「個人のイラストサイトを自分で作ってみました」ってイラストレーターで、こういうこと言う人がじつに多いんですよね。
画像が、フェードインとか紙芝居?みたいに動くやつ、私つけてなくて。やっぱ先輩のサイトとかみてると、私もそういうのつけなきゃダメなんですよね〜?仕事の問い合わせが来るようにしたいから……。
んで最近また言われたんで記事にしとくことにしました。
えっと、はっきり言いますね。
ウェブサイトに動きなんかつけても、仕事の問い合わせは増えませんよ。
あなたが気にするべきことは、そこじゃないですよ。
というわけでこの記事は
- 「イラストサイトには動きをつけた方が仕事が増えるんでしょ?」って思ってる人
- 「先輩がそうしてるんで自分もそうするべきですよね?」って人
- 「今、私のウェブサイトは全く問い合わせこないけど、画像の動きをつけたら少しは来るようになるはず」って信じてる人
に読んでほしいです。
画像の動きなんかつけたって仕事依頼は増えないですよ
画像の動きをつけたがるイラストレーターの言い分って、だいたいこんな感じ。
スライダーとか、画像をクリックすると拡大するやつとかを入れたほうが、本気で作ったイラストサイト!って感じがするので、たぶん周りから見ても本気な感じが伝わるから、仕事の依頼も増えるはず!
「本気で作った感じ」を伝えたい、仕事の依頼が来るようになりたい。うん、まあ、その意気は買おう。
ただ、「本気で作った感じ」なんていう曖昧な要素では、仕事の依頼は増やせない。
ウェブサイトで仕事の依頼問い合わせが来るようにしたいなら、具体的にやらなきゃいけないことがいくつもあります。
例えば、
- 本名や居所を明らかにする
- 顔写真を載せる
- 実績を伝える
- 強みや得意分野を絞って伝える
- 絵は展示するんじゃなくて情報を伝える
……などなど。他にも山盛りあるのでもし詳しく知りたい方は「いしつく!の教科書」を読んでみて。
画像が動かなくても、それら「やらなきゃいけない要素」をきっちり実行するならば、仕事の問い合わせは必ずきます。
逆に、画像はばりばり動くけど、こんな↓ウェブサイトだったら
- 名前を明らかにしてない(プロフィールにTwitterのアカウント名とかだけ載せてる)
- 顔写真も載せてない
- どこに住んでるかも隠してる
- プロフィール文が人真似で適当
- 問い合わせフォームも適当
- 絵はとにかく画像を羅列してあるだけ、なんの情報も添えてない
- ブログは個人的なことばっかり書いてる
まあわかると思うけど、仕事の問い合わせなんか一切来ません。
で、イラストレーターが自作した個人イラストサイトってそういうのが多いです。
とにかく、画像が動くかどうかなんて関係ないんですよ、仕事の依頼問い合わせが来るウェブサイトを作りたかったら。その前に直さなあかんとこがいっぱいあるでしょ?ってこと。
先輩イラストサイトの真似をするのが間違いのもと
イラストレーターってプライド高い人多いんで、こういう話をしてもあんまり聞く耳持たれないんですよね〜。
「だって!私が尊敬する○○先輩のイラストサイトは画像が動くやついっぱいつけてあるし!○○先輩は界隈では有名なイラストレーターですよ!?絶対真似したほうがいいでしょ!!Disってるんですか?!」
みたいな反論はとってもよくあります。(ところで○○先輩って誰なん)
その先輩イラストレーターのサイトってたいがい作り方間違ってるんですよ。ウェブサイトのあるべき作り方をわかってないイラストレーターは多いです(むしろわかってない人の方が多いです)。
でもそれは当然なんですよ。イラストレーターとして有名だろうがベテランだろうが、イラストのプロであって、ウェブサイト制作のプロではないわけで、仕方のないこと。
だから先輩イラストレーターのサイトを盲目的に真似してると、コケます。
「せっかく作ったイラストサイトだけど仕事依頼の問い合わせなんて来たことない」ってことになりがち。てか、あなたが真似した先輩イラストレーターも同じこと思ってるよ。それを真似したら問い合わせが来るはずないのよね……。
ちなみにこれを書いている人はイラストレーターでありウェブコンサルタントでもあるので、このブログに書いてあることは安心して真似してもらって大丈夫です。
じゃあ、個人イラストサイトでは画像に動きとかつけるやつをやっちゃダメなんですか?
ダメってことはないです。適材適所。
よくホームの一番最初に置く、「画像が横方向に切り替わりながら何枚か連続で見せるやつ」(スライダーとかカルーセルっていうのよ)なんかは、デザイン的にも情報を伝えるにもまとまって便利なので、ぜひやったらいいと思う。
意味がないやつの代表は「カーソルを置くとふわっと画像が拡大する」。あれは情報面での意味が全然ないし、どうせあれを入れたい理由ってちょっとオサレっぽくしたいだけの自己満足だし、だいたいスマホやタブレットでは動作しないことが多い(※1)んで労力も無駄になりがちです。
あと「画像をクリックするとそのページ内で拡大して表示される」ってやつ(ウェブ業界では「モーダルウインドウ」って呼んだりします)、あれもイマイチ微妙です。コードが冗長になりがち、スマホでの表示が変なことも多いし、素直に画像にリンク貼ったほうがユーザーとしてはぶっちゃけ便利。どうしても「モーダル」でなきゃ、という場面だけにしたほうがいいですね。
ひとつ毛色が違うのが「画面をスクロールしてくと下にあった画像がフェードインして表示される」ってやつ。あれは装飾ではありません。何のためかというと、ページの表示速度をよくするためです(※2)。「Lazy Load(遅延読み込み)」とかって呼んでますけど、最近WordPressでもデフォルトで使えるようになりました。使えるなら使ったほうがいいです。
(※1)スマホでカーソルONが効かないのは、プログラミング言語の上ではクリック(PC)とタップ(スマホ)は別物で、タップを制御する命令が事実上使えないからです。
(※2)ウェブページは上から順に表示されるので、先に上部だけ描画して、初回の通信を早く終わらせることで表示速度を上げる、という技術です。そのままだと下部の画像は表示されないままなので、スクロールに合わせて後出しするのです。
技術的に無理するくらいなら、もっとコンテンツを充実させましょうよ
技術的なことを言うと、画像の動きをつけるのにはたいがい、Javascript(ジャヴァスクリプト)って言語が使われてます。ただイラストレーターで自分でコードを書ける人はあまりいないから、WordPressだったらプラグインとかを使うと思う。
そこで「どのプラグイン使ったらいいかわかんないからとにかくいっぱい入れてみた」とか「Elementorでやっちゃえ」とか「自己流で改造しちゃえ」とかってなると、ウェブサイト自体の動作を遅くしがち。
その辺の気を配って作れない人、技術にうといって自覚がある人は、画像の動きなんてあきらめて、もっとウェブサイトの中身を充実させましょうよ。どうせちゃんとできてないでしょ?
とにかく、ウェブサイトは自己満足ベースで作っちゃダメです。
「イラストサイトも私の作品」とか言って自分の表現にこだわって、画像の動きをつけたがる、ビジネスと表現がごっちゃになっちゃってるイラストレーターが多すぎる。
純粋に個人の楽しみとしてだけやるならなんでも好きにしたらいいのよ。でもプロのイラストレーターとして、「仕事の依頼問い合わせが来ますように」って願って作るポートフォリオサイトだったら、閲覧者の利便を汲んで作ったほうがいいに決まってるんです。
いしつく!の教科書
「仕事の依頼が来るポートフォリオサイトって、どうやって作ったらいいの?」
そんなイラストレーターに読んでほしい全5章のnoteマガジンです。専門用語はできるだけ使わずに書きました。
目次 & 概要
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まえがき 9割のイラストサイトは仕事の役に立っていない
そもそもウェブサイトを仕事に役立てること自体が無理なのでは?そう思っているかたに、私の体験をお話しします。まえがきを読む » -
第1章 イラストサイトに仕事の問い合わせが来ないのは、こんな勘違いをしているから
「作品ギャラリー」を作ろうとしたり、ウェブサイトなんか活用できないものと思い込んでいたり。よくある勘違いを挙げました。1章を読む » -
第2章 仕事の取れるイラストサイトを作るための、正しい作戦
どう作り、どう利用していくべきか、という全体の作戦をお伝えします。いちばん大切なのは、信頼を得ること。バズや過剰なアクセス稼ぎは要りません。2章を読む » -
第3章 仕事の取れるイラストサイトを作るためには、こんな材料をそろえよう
ドメインやサーバー、コンテンツの用意のしかたを解説します。プロフィール文の改善例や、イラスト画像の準備のポイントなど。3章を読む » -
第4章 仕事の取れるイラストサイト、レイアウトの正解例
実際に運営されているウェブサイトのレイアウトとページ構成を解説します。なぜそのようになっているのか、デザインには理由があります。4章を読む » -
第5章 作ったあとどうする?上手な活用とは
ウェブサイトは作って終わりではありません。SEOについて、ブログのやりかた、営業メールの送りかた、現実の営業に活かしていく方法など。5章を読む »