TwitterやPixivでアカウントを作って、それを自分のウェブサイトとして名刺に載せたりするイラストレーターさんも多い。でもSNS全盛の今だからこそ、イラストレーターさんは個人サイトや自分のためのポートフォリオサイトを持つべきです。なぜ?何がいいのか?というあたりをお伝えする記事です。
SNSはあくまでウェブサイトとは別物だ
SNSはあくまでコミュニケーションツールであって、ウェブサイトの代わりにするものじゃない。
SNSは個人サイトとは全く別のものって思ってほしい。それぞれ別の役割を充てて使い分けるのが、ウェブ運用の観点からは正しい。
意識してない人多いけど、SNSは制限だらけです。「周りもやってるし、とりあえず」で気軽にはじめられる反面、できないこともいっぱいあるのです。
投稿もできるしメッセージ機能もあるんだからウェブサイトの代わりになるでしょ?と思っている人がいるかもしれないけど、それは自由にレイアウトできるものじゃない。ウェブサイトの作り方によってコントロールできる要素は本当はもっといっぱいある。
それと、SNSには規約がある。登録のときに同意したはず。もしも「ユーザーが投稿したイラストは運営側に著作権を渡すことにします」なんて条項があっても、気付かずに同意しちゃっているから文句は言えない。
実際そんな規約はまだ見たことないけど、この先どうなるかはわからない。言いたいのは、好む好まずにかかわらず、SNSを利用するならそのSNSの思想のもとでしか活動できないよ、ってことです。
だったらはたして、イラストレーターとしての活動の中心に据えるのにSNSは本当にふさわしいかしら?って話。だけど自分で運営するウェブサイトなら完全に自由なのだ。
大勢に埋もれて「お仕事募集」?だから成長できない
SNSで絵を流して、イラストレーターさんとつながって、いいねをもらい、「お仕事募集中」とつぶやく。
それが営業活動だと思っているイラストレーターさん。
それは営業活動とは言わない。
SNSで「お仕事募集中」しているイラストレーターなんて、どうせ素人同然でしょ?という認識が広まってしまっています。
個人から依頼を請けたらすごいいい加減な奴で……!みたいなイラストレーターさんの愚痴投稿をよく見るけど、そういういい加減な仕事が発生しやすいのもまた、SNSって場所なんです。
私が付き合いのある編集者やアートディレクターからも「SNSでイラストレーターを自称している人がめちゃいっぱいいるけど、たいてい素人っぽいから仕事相手にはできない。ちゃんとしたイラストレーターに発注したいのに」という声を聞くことが増えました。
本当は責任感もあって誠実な人なのに、SNSしかやってないために素人に見られてるイラストレーターもいるんだろうなと思うと、かわいそうっていうか悲しいっていうか、同業者として先輩として、つらいですね……。
個人サイトを持っているかどうかが、「ちゃんとした」イラストレーターかどうかを見分けるポイントにもなっている、という現象があります。SNSが大流行りしたから逆に、一周回ってそうなった。だから今こそ個人サイトを持たない手はないです。
もちろん責任も伴うけど、成長ももたらすのが個人サイト
個人サイトを運営すると責任も伴います。
コンテンツは全て自分の責任下で考えなきゃいけないし、技術的にも、問い合わせフォームやページそのものがいつもちゃんと動くように用意しておかなきゃならない。
だけど、そのくらいの責任は、イラスト制作を事業としてやるなら負って当たり前のもの。
だから、個人サイトを持つと成長できるよ。ビジネス面でも、人間的にも。
個人サイトを作るにあたっては、いろんなことを考えなきゃなりません。なんのために個人サイトを作るのか。趣味サイトでいいのか、それとも仕事が得たいのか。目的を果たすためには、どんなコンテンツを揃えなきゃいけないのか。
そして仕事ゲットを視野に入れはじめたら、腹をくくらなきゃいけないところも出てきます。自分は本当に、名前を公開して責任持って事業をやる覚悟があるのか……など。
そんな体験を通じて、イラストレーターだってちゃんと責任を持って世間と対峙しないといけないなって自覚するかもしれないし、自分の立ち位置を自覚し直す人もいるかもしれない。
クラウドソーシングでコンペに群がるよりも、見つけてもらえるイラストレーターになろう
仕事をゲットするならクラウドソーシングサイト、というイラストレーターさんもいると思います。
これは単なるお節介だから悪口を許してほしい。クラウドソーシングサイトだけが仕事のすべて、って人は早く抜け出したほうがいいよ。特に最悪なのがデザインやイラストのコンペ形式で、大勢の会員を争わせて逆オークション状態を起こし、相場をより安くする。運営がいうフリーランスのみなさんのために〜なんて方便が通じるわけないでしょって思う。
そんな中にどっぷりはまっていては、この先ずっと格安下請クリエイターの烙印を押され続けるよ。
イラストレーターとしての成長を望む人にも、個人でポートフォリオサイトを持つのが有効です。格安コンペに群がるのをやめて、顧客の方から探しにきてもらえるようなイラストレーターになることも、自分のウェブサイトをきちんとチューニングすることで可能なんですよ。
趣味サイト?仕事用?目的は必ずどちらかに絞れ
イラストレーターも自分のウェブサイトを持ったほうがいい。でも、なんのためのウェブサイトを作るのかは、ちゃんと定めてほしい。
個人的な趣味のギャラリーサイトがしたいの?
それとも、仕事の問い合わせが来るウェブサイトにしたいの?
キリ番ゲットとかお友達からの頂き物イラストとか掲示板とか、そういうのしても、仕事の問い合わせを増やすのには全く役立たない。これはまあ流石にわかると思います。
でもよくイラストレーターさんが言いがちなのが「個人的なイラスト置き場にしつつ、あわよくば依頼も来ればいいな」という考え方。これは本当にだめ。
うまくいきません。
なぜなら、目的が違えばふさわしいコンテンツも違うから。コンテンツが違えば、含まれる言葉も違う。含まれる言葉が違うということは、どんな検索結果に現れるかも変わってくる。
個人的趣味のために作ったウェブサイトを、仕事が得られるための検索結果に出すのは大変に困難だし、逆もまた然りです。
だから、イラストサイトを作りたいなら、必ずどちらかに決めること。仕事の窓口にするためなのか、もしくは趣味のイラストサイトなのか。
個人的な楽しみのために趣味イラストサイトを作るのが悪いとは言わない。それならそれで割り切って、仕事を得るためのウェブサイトとは必ず分けること。ドメインも違うものにすること。
問題は何で作るかよりも「どう作るか」
個人サイトを持つべき!ってなるとすぐ「おすすめツールを知りたい」みたいな話になるけど、そんなことより、まずはさっき言ったように目的をはっきりしてください。
そのうえで、何のツールや技術で作るかは、ぶっちゃけなんでもいいです。
レンタルサーバーを借りて作るのが一番自由度が高いのでそれに越したことはないけど、無料サービスでもいい。いしつく!ではAdobe Portfolioをおすすめしています。ただ、ビジネスにしたいなら独自ドメインだけは絶対に忘れるな。
そして、もっと大事なのは、どう作るか。個人的な趣味イラストサイトにしたい人は、思うままに自由に作ればそれでいいです。
そうじゃなくて、仕事の問い合わせが来るウェブサイトを持ちたいと思うならば、それにふさわしい作りかたというものがあります。けど大半のイラストレーターさんはそれを知らない。
あわよくば仕事が来ればいいな……じゃなく、イラスト制作という事業をちゃんとやっていきたい、私はビジネスでイラスト制作してますって態度を明確にすることが、仕事の取れるウェブサイトにするコツです。
ウェブサイトを作ろうとしたら、レイアウトはどうしたらいいの?どういう構成にしたらいいの?などいろいろ疑問が出てきますね。ほかにも、ホームはどう作ったらいいの?ブログって何書いたらいいの?などなど。そんな要素のそれぞれに、仕事の取れるウェブサイトにふさわしいやり方ってのがあります。それはすでに判明してます。
もしそのやり方を詳しく知りたかったら、いしつく!の教科書をぜひ読んでください。
いしつく!の教科書
「ポートフォリオサイト、自作してみたけど、仕事依頼なんて一回も来たことない」
そんなイラストレーターに読んでほしい全5章のnoteマガジンです。専門用語はできるだけ使わずに書きました。
目次 & 概要
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まえがき 9割のイラストサイトは仕事の役に立っていない
そもそもウェブサイトを仕事に役立てること自体が無理なのでは?そう思っているかたに、私の体験をお話しします。まえがきを読む » -
第1章 イラストサイトに仕事の問い合わせが来ないのは、こんな勘違いをしているから
「作品ギャラリー」を作ろうとしたり、ウェブサイトなんか活用できないものと思い込んでいたり。よくある勘違いを挙げました。1章を読む » -
第2章 仕事の取れるイラストサイトを作るための、正しい作戦
どう作り、どう利用していくべきか、という全体の作戦をお伝えします。いちばん大切なのは、信頼を得ること。バズや過剰なアクセス稼ぎは要りません。2章を読む » -
第3章 仕事の取れるイラストサイトを作るためには、こんな材料をそろえよう
ドメインやサーバー、コンテンツの用意のしかたを解説します。プロフィール文の改善例や、イラスト画像の準備のポイントなど。3章を読む » -
第4章 仕事の取れるイラストサイト、レイアウトの正解例
実際に運営されているウェブサイトのレイアウトとページ構成を解説します。なぜそのようになっているのか、デザインには理由があります。4章を読む » -
第5章 作ったあとどうする?上手な活用とは
ウェブサイトは作って終わりではありません。SEOについて、ブログのやりかた、営業メールの送りかた、現実の営業に活かしていく方法など。5章を読む »