「ウェブサイトを作っても仕事の依頼が来るわけじゃないし、SNSがあるからウェブサイトなんていらない」って言っているイラストレーターがいるので、それは間違ってるよ、って話をします。
イラストレーターがポートフォリオサイトを持つことには間違いなくメリットがあります。仕事の発展を願うのだったら。
ゼロからポートフォリオサイトを作るのはウェブ知識のないイラストレーターにはなかなかハードルが高いことだけど、それでもやったほうがいい。無理ならお金出して依頼してでもやったほうがいい。
必要性なんて論じるまでもないくらい、メリットがあります。
イラストレーターがポートフォリオサイトを作ると得られる、3つのメリット
イラストレーターがポートフォリオサイトを作ると得られるメリットはたくさんありますが、ざっくりわけると主にこの3つです。
- ウェブ検索で見つけてもらえる
- 信頼性を伝えられる
- 誇りの持てる実績が増える
検索で見つけてもらえるメリット
ポートフォリオサイトを作ると当然、ウェブ検索をするとあなたのウェブサイトが出てくるようになるわけですが、これがもたらす良い影響があります。
「誰でもいいから安く描いて」という仕事とは縁がなくなる
お客様がウェブ検索をした結果あなたのサイトをみて依頼に至る場合、下手な扱いをされることは少ない。
なぜなら、お客様は自ら探し、自ら問い合わせをする以上、「誰でもいい」とは考えていないからです。つまりそれなりに重要度の高い課題(仕事)があり、マッチする依頼先をきちんと探している可能性が高い。
クラウドソーシングサイトで格安案件に大勢で群がるのとは正反対の流れですね。
人脈を飛び越えられる
ポートフォリオサイトを構えると、地方在住であっても、会ったこともない東京の出版社の中の人から依頼が来たりします。自分の手持ちの人脈を一切合切飛び越えて仕事が発生する、これがウェブの力です。
知り合いから仕事をもらうだけの人には絶対にあり得ないチャンスをウェブサイトがもたらします。ちなみにSNSは人脈の一種なので「飛び越える」効果は限定的です。
信頼性を伝えられるメリット
ウェブサイトはSNSとは違って、どんなにたくさんの情報も自分の好きなように整理・編集して伝えることが可能です。
仕事を得るポイントは信頼性、つまり「このイラストレーターは信頼がおけそうだ」と依頼主が思ってくれること、です。
ウェブサイトは「信頼性UP要素」を揃えやすい
ウェブサイトでは、信頼を得やすくする要素をたくさん揃えることができます。実績の一覧をまとめて掲載、制作の情報をことこまかに書く、独自ドメインをとる、お客様に役立つ情報を書く、など。ちゃんとやれば用意したコンテンツ全てが逐一信頼性につながってくれるので、仕事を得やすくなります。
仕事の発展を願うならSNSでイラスト投稿するだけではダメな理由
「信頼性UP要素」を取り揃えておくことができないから。SNSのたかだか何百文字かのプロフィールで「このイラストレーターは信頼できる」と思ってくれる人なんてよっぽど仲のいい友人くらいです。
イラスト投稿をたくさんして、たくさんの人に見てもらったところで、あなたがいかに信頼できるプロなのか伝わらない限り仕事依頼は来ません。だからポートフォリオサイトは必要です。
誇りの持てる実績が増えるメリット
信頼性を伝えられると、企業からの仕事受注が可能になる
ウェブサイトはSNSと違って信頼性を伝えることがしやすいので、うまくいけば個人イラストレーターでも企業からの依頼が来ます(私は体験済み)。その中には有名媒体や大手企業からの依頼など、プロとして誇りを持てる仕事もあるでしょう。
さらに良い仕事に出会える好循環を産む
良い仕事は良い仕事を連れてくる。それらを実績としてウェブサイトで掲げることで、また良い仕事に出会えるという好循環が生まれます。プロとしての自覚もより育っていきます。
以上が、イラストレーターがウェブサイトを作ると得られるメリットです。
でも…!ポートフォリオサイトなんか作っても仕事依頼なんか来ないのがふつうじゃないか!
こうやってポートフォリオサイトのメリットを挙げると、一部のイラストレーターからなぜか激しい反発があるんですよね。
その代表例がこれ。
「私は自分でポートフォリオサイトを作ったけど、仕事の依頼や問い合わせなんか全く来なかった。同業者の友人もそう言っている。だから、こんなの絶対嘘だ!だまそうとしているんだろ!」
正しい作り方を知らないからそうなるだけ
なぜ、この人は仕事の依頼が得られなかったかというと、ウェブサイトの作り方が間違っていたからです。イラストを見てもないのにそんなことわかるのかよ?ってまた反論してくる暇な人がいますが、十中八九間違いないです。
なぜかというと、ウェブサイトを正しいやり方できちんと作れているイラストレーターは本当に少ないからです。
そしてもし、正しいやり方で作れていたとしても、ブラッシュアップを怠っているとやっぱり仕事の依頼は来なくなります(いっとき上手くいっていたとしても)。
だから、イラストレーターのポートフォリオサイトには常に、ほぼ必ず改善の余地があるということです。作ってそのまま放置、待っているだけでは仕事の依頼なんか来なくて当たり前。
でも…!SNSでお仕事募集しているから、ポートフォリオサイトなんか必要ない!
あと反論で多いのはこういうやつですね。
私はTwitterのプロフィールに「お仕事募集中」って書いているからウェブサイトなんか必要ない!実際にアイコン依頼も来たことがあるし、先輩もSNSで仕事依頼が来たことがあるって書いていたし……ウェブサイトなんか古い!今はSNSの時代だし!
SNS全盛のこの時代だからこそ「ちゃんとした」ウェブサイトが必要
SNSに浸りきってそこでしか活動しないイラストレーター(自称も含む)が多い今だからこそ、「ウェブサイトにちゃんと取り組んだもの勝ち」です。
「SNSで『お仕事募集中』って書いているイラストレーターって大体『自称』だよね」という認識が広まっています。そのせいで、SNSではイラストレーターは足元を見られたりトラブルが発生しやすい。
あとSNSで仕事依頼があった、って言っている人のほとんどは一般個人からの格安依頼です。
「一般個人からのアイコン依頼」だって立派な仕事だろ!って言いたいかもしれないけど、企業の中の人から見れば、そんなのは実績としてカウントできないので完全に無視されるって思ってください。
なので、それを一生懸命積み重ねても、いつまでたってもプロらしい仕事は来ません。そういう世界から抜け出したかったら、ウェブサイトを設けて信頼性を伝えることが有効です。
ポートフォリオサイトから仕事の依頼が来ないのは「作り方が間違っているから」
どういうウェブサイトを作ったら仕事の依頼が来るようになれるか?というのは、すでに世間では判明しています。でも、イラストレーターの多くはそれを知らないし、知ろうともしません。
例えばよく、イラストレーターが言うのが「先輩がやってるオシャレで可愛いサイトを参考にさせていただいて作ってみた」。間違いの代表格です。
さっき「ブラッシュアップ」という言葉を出したので、こう思っている人がいると思いますけど
「ああ、私のサイトも、先輩のとこみたいに画像にカーソルを置いたらふわっと拡大するエフェクトとかつけたほうがいいかも。あと、メニューのデザインをもうちょっとオシャレにして、あとローディング画面にアイコンとか入れたほうがいいかも」
それら全部無意味です。
むしろ、こだわったデザインや動きというのはだいたいにおいて(というか間違いなく)ユーザーにとってはうっとおしいだけです。
見せ方にはこだわっている一方で、内容はおざなり。名前も書いてないし(なんかTwitterアカウントだけ書いてある)、プロフィールもいい加減だし(なんか趣味の話だけびっしり書いてある)、イラストを鑑賞することはできるけど、重要な情報は何も書かれてない。
そんなウェブサイトを見て、一体どこの誰が「このイラストレーターは信頼できそう」なんて思うでしょう、いや、ない(反語)。
というわけで企業の中の人からは依頼先として認識してもらえず、一般人ユーザーはイラストを鑑賞するだけして満足したら去っていく。
これが「イラストレーターの自作ポートフォリオサイトは、仕事の依頼が全く来ない」のメカニズムです。
同業者の見真似では仕事の来ないポートフォリオサイトができる。だから正しい考え方を知れ
こんなふうに、今日もどこかでイラストレーターが「間違いだらけのポートフォリオサイト」をせっせと作っているでしょう。そして「仕事が来ない!」と嘆いているでしょう。私はおばちゃんなので知っています。それはウェブ黎明期からずーっと繰り返されてきた光景です。
もう、同業者のウェブサイトを見てなんとなくパクって作るだけなんてやめません?
せっかく時間をかけて作るのだから、ウェブ知識のないあなたが苦労をして作るのだから、仕事という実りを収穫できるものを作りましょうよ。
「そうだね」ってもし思ってもらえたら、ぜひ読んでいただきたいのが「いしつく!の教科書」です。
仕事の取れるイラストサイトってどうやって作ったらいいの?と思った方のために、必要な考え方や要素・コンテンツの用意の仕方などを解説した全5章建てのnote記事です。
いしつく!の教科書|いしつく! / イラストサイトのつくりかた|note
まえがきでは、ただの地方在住ぼっちイラストレーター(コネ実績無)だった私がなぜそのことに気づいたか、という話を書きました。よかったらそれだけでも読んでいってください。
9割のイラストサイトは仕事の役に立っていない|いしつく! / イラストサイトのつくりかた|note
完全にイラストレーターに向けて書いているんですが、写真家やデザイナーなどのクリエイターにも役にたつと思います。
ここまで読んでくださった方に多くの実りがありますように。
いつものえべっさんを呼んでおきますね。商売繁盛でささもってこい!
いしつく!の教科書
「ポートフォリオサイト、自作してみたけど、仕事依頼なんて一回も来たことない」
そんなイラストレーターに読んでほしい全5章のnoteマガジンです。専門用語はできるだけ使わずに書きました。
目次 & 概要
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まえがき 9割のイラストサイトは仕事の役に立っていない
そもそもウェブサイトを仕事に役立てること自体が無理なのでは?そう思っているかたに、私の体験をお話しします。まえがきを読む » -
第1章 イラストサイトに仕事の問い合わせが来ないのは、こんな勘違いをしているから
「作品ギャラリー」を作ろうとしたり、ウェブサイトなんか活用できないものと思い込んでいたり。よくある勘違いを挙げました。1章を読む » -
第2章 仕事の取れるイラストサイトを作るための、正しい作戦
どう作り、どう利用していくべきか、という全体の作戦をお伝えします。いちばん大切なのは、信頼を得ること。バズや過剰なアクセス稼ぎは要りません。2章を読む » -
第3章 仕事の取れるイラストサイトを作るためには、こんな材料をそろえよう
ドメインやサーバー、コンテンツの用意のしかたを解説します。プロフィール文の改善例や、イラスト画像の準備のポイントなど。3章を読む » -
第4章 仕事の取れるイラストサイト、レイアウトの正解例
実際に運営されているウェブサイトのレイアウトとページ構成を解説します。なぜそのようになっているのか、デザインには理由があります。4章を読む » -
第5章 作ったあとどうする?上手な活用とは
ウェブサイトは作って終わりではありません。SEOについて、ブログのやりかた、営業メールの送りかた、現実の営業に活かしていく方法など。5章を読む »