交流会などで、イラストレーター志望の方と名刺交換をする機会が時々あります。お仕事についてお話をしたり、作品を見せてもらったり、時にはアドバイスをさせてもらったり。
そんなとき、彼(彼女)らは、だいたい決まってこう言います。
「これからも頑張って、イラスト作品を作りつづけていきますね!」
うん、いや、その。
……言いづらいんだけど。
そのままでは、たぶんずーっと、イラストレーターにはなれないよ。
作品を作り続けるだけでは、イラストレーターにはなれません
ふう。やっと言えた。
面と向かって言うと傷つけちゃいそうで、なかなか言えないんです。
「イラストレーターになるために必要なことは、ただひとつ!作品を作り貯めること!とにかく絵を磨くこと!」
そう信じて疑わない人が、いっぱいいます。
良い作品を作れるようになれば、自然とどこかからお声がかかるようになって、自動的にイラストレーターとして「デビュー」できるかもしれない!……って。
違うんです!
そんなんじゃないんです。
練習として描くことは、もちろん時には必要なんですけど、でも。
あなたがもし、イラストレーターという職業になりたいのだったら、つまりイラストを仕事としてやりたいのだったら、作品を作り続けるだけではなれません。
なんで?!ってちょっとショックだった人もいるかもしれません。でも理由は明確なんですよ。
商売を始めるために必要な3つの要素
じゃあ、どうやったらイラストレーターになれるっていうのさ?
そう思っている人に、ぜひ覚えておいてほしいことがあります。イラストレーターだって商売の一種なので、商売の3要素を満たせばいいんです。これ、どんな商売にも当てはまることなんですけど。

商売の立ち上げに必要な3つのこと=製品 + 顧客 + 支払
たった3つ!
ですが、どれが欠けてもいけません。
イラストレーターさんの場合、製品はイラスト。これはわかりますね。
次に、支払。お金をいただく方法のことを言っています。
これは、ふつうは銀行口座を用意すれば大丈夫。実際に仕事が始まれば見積書と請求書の書き方が必要になるので、おいおい覚えましょう。
最後に、顧客。
あなたのお客さんって、誰でしょう??
残念ながら、イラストレーター志望の方のほとんどが、答えられません。
「次はどんな作品を作ろうか」ならすぐ考えられるけど、じゃあ、そのイラストを誰にどう使ってもらうのか?ということになると、全く考えていないという人が多いんです。
「顧客」に向き合おう
もうお分かりだと思います。「作品を作り続けるだけでは、イラストレーターにはなれない」理由。なぜか?
それは、イラストを一生懸命描くだけでは、商売が成り立つ要素が足りないから。「製品」以外、とくに「顧客」が無視されがちなんです。

ちなみに、じつはもっと正確にいうと、絵そのものは「製品」の一部にすぎない。本当はイラストを受注して納品するまでの一連のサービス、が正解なんですが、ここもうっすら無視されがちです。
「製品」=イラストがいくら良くたって、注文がなければ商売になりません。イラスト制作を商売にしたいんだったら、注文をくれる相手はどんな人でどこにいるのか?を考える必要があります。
実際には、イラストレーターと名乗る人のほとんどは制作会社や出版社などを相手に制作を請け負っていると思われますので、「顧客=制作会社や出版社」が最大公約数的な答えでしょう。
でも、それだけではちょっと足りません。世の中にはありとあらゆるテーマの本、広告、商品、エトセトラ……があり、それに対応してあらゆるジャンルの制作会社があります。そんななか四方八方に向けて「なんでも描きます」「お仕事募集」って言ったって、誰も振り向いてくれない。

だからまずは、自分のイラストの特徴は○○で、○○が得意なんデス!!って、ひとことで言えるようにすること。絞り込むこと。これが「製品」。それで、そのイラストはどういうところで価値を発揮できるのかをはっきりさせておくこと。自分のイラストはこんなところに使ってもらえるといいんじゃないかな?っていうのが必ずある。知らなかったら調べる。これが「顧客」。ここまでできれば、商売の3要素のうちのふたつはバッチリです。
難しいかな?うん、イラストレーターさんだけじゃなく、どんな商売の人でも難しいって言う。でも、どうしても必要な要素なんです。
イラストレーターになりたい方へのアドバイス
さて、「製品」と「顧客」がくっきりすると、ウェブサイトや、ポートフォリオ、名刺、SNSのプロフィールに至るまで、書き方、伝え方が決まってきます。
そうすると、舞い込む仕事の中身も決まってきます。
そうやって、自分の得意な仕事を獲得していくんです。
それがいしつく!が提案する「イラストレーターのなりかた」です。
というわけで、最後にアドバイスです。
イラストレーターになりたいけど、何が足りないのかわからないよ〜という方はいちど、何週間か作品づくりを中止してみては?心配いりません。プロになったら飽きるほど描けるので。
そして「製品」と「顧客」について徹底的に考える時間を作ってみて!
参考図書:
「SNSに絵を投稿する以外に、何をやったらいいかわからない……」
- 8 年間読まれ続けた人気記事 ※旧note版からの実績
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いしつく! の教科書 [改訂版]
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