お客さんから買い叩かれたり、理不尽な扱いを受けたりして、愚痴を「拡散希望」したくて仕方ないクリエイターさん、イラストレーターさん。
そんなあなたに伝えたいことがあるので、聞いてください。
もしかしたら、それは世の中のためになるかもしれない、と思ってやっているのかもしれない。同業者への警告になるし、うまく行けばクリエイターへの接し方が分かっていない客を啓蒙し、理不尽を改めさせられるかもしれない……!って。
でも、残念だけど、そんな都合のいいことは起きやしないよ!
それどころか、その行為はあなたの価値を下げるだけ。だからもう、客の愚痴を公の場に投稿するのはやめてほしいんだ。
愚痴は、みんなの立場を下げるだけ
理不尽な客はそんな投稿に啓蒙されるどころか、微塵も気に留めない。代わりに、実際にはこんなことが起こる。
愚痴ツイは「まとめ」られ、拡散され、世の中の多くの人が目にする。
そして、世間一般の人たちは思う。
あ〜、またクリエイター系の人が買い叩かれてる。カワイソ。
(日本人は特に人の不幸が大好きなのだ!)
これが繰り返されるたび、みんなの中に、ある同意が地層のように形成されていく。クリエイターやイラストレーターって、いつも愚痴を拡散しなきゃいけないような、カワイソーな存在なんだね、という同意。
地層は圧縮され、クリエイターって安く買い叩かれるのが普通なんだろ?という誤った常識を形づくる。その誤解を元に、またどこかで理不尽が発生する。またクリエイター愚痴を言う。以下ループ。
こんなに恐ろしいことはないと思わない?
啓蒙するつもりで言った愚痴のはずだったのに、結局自分の立場を下げただけ。
しかも、自分だけじゃなくて、同業者みんなの立場さえも下げる。
愚痴でストレスは発散できないそうです
じゃあ、今度から愚痴は鍵付きのところで投稿するから、だって?
いいや、愚痴を言うこと自体やめた方がいい。
愚痴を言うとスッキリしてストレスが発散できるというのは実は誤りだ、ってこの前読んだ仏教の本に書いてあった。
愚痴や悪口って、人間が自分を正当化するためにつくウソの一種なんですってね。自分は悪くない!劣ってなんかない!って思い込むために誰かを悪者にする。理不尽を受けて傷ついて、そのうえウソまでついて、ストレスなど発散されようわけがない、むしろ余計溜まるよねえ?というようなことをそのお坊さんは書いてらっしゃった。
そして愚痴を言えばいうほど、愚痴を言わなきゃいけない自分の立場を何度でも再認識するので、また同じような理不尽な目に合いやすくなる。愚痴が愚痴を引き寄せるわけですね。
まあとにかく、愚痴なんか言ったって、何にもならないよ。例えばさ、世の中にはたくさんの企業があって、今どき多くが担当者を立ててSNSを運用しているけど、その中に、理不尽な客の言動を晒しまくるアカウントなんて、ある?(まぁ、あったらスミマセン……無いって前提で言ってみたけど)
ことにクリエイターという商売人として、客の愚痴を公共の場へ明らかにすること、それがどういうことか考えてみてほしい。
愚痴を言わずに済ませる
じゃあ、どうしたらいいの?
愚痴を言わなくて済むようなお客さんとだけ付き合うこと。
それと、次は愚痴を言わなくて済むような取引のしかたをすること。
それしかないっ。
まずは、法に触れるような理不尽だったなら、しかるべき手順で対応すること。そこまでじゃなくても、今後の予防のために民法くらいは読んどいたらいい。
イラストレーターさんにとって、仕事はどの案件も等しく仕事だって思うかもしれない。けど、仕事って結局は人間同士のやりとりなので、必ず相性ってものがあります。だから、100の仕事をこなしたらそのうちのいくつかは愚痴を言いたくなっちゃうような理不尽が発生してもね、それはもう、ある意味当たり前なの。私の場合、そうなりそうな仕事はさっさと断っちゃう。そして忘れる。
仕事を断るなんてありえない?
頼まれたら無理してでもやるべき?
まぁ、そのほうがいい場合もある。最速で実績を積みたい!てことなら自分を犠牲にして我慢してもいいかもね。でも無理は禁物だし、ある程度やりたい仕事が見えている人は、絞っていっていいんじゃないかな。
経験を重ねていくうちに、相性のいい仕事を選ぶ嗅覚みたいなものができてくる。
愚痴どころか、感謝の言葉しか出てこないような仕事に巡り合うことだってある!
周りの人からみて「あのイラストレーターは愚痴なんか全然言わないし、いつも楽しそうに仕事してるよね」と思われるようになったら、しめたもの。
ほっといても引く手数多になっていくよ。
愚痴は「仕組み」で改善できる
それから、クリエイターさんのだいたいの愚痴は「仕組み」で改善できる。
自分のウェブサイトに変な問い合わせが来た!ってことなら、それは問い合わせフォームの作り方が適当すぎるかもしれない。
「タダで描いて」なんてメッセージが来やがった!ってことなら、あなたが周りから素人に見られるような情報発信のしかたをしているからかもしれない。
そういうところを改善すると、愚痴を言わなきゃいけない機会も減ってくる。
いしつく!はそういう改善方法ばかり考えてきたから、もしよかったら今度相談してみて。
さいごに
最後に、手のひらを返すようで申し訳ないけど、客の愚痴を拡散したくて仕方ないクリエイターさんに、エールを送りたい。
それは、あなたが一歩を踏み出したからですよね。
イラストレーターやデザイナーに憧れる人は多い。でも、なりたいんです、って言ってはいても、商売や仕事にするところまで行動できなくて諦めてしまう人だって、同じくらい多い。だけどそんななか、あなたは自分で行動して、その結果客から仕事を請けるに至った。
だから愚痴が発生しちゃった。
それは、紛れもなく、行動の証なわけで。
あなたが今いるその地点まで、勇気を持って歩みを進めた証なわけで!
いしつく! はそんなあなたを賞賛したい。次は愚痴らなくていいように、そのうち笑って躱せるように。
だから切り替えていこーよ。
いしつく!の教科書
「ポートフォリオサイト、自作してみたけど、仕事依頼なんて一回も来たことない」
そんなイラストレーターに読んでほしい全5章のnoteマガジンです。専門用語はできるだけ使わずに書きました。
目次 & 概要
-
まえがき 9割のイラストサイトは仕事の役に立っていない
そもそもウェブサイトを仕事に役立てること自体が無理なのでは?そう思っているかたに、私の体験をお話しします。まえがきを読む » -
第1章 イラストサイトに仕事の問い合わせが来ないのは、こんな勘違いをしているから
「作品ギャラリー」を作ろうとしたり、ウェブサイトなんか活用できないものと思い込んでいたり。よくある勘違いを挙げました。1章を読む » -
第2章 仕事の取れるイラストサイトを作るための、正しい作戦
どう作り、どう利用していくべきか、という全体の作戦をお伝えします。いちばん大切なのは、信頼を得ること。バズや過剰なアクセス稼ぎは要りません。2章を読む » -
第3章 仕事の取れるイラストサイトを作るためには、こんな材料をそろえよう
ドメインやサーバー、コンテンツの用意のしかたを解説します。プロフィール文の改善例や、イラスト画像の準備のポイントなど。3章を読む » -
第4章 仕事の取れるイラストサイト、レイアウトの正解例
実際に運営されているウェブサイトのレイアウトとページ構成を解説します。なぜそのようになっているのか、デザインには理由があります。4章を読む » -
第5章 作ったあとどうする?上手な活用とは
ウェブサイトは作って終わりではありません。SEOについて、ブログのやりかた、営業メールの送りかた、現実の営業に活かしていく方法など。5章を読む »