イラストレーターのSNSは、個人アカウントと仕事アカウントを分ける必要はない。ひとつで十分です。
そのかわり、アカウントの運用方針を決めます。
プライベートも事業も、現実に一人の人間がやっていることなのだから、無理に分ける必要なんてありません。
XやInstagramのアカウントを「分けなくては……!」という圧力を感じている人が多いみたいですね。しかし、分けると手間とリスクが2倍になり、フォロワーも増えない。デメリットが多すぎます。
ただ、本業とは全く別のサービスをはじめる場合は分けて運用したほうがいいでしょう。
以下、詳しく解説していきます。
よくあるケース
いしつく! がイラストレーターの方に相談されたケースでは、こんなものがありました。
- イラスト素人時代に作った個人アカウント。このほどちゃんと開業届を出して本名で活動していくことにしたので、本名垢を新しく作ったほうがいいのか
- イラストのタッチが複数あり、タッチごとにファン層が違うので、分けたほうがいいか
- 「お仕事しました」発信用のアカウントと、個展の告知用アカウントは分けるべきなのかと思ったが、どうなのか
結論、どれも分ける必要ありません。
個人がSNSアカウントを分けるデメリット
イラストレーターや個人クリエイターは、プライベート垢と仕事用垢を分ける必要はないです。なぜなら、分けると手間ばかりが増えて、メリットがないからです。
分けてそれぞれのアカウントを育てる苦労なんかに費やす時間があったら、ウェブサイトとブログを育てたほうが、よっぽど仕事の足しになります。
イラストレーターがSNSだけでなくウェブサイトを作るべき理由 (仕事依頼を獲得したければ) – いしつく!
個人アカウントを分けるデメリットは次のようなものです。
- 今後、それぞれのアカウントを一人で別々に運用し、それぞれに育てていかなくてはいけない
- 使い分ける設定を覚えておかなくてはならない (常に頭のリソースを食う)
- 分岐アカウントのフォロワーは増えない (元アカウントのフォロワーは分岐アカウントまではフォローしてくれない)
- 乗っ取りのリスクが2倍
- インプレゾンビやスパマーをブロックする手間も2倍
つまり、分けるほど手間と苦労とリスクが増えます。
新アカウントは作ればすぐに元のフォロワーさんがきてくれるから、と思っているかもしれないけど、「アカウント分けたのでこっちもフォローしてください」のような案内はたいてい無視されます。
新垢が元垢と同じ影響力を持つようにはすぐにはならないし、そこまで育てるのは大変です。
プライベートも事業も、どれも元は一人の人間がやっていることなのだから、堂々と一つのアカウントで発信していいのです
SNSアカウントは個人・仕事分けない。そのかわり運用方針を決める
個人クリエイターはプライベートアカウントと仕事アカウントを分けず、ひとつのアカウントにします。
そのかわり、運用方針を決めます。
運用方針というのは、
- このアカウントは何を目的として使うのか
- 誰に何を発信するアカウントなのか
- 個人的なポストをどのくらい許容するのか
の3つを決めるということです。
SNSアカウントのおすすめの運用方針
「目的」というのは、イラストレーターとしてのアカウントなので、基本は「仕事について発信したい」という人が多いでしょう。その方針はOKです。
「誰に何を発信するか」という点については、基本は仕事相手に向かって役立つノウハウを発信をすることですが、イラストレーターでそれができている人はほとんどいませんので、とりあえず努力目標としましょうか。
「個人的なポストをどの程度許容するか」。楽しく運用していくために、ある程度プライベートな投稿もアリ、とするのが現実的です。その割合をあらかじめ自分で決めておきます。
よく言われる理想の配分は
- 事業: 8割
- プライベート: 2割
ですが、イラストレーターの場合は
- 事業: 2割
- プライベート: 8割
になってしまっている人が多いです。できればもっと事業関連ポストの割合を増やしたいところですね。
また、イラストレーターとしてSNSを運用していくと決めた時点で、それは、事業者として世の中一般に発信していくという意味です。一部の人にしか知られたくないようなことは、投稿すること自体をやめます。そういうのは友達に話すとか日記に書くとかしましょう。
SNSアカウントを分けた方がいいケース
次のような特殊なケースでは、アカウントを分けて運用したほうがいい場合もあります。
- 独立したサービス (例えば、イラストとは関係ないジャンルのお店・アフィリエイトサイトなどを運営している場合)
- 機能や用途がかなり限定されるアカウント (例えば、何かのボット)
本業とはターゲットや目的が離れていて、それ単体でサービスとしてまとまりがあるものは、それだけで分けて運用したほうがメリットがあります。
例えばいしつく! も、イラストレーターや個人クリエイターを対象として、一つの独立したサービスとして専用アカウントを設けています。そういう感じです
「SNSのアカウントは分けるべき」に従うと、際限なく分ける羽目に
何が発祥なのかわかりませんが「SNSのアカウントは分けなければならない」という強迫観念めいたものが蔓延している気がします。
分けなければいけない、と思い始めると、際限なく分けることになっていきます。
プライベートと事業を分けたい、くらいの考え方なら、まあ。
でも、複数の個人事業はどうするんでしょうか?
例えば、イラストレータが依頼仕事と個展をやっている場合。それぞれターゲットが違うから、分けるべき! と考える人もいるでしょう。
では、個展の回ごとに客層が変わったら、別ターゲットだから、個展ごとにアカウントを分けるのでしょうか?
ならばそもそもイラストも方向性ごとに分けるべきでは……と、どんどん細分化の沼に落ちていきます。
「独立したサービス」はアカウントを分けたほうがいい、と前述しました。ですが、イラストレーターの依頼仕事と個展では、別サービスとまでは言えないと思います。それぞれターゲットが違っても、お互い影響しあっている関係だからです。
しかも分けるほどフォロワーは分散し、苦労が増えていく。
そんな苦労を背負って時間を費やすくらいだったら、ウェブサイトを作ったり、ポートフォリオをブラッシュアップしてください。そのほうがよっぽど仕事を向上させてくれます。
FacebookやLinkedInのような実名垢が強制されるタイプのSNSって、実は合理的なんですね。垢分けで悩む必要などないから
分けて正しく運用できるのは大企業だけ
人気アニメを引き合いに「でも! あの作品は! 作家本人と、アニメ、グッズと、アカウントが分かれているじゃない! やっぱり分けるべきでは?!」というようなことを言う人もいます。
そういうのは個人が真似するものじゃありません。
もしも、それぞれのアカウントごとにターゲットをセグメント化し、毎日たくさんのポストを戦略的に投稿していけて、それが仕事を爆上げできると踏んでいるのであれば、アカウントを分けて運用してみたらいいと思います。
でもそんなことができるのは、各アカウントに担当者を配置できる大企業だけです。人気アニメの場合は運営会社が入ってそれを回しています。個人でやってたら、仕事をする時間すらなくなります。
ちなみに、中小企業や個人店なども先の「特殊なケース」以外は、SNSアカウントを分けるべきではないです。人的リソースがもったいない
「垢分けマナー」なんか本気でどうでもいい
一部の絵師とかオタクの人々の間では、ジャンルごとに分けるべきとか、一次創作と二次創作で分けるべきとか、暗黙のルールがあるらしいですね。私はそっち方面のことはよく知らないのですが、そういう謎ルールは無視して大丈夫です。
「イラストレーターはイラストだけ投稿していろ」のようなコメントが届く人もいるそうですね。しんどい気持ちは理解しますが、無視かブロックでいいです。気に入らなければ見ないでくれ、くらいのスタンスでいいんです。そんな人と交流したところで、仕事の足しには1mmもならないですから。
イラストレーターとは、職業の名前です。あなたがやるべきことは、仕事を増やしていくことです。狭い界隈での馴れ合いなんて本当にどうでもいいことだと思います
まとめ: 仕事のためのSNS運用はそもそも難しい
昨今SNSに溺れている人多すぎ、って思います。溺れるのではなくて、コントロールしようね。
イラストレーターはSNSアカウントを分ける必要はない、とわかったところで、では、仕事のためにはSNSをどう活用していくべきなのか? というのが次に気になるところだと思います。
かいつまんで説明すると
- イラストレーターの仕事は、基本的には B to B である
- このタイプの仕事は、SNSだけで伸ばそうとするのは至難の業、ということがわかっています
- SNSで絵を流していて依頼者の目に留まることはあるが、それだけで仕事にはつながらない。なぜなら依頼主は細かく検討をしたのちに依頼をするから
- なので、結局、仕事を伸ばしたければ、SNSだけではなくウェブサイト (ポートフォリオサイト) が必要
詳しくは別の記事で解説しているので、よかったら読んでみてください。
X(ツイッター)でイラストレーターが仕事依頼をゲットするには?(難しい話) – いしつく!
ただ、ウェブサイトやポートフォリオは、作り方がすごく重要です。周りのイラストレーターの真似をして作ると、仕事の依頼につながらないものができてしまい、作業時間が無駄になるだけ。
なので、ビジネスを意識した「仕事の取れる」ウェブサイトの作り方をぜひ知っておいてほしいんです。知りたい方はいしつく! の教科書を読んでみてください。


