ブログやTwitter、Facebookなどで発信するネタ選びのお話。最近、同業者向けに発信しているイラストレーターさんが目につきます。
でもはっきり言っちゃうけど、それ、イラストの仕事の受注には結びつかないよ。気をつけてよね!というのが今回のお話です。
もちろん、やっちゃいけませんとは言わない。同業者の誰かの役に立てばそれはそれでいいコトだけど、そこに力を注ぎ込むのは賢いやり方じゃない。私の失敗談も含めてお伝えします。
同業者向けのネタは、喜びが多い。
- イラストのクオリティを上げる描き方!
- あの有名企業がイラストレーターを買い叩き!これってひどくない?!
- 私がイラストのお仕事を得られるようになるまで!
同業者向けのネタって、反応が来やすいんです。フォロワーがクリエイター仲間ばかりだと共感も得やすいですから。それで嬉しくなってつい、そればかりやってしまいたくなるんですね。そして、反応があるってことは、これが効果的なんだ!と思い込んでしまう。
いわゆる承認欲求がめっちゃ満たされる。そういう意味ではちょっと麻薬っぽい。
だけど、同業者に向けて一生懸命発信したところで、仕事の受注には繋がりません。反発を覚える人もいるだろうけど、これは私が実際にイラストレーターとしての活動の中で得た事実です。
快感を得られる方法を選ぶんじゃ、ないんですよ。ビジネスは戦略です。それは得てして地味でつまらなさそうに見えるんだけど、後からじんわりちゃんと効いてくるよ。
私の失敗談「全然仕事増えないじゃん!」
私が運営していたブログはクリエイター向けの記事が中心でしたが、なぜかうまくいって、数十万単位のアクセス数を集めました。書いていたのはAdobe IllustratorのTipsや、クリエイターがひどい扱いを受けた事件のお話など。中には1000はてブつけた記事(炎上しちゃったんで今は存在しないんですが)もありました。
わかる人にはわかると思うけど、数字の上ではそこそこうまくいってたんです。
たしかに、それだけのアクセスがあると多少の影響はあります。「あなたの記事読んでました!」ってイラストレーターさん、デザイナーさんには何度も出会ったし、記事を見た出版社から声がかかりイラレのTips本の執筆をしたこともあります。
でも、イラストの仕事の受注についていうと、なんと、まるで変化がなかった!
もし、同業者向けの記事が仕事の受注にとって良い影響を与えるのならば、私にはその時期手に負えないほどの依頼が来ていたはずです。でも実際にはいつもと同じでした。
どの記事から問い合わせに至ったかは、Google Analyticsを入れておくとある程度わかります。そのデータも私の実感を裏付けるようなものでした。
ちなみにGoogle Analyticsにはその道のプロもいるくらいで、凝りだすと相当細かいところまで計測できます。
あなたの本当に欲しいものって何でしたか?
あなたが本当に欲しいのは、同業者から「すごいね〜」って言われること?
それとも、イラストの仕事をもっとたくさんやって、立派な実績を重ねること?
同業者向けのコンテンツを発信することに何か戦略があってのことなら、それはそれでいいと思うんです。どんな落とし所を考えているのかぜひ聞かせてほしいな。
だけどいろんなイラストレーターさんと話してみてわかったのは、ほとんどの人は戦略など特になく、個人のつぶやきの延長でやっています。やっていくうちに仲間に何かを教えてあげると喜んでもらえるし、注目してもらえるということがわかって、そっちに流れていく人が多いんじゃないかな。私もそうだったな、って今振り返ると思います。どうやったらアクセス数を稼げるか?と考えるとやっぱり同業者向けが手っ取り早かったんです。
同業者向けの発信も、たしかに誰かの役に立つし、少しは副産物もあるから、全く無駄とまでは言えない。でも同業者に一生懸命語りかけたところで、その人たちから仕事の依頼が来ますか?
時間は有限です。「もっと仕事がくればいいのに」「実績を積みたい!」と思っているのなら、同業者向けに発信することなんかに時間を費やしている場合じゃない。特にイラストレーターになったばかりの方はさっさと実績を積んでまともな仕事にありつけるようになるのが急務です。
同業者向けの発信よりも、他にもっとしなくちゃいけないことがあります。営業をすることもひとつだし、ネットで発信がしたいなら違うネタを選んだほうがいい。
お客様に宛てて投稿しろ!じんわり効いてくるよ
そこで私が学んだのは、仕事を増やしたいならお客様に宛てて書くってことでした。
同業者向けのブログを運営していた私ですが、じつは別のところでお客様に宛てた記事も書いていました(この頃はいろいろと実験のつもりだったんです)。
お客様向けの投稿って、同業者向けとは違ってかなり反応がうっすいです。ビジネスの相手としてイラストレーターを探している人って、いちいちLikeとかShareとかしないんですよね。
でも、いい記事が書けるとちゃんと誰かが見つけてくれます。反応が見えなくても水面下で私のイラストが検討され、そしてある日、お問い合わせのメッセージが届く……というパターンが結構多かったです。
そしてそうやって繋がったお客様の一部は、今も末長くおつきあいさせていただいています。
私がいつかウェブマーケティングの本で読んだことは、本当だったんだなって思ってます。ビジネスの相手を探している人は、失敗ができないので、何日もかけてじっくり検討した上で連絡してくる。決して衝動的に反応することはない。そして一旦信頼を置けたならそれは長く続く……と書いてありました。
お客様に信頼してもらえるようになったら、あとはガンガン営業しなくても仕事が来るようになるんですよ。時間はかかるかもしれないけど、イラストの仕事を本気でやっていくつもりなら、そのほうがいいと思わない?
たかがブログ、たかがSNSって思っているかもしれないけど、使い方次第なんだ。
いしつく!の教科書
「ポートフォリオサイト、自作してみたけど、仕事依頼なんて一回も来たことない」
そんなイラストレーターに読んでほしい全5章のnoteマガジンです。専門用語はできるだけ使わずに書きました。
目次 & 概要
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まえがき 9割のイラストサイトは仕事の役に立っていない
そもそもウェブサイトを仕事に役立てること自体が無理なのでは?そう思っているかたに、私の体験をお話しします。まえがきを読む » -
第1章 イラストサイトに仕事の問い合わせが来ないのは、こんな勘違いをしているから
「作品ギャラリー」を作ろうとしたり、ウェブサイトなんか活用できないものと思い込んでいたり。よくある勘違いを挙げました。1章を読む » -
第2章 仕事の取れるイラストサイトを作るための、正しい作戦
どう作り、どう利用していくべきか、という全体の作戦をお伝えします。いちばん大切なのは、信頼を得ること。バズや過剰なアクセス稼ぎは要りません。2章を読む » -
第3章 仕事の取れるイラストサイトを作るためには、こんな材料をそろえよう
ドメインやサーバー、コンテンツの用意のしかたを解説します。プロフィール文の改善例や、イラスト画像の準備のポイントなど。3章を読む » -
第4章 仕事の取れるイラストサイト、レイアウトの正解例
実際に運営されているウェブサイトのレイアウトとページ構成を解説します。なぜそのようになっているのか、デザインには理由があります。4章を読む » -
第5章 作ったあとどうする?上手な活用とは
ウェブサイトは作って終わりではありません。SEOについて、ブログのやりかた、営業メールの送りかた、現実の営業に活かしていく方法など。5章を読む »