」はもっとヤバいと思ったほうがいいよ。そのフレーズを掲げている限り、「誰でもいいからとにかく安く」なんて仕事をずーっと引き寄せ続ける。
ではどうしたらいいの?
仕事に対するスタンスがホントにそれでいいのか、って考えてみてほしい。
仕事は募集するものではなく、提案するものです
「お仕事募集」「お仕事ください」は「お仕事をくれる人をじっと待っています」というスタンスをよく表した言葉ですけど、仕事ってそうやって取るものじゃないです。
逆です。こういうのどうですか?使ってみませんか?とこちらから提案するものです。
それには、自分のイラストがどういう企画にマッチしていて、お客様はどういう会社でどんな仕事をしている人たちかを知ること。知らないなら徹底して調べること。ないなら自分で企画を作る。
強みや得意なことを絞れ、書け
プロフィールから「お仕事募集中」の言葉を消す代わりに、「こんな強みがある」「こんなことが得意」というキーワードを盛り込む。絞り込めていない人はまずそこから考え直してください。絵を見てもらえればわかるから、じゃなくて言葉を使ってください。
駆け出しこそ「実績」を意識しろ
実績が仕事を連れてくる。かといって最初は実績がまだない、どうしたらいい?という人こそ、自分の強みを真剣に発掘しよう。モックアップを作るのもいい。実績を持ったイラストレーターは一体どう考え、どう行動するだろうか?を知ることもポイント。「自分はまだまだ素人だから素人らしくしていよう」って思っていると、いつまでたっても素人扱いされるよ。
TwitterやPixivだけで仕事を受注しようとするな
ちゃんとした仕事をやりたいならSNSだけでやろうとするな。ウェブサイトをきちんと作り込みましょう。当然、一般向けのギャラリーサイトなどでなくビジネス用途で。
そしてちゃんと営業活動をしましょう。しかるべき制作会社のしかるべき人に会ってポートフォリオや資料を見せましょう。SNSで愚痴とかしている暇があったらそういう活動を重ねましょう。
出版社にお勤めの編集者さんや制作会社のディレクターさんなどから、最近こんな声をよく聞きます。
「SNSでイラストレーターを自称している素人が多すぎて、ちゃんとしたイラストレーターを探すのが逆に難しくなっている」と。
趣味半分の自称絵師とかじゃなくて「ちゃんとしたイラストレーター」に依頼したい、でもなかなか見つからない。現場の皆さんはそう思っています。
「ちゃんとしたイラストレーター」と見られたいですか?それとも素人と思われたい?選ぶのはあなた自身だよ。
いしつく!の教科書
「ポートフォリオサイト、自作してみたけど、仕事依頼なんて一回も来たことない」
そんなイラストレーターに読んでほしい全5章のnoteマガジンです。専門用語はできるだけ使わずに書きました。
目次 & 概要
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まえがき 9割のイラストサイトは仕事の役に立っていない
そもそもウェブサイトを仕事に役立てること自体が無理なのでは?そう思っているかたに、私の体験をお話しします。まえがきを読む » -
第1章 イラストサイトに仕事の問い合わせが来ないのは、こんな勘違いをしているから
「作品ギャラリー」を作ろうとしたり、ウェブサイトなんか活用できないものと思い込んでいたり。よくある勘違いを挙げました。1章を読む » -
第2章 仕事の取れるイラストサイトを作るための、正しい作戦
どう作り、どう利用していくべきか、という全体の作戦をお伝えします。いちばん大切なのは、信頼を得ること。バズや過剰なアクセス稼ぎは要りません。2章を読む » -
第3章 仕事の取れるイラストサイトを作るためには、こんな材料をそろえよう
ドメインやサーバー、コンテンツの用意のしかたを解説します。プロフィール文の改善例や、イラスト画像の準備のポイントなど。3章を読む » -
第4章 仕事の取れるイラストサイト、レイアウトの正解例
実際に運営されているウェブサイトのレイアウトとページ構成を解説します。なぜそのようになっているのか、デザインには理由があります。4章を読む » -
第5章 作ったあとどうする?上手な活用とは
ウェブサイトは作って終わりではありません。SEOについて、ブログのやりかた、営業メールの送りかた、現実の営業に活かしていく方法など。5章を読む »