ポートフォリオサイトの作り方: イラストレーターがやりがちな12の間違い。仕事ゲットしたいなら要改善

イラストサイトを自作したイラストレーターさん、こんなことやっちゃってませんか?

この記事は、あるイラストレーターさんが自作したポートフォリオサイトへのダメ出しを挙げたものです。もちろんどこのどなたかは名誉のために伏せますが、不思議なことに、多くのイラストレーターさんが似たようなことをやっています。

「ポートフォリオサイトの作り方なんてそれぞれの表現なんだから、合ってるも間違ってるもないだろ!!!」って言いたい気持ちもわかります。たしかに、イラストが趣味またはアートならば好きに作ればいいです。

でも仕事の取れるウェブサイトにしたいならば、そうじゃない。「こうしたほうが信頼を得やすく、依頼も来やすい」というセオリーは存在します。

1. 英文字のナビゲーションメニュー

英文字メニューの例
英文字メニューの例

イラストレーターさんのウェブサイトは、メニューがなぜか英文字です。HOME、ILLUST、GALLARY、PROFILE、CONTACT、てな具合に。

さらに「MY ILLUST」「CLIENT1」など、謎分類もよくあります。何の分類かは、本人に聞いてみないとちょっとわかりません。

なぜこの作り方はダメなのか?

わかりにくくしてはいけません。ウェブサイトにおけるナビゲーションメニューとは、訪問者が「どこをクリックすれば、自分の知りたい情報が得られるか」を容易に知るために存在するものだからです。

英語のメニューにしたのって、何かすごく特別な理由がありますか? ないでしょ? ちょっとオシャレっぽくしたかっただけでしょ?

作り方の正解は?

ナビゲーションメニューは日本語で書きましょう。ホーム、制作事例、プロフィール、お問い合わせ、etc。オシャレにしたいんだったら日本語でかつオシャレに見えるように考えてください。

2. エンターページがある

エンターページ・扉ページをつけない

なぜこの作り方はダメなのか?

訪問者に不便を強いるからです。「エンターページ」を設けると、ホームから入ってきた訪問者は知りたい情報へたどり着くためにわざわざワンクリック多く操作せねばなりません。また、SEO的な意味でも良くない

ホームページの作り方の正解は?

絵を貼っただけのエンターページを作らない。そしてホームページにはもっと多くの情報を載せます。その1ページで概要がつかめるのが吉。

3. イラスト画像を貼り付けただけ、情報を載せていない

イラストレーターさんが自作したポートフォリオサイト

多くのイラストサイトでは、イラスト画像はシンプルに貼り付けてあるだけです。

なぜこの作り方はダメなのか?

ギャラリー化を促進するから。絵だけを貼り付けて「さあ、眺めてください」。仕事のサンプルというより、一般人に絵を眺めて楽しんでもらうために作ったサイトに見える。すると仕事の問い合わせが来なくなるのです。

イラスト事例ページの作り方の正解は?

仕事依頼が来てほしいのだったら、文章=情報を添えること。今後それを頼むかもしれない人に宛てて「このときの仕事はこんなでしたよ、こんな感じの依頼に対してこんな制作をしたんです」と伝えることです。

4. イラストにポエムを添えている

イラストにポエムを添えてある例

イラストに文章を添えろ、ってそういう意味じゃないの! イラスト画像の脇に「その絵に込めた想い」的なポエムをつけてあると、ギャラリー化をいっそう加速させます。

5. エフェクトだけはやたらこだわる

  • 画像にカーソルを持っていくと、ふわっと拡大して表示
  • 画像が動いたり、色が変わったりする
  • カーソルがかわいい動物アイコンに変わる
  • ページを開くと音が鳴る

情報はろくすっぽ揃ってないのに、こういう点にだけはやたら気を配る。クリエイターらしくてまことに結構です。あ、イヤミでっせ。

なぜこの作り方はダメなのか?

訪問者にはうっとおしいだけ。可愛く飾るのは自己満足でしかないうえ、そこにこだわったところで仕事の依頼の来るポートフォリオサイトにはならないからです。

作り方の正解は?

余分なエフェクトを入れない。ビジネス用途を意識したシンプルで見やすいデザインにする。そして情報を重視する。時間をかけなきゃいけない部分は他にもっとあるでしょ

6. 問い合わせフォームをつけていない

イラストサイト 問い合わせフォームがない

問い合わせフォームをつけずに「お仕事のご依頼はこちら」とメールアドレスを書いてあるだけ。

なぜこの作り方はダメなのか?

「サイトに仕事の依頼じゃなくて逆営業メールみたいなのが来た!」ってTwitterで愚痴ってるイラストレーターさんちょいちょい見かけますけど、メールアドレス載せてるだけじゃそりゃそうなるよね。

問い合わせフォームの正解は?

複雑めな問い合わせフォームが最適解ってことがわかっています。

「問い合わせフォームは入力する人の負担にならないよう極力シンプルにすべき」「だからメールアドレスだけ載せるのでもよい」ていう意見を信じている人が多いと思うけど、実はこれ常に正しいとはいえない。

特にイラストレーターサイトの場合、あらかじめ聞きたいことをフォームに備えておいたほうが取引がスムースです。そして望まない問い合わせ (逆営業とか一般人のコメントとか) も避けるのにも複雑めの方がよい。

7. 独自ドメインを使っていない

need-domainname

ジンドゥーやWixの「無料サイト」で作ったのでURLが独自ドメインじゃない。問い合わせ先として書いたメールアドレスもgmail。

なぜ独自ドメインナシはダメなのか?

あまりにも素人っぽい。あとウェブサイトについてはSEO的な意味で不利。

作り方の正解は?

ポートフォリオサイトには独自ドメインをつけましょうメールアドレスもお揃いの独自ドメインで作りましょう

「無料のやつ使っとけばいいじゃん」じゃなくて、ひとつでも信頼してもらいやすい要素を使いましょう。

「私はちゃんと看板を掲げて商売をしているよ。この先何年間も真剣に商売をやっていくつもりだから、適当にそのへんの無料ツールじゃなく、ちゃんとドメインを取ったんだよ。だから私を信頼してほしいな」

そういうメッセージ、表現なんですよ、独自ドメインって。独自ドメインつけてなくて社員がgmailで送ってくる会社なんか見たことないでしょ? そういうこと。

8. ブログとSNSには個人的なこと(+同業者向けの内容)ばかり

イラストレーターのブログのNG例

イラストレーターさんのブログは、だいたい初めのうちは個人的な絵日記。その後ちょっと頑張りはじめると、「イラストレーターになるには」とか「イラストを上達するには」といった同業者向けの内容を投稿しはじめます。

SNSでは、知り合いのイラストレーターとフォローしあって個人の日常のことをわいわいやっています。

なぜダメなのか?

仕事に役立てるという観点からいうと、同業者や友達に向けた発信はほとんど意味がありません。なぜなら、同業者を呼び寄せたところで、その人たちが仕事を依頼してくるわけではないからです。

同業向けの記事はLikeも集まりやすいし同意コメももらえるから承認欲求強いイラストレーターはハマりがちですね。

イラストレーターのブログ&SNSの正解は?

お客様に向けて書く。例えばイラストの技術の話であっても、同業者じゃなくてお客様に向けた内容で書ける。他にも「うちのイラストはこういう販促に役立つよ」とか、考えればけっこうあるはず。

SNSはビジネスに役立てるのは基本難しいです。バズを狙ってもあまり意味がない。こちらも地道に仕事に関する情報を流していくのがいい。

ちなみに、ブログとポートフォリオサイトをそれぞれ別の無料サービスで作ってを組み合わせたつくり(JimdoのイラストサイトにAmebaのブログ、とか)はめちゃくちゃもったいないのでやらないこと。同じドメイン内に作るのが正解。

9. プロフィール文がシンプルすぎる

自作イラストポートフォリオサイト プロフィール

20XX年からギャラリー展示で活動。デザインのかたわら、イラスト制作を行う。Twitter&Instagramで自作イラストを配信中。

なぜこのプロフィールはダメなのか?

これではあなたが顧客の印象に残ることはない。どっかで見たな〜としか思えない、他のイラストレーターがよく書くあるあるな内容だから。

プロフィールの書き方の正解は?

同業仲間をなんとなく真似するのはやめましょう。履歴書や職務経歴書のプロフィールの書き方を思い出してください。下手に個性的に書こうとするより、事実を列記するほうがなぜかいいプロフィールになる。

10. プロフィールが個人的すぎる

自作イラストポートフォリオサイト プロフィール

イラストレーターさんのプロフィールでは性格を並べ立てて書いているのも定番です。

性格:のんびり屋さん・好きと嫌いがはっきりしてる・人見知り

あと趣味のことだけやたら熱い人。

趣味:映画鑑賞。ホラー以外はなんでも観ます。◯◯◯監督作品に注目していて、その繊細かつ大胆な人物描写にすごく心惹かれています。特に20XX年の◯◯という作品は…(以下映画語りが300字ほど続く)

なぜこのプロフィールの書き方はダメなのか?

少しでも人間性を伝えたい! という思いは買いますが、膨らませるのはそこじゃない。性格の列記なんて特にまずい。「のんびり屋さん」で「人見知り」なフリーランスなんて、一体誰が仕事を頼みたいと思う? 納期守ってくれなさそうだし、コミュ力低そうだし。

わざわざ自分を低く見せてはいけない。

プロフィールの書き方の正解は?

あなたの経歴にはもっと素晴らしい部分があります。そこを伝えましょう。別に変に「盛る」必要はありません。事実にフォーカスして、経歴を中心に書きましょう。

プロフィール文の書き方を知りたい? ぜひいしつく!の教科書・第3章を読んでみてください。判でついたようなプロフィールから、劇的に信頼度を高める実例をあげてます。

【3】仕事の取れるイラストサイトを作るためには、こんな材料をそろえよう|いしつく! / イラストサイトのつくりかた|note

11. それは名前?屋号?はっきりしない

屋号なのか名前なのかペンネームなのか不明

何かアルファベット数文字のロゴみたいなの。それはその人のペンネームなのか? 屋号なのか? それとも単にそのウェブサイトのタイトルなのか? なんだかよくわからない。
そしてプロフィールページを見ても、本名は書いてない。

なぜこの作り方はダメなのか?

きちんと名乗れない人に仕事を任せたい人なんていません。どこに名前が書いてあるか、何者なのかよくわからないポートフォリオサイトを作ってしまうと仕事の依頼が舞い込みません。

名前や屋号の書き方の正解は?

まずは、イラストレーターとしてどう名乗るのかきちんと決めてください。そして誰がどう見てもわかるように表記してください

本名がいちばん良い。なぜならイラストレーターは企業と取引することが多いので、安心してもらいやすい。ペンネームがダメってわけじゃないけど、「この名前で生きてく」って真剣に決めた名前にしてください。

「なんか恥ずかしいし個人情報がアレだから適当にTwitterのアカウント載せとこ」みたいな感じでは仕事は来ないって思ったほうがいいです。

12. 所在地を載せていない

自作イラストポートフォリオサイト プロフィールのNG例
趣味のことはたっぷり書いてあるのに……

名前も屋号もはっきりしないうえ、所在地すらも載せていない。

なぜダメなのか?

作品さえ良ければ自動的に仕事が来るのだから、所在地や本名なんて明かす必要ない」っていう考えが根本的に間違ってます。「ネットの時代だから」てのも意味不明でして、むしろネットの時代で自称クリエイターだらけな昨今だから余計に信頼性は大事です。

正解は?

所在地はプロフィールに書いてください。なにも番地やマンション名まで書かなくてもいい。市町村レベルで大丈夫です。

所在地を堂々と明かせるイラストレーターのほうが「真剣に仕事をやっていそう」感があるのは当然のこと。普通の感覚の企業人からしてみれば、正体を明かさない個人クリエイターなんて、怖くて依頼なんかできやしません。いくらフリーランスやテレワークが一般的になったとかいってもこの点は当分変わりません。

とくに、イラストレーター兼デザイナーみたいな切り口でやっていこうと思っている人には最初は地元のつながりは利用しやすいんで、所在地を明かすことが有利に働きやすいです。

ちなみに「地方に住んでいることを明かさないほうが、東京から仕事が来る」なんてのはただの迷信です。

じゃあ、どうすればいいわけ?

ダメ出しはとりあえず以上です。まだまだあるんですけど、今日はこの辺で。

12のどれかに当てはまってしまったイラストレーターさん、批判したくてイライラしていることと思います。「私たちはクリエイター、人それぞれなんだから、お前に指摘されるようなことじゃない!」って。

もちろん言うまでもなく考え方は人それぞれです。しかしながら、ウェブサイトはこう作ったら仕事が来やすい、という作り方はすでに判明しています。それを取り入れたいとは思いませんか?

例えば…

独自ドメインて本当に必要なの」とか、「独自ドメインの決め方はどうしたらいいの」とか

本名とペンネームどっちがいいの」とか

自分の住所を名刺とかポートフォリオサイトに書くのってどうなの」とか、「個人情報がナントカカントカで悩むくらいならバーチャルオフィスを使えばいいよ」とか

問い合わせフォームってどうするのが正解なの」とか「PDF形式のポートフォリオをダウンロードするコーナーってどうすればいいの」とか

ブログってどうしたらいいの?」とか「じゃあTwitterはどう使えば?」とか

そもそもの話「ポートフォリオサイトってどういうツールで作るのがいいの?」「やっぱWordPressで作るべきなの?」とか

こうやって、ポートフォリオサイト作るのにイラストレーターの人たちが迷うようなことに対して、「こうしたらいいよ」っていうノウハウは実は色々とあるんです。それをイラストレーターの皆さんにシェアしようと思って運営してるのが「いしつく!」です。

なんとなく同業者の真似をするから間違えてしまう

なんでそんなに「間違えてる」イラストレーターサイトが多いのかというと、みんなどうしたらいいかわからなくて、同業者のサイトをなんとなく見よう見まねで作るからなんですよね。

あなたが真似しようとしているイラストレーターはイラストのプロであってウェブサイト制作のプロではないから、「間違えてる」可能性はめっちゃ高い。「ポートフォリオサイト自作してみたけど仕事の依頼なんかこない」って言っているイラストレーターが多いのはこれが大きな原因のひとつです。

じゃあ、どう作っていったらいいの? というととてもじゃないけどひとことで言えるようなものじゃないので、よかったらいしつく!の他の記事や、noteマガジンの「いしつく!の教科書」・「WordPressでポートフォリオサイトの作り方徹底解説」などをぜひ読んでってください。

いしつく!としてはまずはイラストレーターの皆さんに正しい情報を知ってもらうこと、がゴールだと思ってるので、読んでいただければそれだけで嬉しいです。

いしつく!の教科書

「仕事の依頼が来るポートフォリオサイトって、どうやって作ったらいいの?」

そんなイラストレーターに読んでほしい全5章のnoteマガジンです。専門用語はできるだけ使わずに書きました。

目次 & 概要

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