結論からいうと、イラストレーターという職業そのものがなくなるわけではないと考えます。しかし、生成AIによってなくなるイラストの仕事はあるし、一部はすでになくなり始めています。
ただし、よく言われる「AIは人間の感性は代替できないから大丈夫」という話を鵜呑みにするのはちょっと危険だと思ってます。
では、イラストレーターはAI時代の中どう生き残っていくべきか。この記事では、AIに仕事を奪われないための考え方について解説します。
実際、すでに仕事への影響は出ている
ある調査データをみると、一部のイラストレーターはすでに生成AIによる影響を実感しているようです。
2026年1月公表の芸術・芸能系フリーランス約2万5000人の調査で、生成AI導入後の収入について、全体の9.3%が「10~50%程度減った」と回答しています。なお、回答者の54.2%がイラストレーターでした。(引用元: ITmedia)
少なくとも「生成AIでイラストレーターの仕事には何の影響も起きていない」とはもういえません。一方で、大多数が大幅減収したというほどのこともありません。
ようするに、
「生成AIによってイラストレーターが全滅する」
なんて極端な現象は起きてないし、
「AIなんか出てきても全くなんの心配もいらない」
というのでもない、どっちでもないってことです。
AIに置き換わりやすいイラストの仕事
生成AIによってなくなるイラストの仕事もある、と書きましたが、次のような仕事は、どんどんAIに置き換えられています。
- ウェブメディア記事のアイキャッチ画像のようなもの
- 資料につける雰囲気だけの挿絵
- ほとんど使い捨ての広告用の画像
実際、こういうところで、あからさまに「生成AIだな」ってわかるイラストを見かけたことがある人は多いはずです。
発注者からすれば「目的を満たす画像が手に入ればそれでいい」場合があって、そういうイラストは、AIに置き換えられます。
AIに置き換えてしまえば、費用もかからず、時間も短く済み、権利関係の心配も要りませんから、便利なのはたしかなんです。
「人間ならではの創造性」「作家性」は問題の中心ではない
で、この時代にイラストレーターはどうしたらいいのか? という話になると、よくこういう結論が出てきます。
「AIは、人間らしい創造性を持つことができない」
↓
「人間の創造性があればAIに負けない。だから創造性を磨こう」
↓
「個性・作家性・世界観を構築すれば生き残れる」
正直、私はこれは違うと思ってます。
これを信じてるとおそらく淘汰される。
なぜなら、そもそもイラストレーターの仕事は、作家性だけでは成り立っていないからです。
依頼者は、仕事を買っている。作品ではない
実際の企業との取引では、依頼内容を理解する、用途に合わせる、修正に対応する、長期案件を回す、条件を整理する、といった仕事回しの部分が、制作そのものと同じくらい重要です。
ようするに、発注者が買っているのは画像ファイルだけではない。創造性の高い作品を買っているのとも違います。
仕事を買っているのです。
依頼してから納品されるまでを含めて買っている。
だから、AIが絵を作れるようになったからといって、人に依頼する意味がなくなったわけではありません。
今はクライアント自身でも生成AIを使って画像を作れます。生成AI画像を持ってきて「これを直せ」と依頼されるのはイラストレーター側からすれば迷惑この上ないんですが、それでもなおクライアントは人間に頼らざるを得ないのです。
どういうイラストレーターが生き残っていけるのか
絵を作ることばかりにフォーカスしていると、おそらく仕事は減ります。
ではイラストレーターが生き残るために、何を磨くべきか。
それはAIには絶対に代替できない部分、ようするに、相手の意図を理解する、必要なものを考える、提案する、調整する、最後まで責任を持って進めるという「人間が仕事を一緒に進める部分」です。
例えば、住宅の営業マンっていなくなってないですよね。それは、家を作るのに複雑な工程が必要で、進行を一緒にやってくれる人がいないとまともな家づくりなんかできないからです。
つまり家を建てる技術そのものもさることながら、複雑な仕事を一緒に前へ進める役割にも価値があるってこと。
イラストの仕事も同じで、絵を描くことだけが仕事ではありません。
「絵を描くことだけが仕事じゃない」をわかっている人が生き残る
言われるままに作るだけの人、「お仕事」は「もらう」だけのもの、って考えているイラストレーターは確実に仕事が減っていきます。
逆に、仕事そのものをちゃんと回せる人は、これからも仕事はなくならないと思います。
スケジュールだけでなく、条件を決める、工数を見る、相手と調整する、問題が起きたら立て直す、自分が損をしないように立ち回る。そういう「仕事人」としてのスキルです。
- 修正や確認が多く入るときでも、工数やルールを確認しつつ、自分も傷つかない条件を整えられる
- 大量の制作を長い期間で請け負うときにもスケジュールの破綻なく進められる
- 印刷・ウェブ・動画など複数用途があるとき、必要なサイズや形式を先に整理できる
こういうことができるイラストレーターは、生き残っていけると思います。
実はこの話、いしつく! は生成AI登場以前から繰り返しそう書いてきました。絵のことばかり考えていても仕事は来ない、仕事を受けたいなら絵以外の部分も考えなければならない、と。生成AIの登場によって、その話がより切実になっただけと言っていいかもしれません。
AIの登場によって、仕事に向き合うことがますます重要になった
絵を描いてSNSに投稿していれば、きっとそのうち誰かの目にとまって……というイラストレーターなら一度は願ったことがある道は、今や夢物語どころか、危険な道にすらなりつつあります。
コロコロ変わるアルゴリズムに流され、
仕様変更や課金に振り回され。
仕事を取る仕組みを、自分では制御できないプラットフォームに丸ごと預けてしまうことは「私を食い物にして」と言っているのと同じようなもの。
また、素人がAI生成イラストを大量に流してはインプ稼ぎをする中で、偶然発見されるのを待つ、という戦略は以前よりさらに厳しくなっています。
生き残っていきたいならば、SNSに投稿した絵を発見されること自体を目的にするのではなく、誰に何の理由で依頼されるのかを、自分で作らなければなりません。
- 自分は何のために企業から依頼されるのか
- 自分の強みはなんなのか
- 仕事人として、取引先にどんなベネフィットを提供できるのか
そういうところを、逃げずにきっちり考えていくことが、ますます重要になっています。
独自ドメイン付きのウェブサイトが今こそ重要
むしろイラストレーター自身が生成AIを使って、自分の強みを発掘するためにディスカッションしたり、営業資料を作ったりするのがいいでしょうね。
(AIが作るイラストがAI臭くてキモいのはおそらく当分変わらないけど、それ以外の部分は使えることもある)
そして、考えた強みや仕事の内容を、アルゴリズムに左右されず、自分の責任で蓄積・提示できる場所が必要になります。
つまり、自前の独自ドメイン付きのウェブサイトを持つことが、ますます重要になる。
いしつく! は、2010年代から、イラストレーターとは企業の仕事を受ける人のことだと言い続けてきました。そして企業から依頼を受けるための考え方を一貫して扱ってきました。
いしつく! の教科書はまだまだ、というより、AI時代の今だからこそ読んでもらう価値があると思います。
イラストレーターのための
仕事の取れるウェブサイトの作り方
「イラストレーターになりたいけど、SNSに絵を投稿する以外に、何をやったらいいかわからない」
そんなふうに思ったこと、ありませんか?
ウェブサイト (ポートフォリオサイト) を作るとき、同業者の見よう見まねだけでは、せっかく時間をかけても一向に仕事依頼につながらないことも。
そうなったら悲しいですよね。
そこで開発されたのが「いしつく! の教科書 [改訂版]」、全6章のnote記事集です。仕事の取れるウェブサイトの作り方・考え方はあります。ぜひ知ってください。
- 読まれ続けて 7 年間※
- 延べ 1,000 人以上のクリエイターが購入※
- 仕事に役立つ無料特典も
※旧版からの実績です



